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2016年5月30日月曜日

微分方程式講義(2016年版)VII

3.3 定係数微分方等式と記号解析 


この節では、定数係数の線形方程式の記号解析について述べる。 

この手法は一般の 定係数方程式 に適用されるので、この節ではもっぱら

次の n 階方程式 を考える。




多項式の演算子 P(D) のことを、 微分方程式 P(D)y = f(x)  に対応する 

n 微分演算子 という。 

P(D),   Q(D)  を2つの任意階の微分演算子 とする。 演算子の

            {P(D) + Q(D)}y =  P(D)y + Q(D)y,          {P(D)・Q(D)}y =  P(D){Q(D)}y

により定義する。 このとき、次の性質がなりたつ。 

P(D),   Q(D),  R(D)  を3つの微分演算子 として 

(i)  (結合律)      {P(D) + Q(D)} + R(D)  =  P(D) + {Q(D) + R(D)}

                                     {P(D)・Q(D)}R(D) =  P(D){Q(D)R(D)}

(ii)   (可換律)     P(D) + Q(D)  =  Q(D) + P(D)

                                                  P(D)・Q(D) =  Q(D)P(D)

(iii)  (分配律)     P(D)・{Q(D) + R(D)}  =  P(D)・Q(D) + P(D)・R(D)


方程式

(3.8)                           P(D)y = f(x)

一般解を   y = [1/P(D)] f(x)   と書くときの演算  [1/P(D)] について考えてみる。

P(D) = D のときは、(3.8) は  Dy = f(x)  となるから


(3.10)        y = [1/D] f(x) = f(x)dx 

であるから、  [1/D] は不定積分 ・dx  をとることを意味している。 

ここで積分定数は記号上無視しているのを注意しておく。

次に微分方程式  (D - α )y =  f(x)  を考えよう。 積の微分公式を考えると

          D(exp(-αx) y) =   exp(-αx) Dy - α exp(-αx) y =  exp(-αx) (Dy - α y) = exp(-αx) (D - α) y 

であるから、

                D(exp(-αx) y) =  exp(-αx) f(x) 
                

             
となり (3.10) により 

                              y =  exp(αx) [1/D]{ exp(-αx) f(x) } = exp(αx) exp(-αx) f(x)dx  


となり、以前導いた公式が形式的に得られる。 次に (D - α )² y =  f(x)  を考えよう。

2回微分を実行すれば、 D²(exp(-αx) y) =   exp(-αx) (D - α )² y   はすぐ分かる。 したがって

解 y は、

          y =    [1/(D - α )²] f(x) = exp(αx) [1/D²]{ exp(-αx) f(x) }  = exp(αx) ∫∫ exp(-αx) f(x) dxdx  

で与えられる。 同様に積の微分公式ライプニッツの公式)を使うと 

Dⁿ (exp(-αx) y) =   exp(-αx) (D - α )ⁿ y   なので、 n階方程式 (D - α )ⁿ y =  f(x)  の一般解は、

          y =    [1/(D - α )ⁿ] f(x) = exp(αx) [1/Dⁿ]{ exp(-αx) f(x) }

                 = exp(αx)・・ exp(-αx) f(x)  dx・・dx   

で与えられる。 

次の定理は、Dⁿ (exp(-αx) y) =   exp(-αx) (D - α )ⁿ  y  と (3.9) から明らかだろう。


定理 8  平行移動の原理 P(λ) を  λ の多項式とする。 微分方程式

                                     P(D - α) y = f(x)

に対して



          P(D){exp(-αx) y)} = exp(-αx) f(x)


が成り立つ。




 次に α と β を相異なる実数として 2階微分方程式  

(3.11)                (D - α)(D - β)y =  f(x) 

を考えよう。 形式的な計算をする。 部分分数展開より 

               1/(D - α)(D - β) = [1/(β-α)] (1/(D - α)  -  1/(D - β) )

となるから、

(3.12)               y =   [1/(β-α)]{ [1/(D - α)] f(x) - [1/(D - β)] f(x) }

とおくと、 定義により 分母分子をキャンセルして

     (D - α)(D - β)y = [1/(β-α)]{ (D - β) f(x) - (D - α) f(x)

                             = [1/(β-α)]{ f'(x) - β f(x) - (f'(x) - α f(x))} = f(x)

つまり、 (3.12)  は (3.11) の一般解となる。 この事を一般化して部分分数展開を用いると

次の定理が得られる。


  定理 9       α₁, ・・・,  αn を 相異なる実数とする。 n 階微分方程式 

           (D - α1)・・・(D - αn )y =  f(x) 
                                    
に対して


1/(D - α1 )・・・(D - αn ) =  β1[1/(D - α1 )]  +  ・・・  +  βn[1/(D - αn )]
         

と展開されるならは、 一般解は

   y =  β1[1/(D - α1 )] f(x) +  ・・・  +  βn[1/(D - αn )] f(x) 



で与えられる。





さて、定数係数の2階方程式

(D² + aD + b)y  = f(x) において 特性方程式が虚根を持つ場合を考えよう。

まづ、純虚根 ± βi  を持つ場合 

(3.13)         (D² + β²)y  = f(x) 

を考える。 一般解は、  y =   [1/(D² + β²)] f(x)  で与えられる。

部分分数展開をおこなうと、


 
                1/(D² + β²) = [1/(2βi)] (1/(D - βi)  -  1/(D + βi ) ) 

となるから、   

  y = [1/(2βi)] ( [1/(D - βi)]f(x)  -  [1/(D + βi)]f(x) )  

                 = [1/(2βi)] (exp(iβ x) [1/D]{exp(-iβ x) f(x)}  -  exp(-iβ x) [1/D]{exp(iβ x) f(x)} 


となる。 ここで、オイラーの公式

 
exp(±iβ x) = cos βx ± i sin βx  を使って整理すると

        y = [sin βx/β] [1/D]{f(x)cos βx }  -  [cos βx/β] [1/D]{f(x)sin βx }

となる。 これは、以前求めた結果になっている。 次いで、特性方程式が 2虚根 α ± βi

をもつ場合の方程式

(3.14)         ((D-α)² + β²)y  = f(x) 

を考える。 定理 8 を使うと (3.14) から

                   (D² + β²)(exp(-αx) y)  = exp(-αx) f(x) 

がいえるので、(3.13) の形になる。 したがって (3.14) の一般解は

(3.15)         y =  [1/(D-α)² + β²)]f(x) = exp(αx) [1/(D² + β²)]{exp(-αx) f(x)}

                         =  exp(αx) { [sin βx/β] [1/D]{f(x)exp(-αx) cos βx }

                                                  - [cos βx/β] [1/D]{f(x)exp(-αx) sin βx } }

次に微分作用素の既約分解を述べよう。

多項式 P(λ) が互いに素な多項式  P1(λ) と P2(λ) を用いて  P(λ)=P1(λ)P2(λ)  

となっているとする。 このとき、部分分数展開より

(3.16)              [1/ P(λ)] =  Φ1(λ)/P1(λ) + Φ2(λ)/P2(λ)    

となる多項式 Φ1(λ) と Φ2(λ)  が存在する。 このとき   P(D) y = f(x)   の一般解は 

y = [1/P(D)]f(x)  とかけるが、上の分解から推測されるように、

(3.17)  y = [1/P1(D)]{Φ1(D)f(x)} +   [1/P2(D)]{Φ2(D)f(x)}

がなりたつ。 これを定理の形にまとめる。


定理 10       互いに素な多項式  P1(λ) と P2(λ) を用いて  P(λ)=P1(λ)P2(λ)  

となっているとする。 さらに部分分数展開  (3.16)  が成り立つとする。 このとき

P(D) y = f(x)   の一般解 y は (3.17) で与えられる。   



(証明) (3.16)  の両辺に P(λ)=P1(λ)P2(λ) をかけると

                                      1 =  Φ1(λ)P2(λ) + Φ2(λ)P1(λ)

だから 

               Φ1(D)P2(D) + Φ2(D)P1(D) = I

ここで、I は恒等作用素 とする。  すなわち任意の関数 y に対して

             Φ1(D)P2(D)y + Φ2(D)P1(D)y = y              (0)

が成り立つ。  P(D) y = f(x)  の両辺に Φ1(D) を施して Φ1(D)P(D) y = Φ1(D)f(x)  より

P(D)=P1(D)P2(D)=P2(D)P1(D) および Φ1(D) との可換性 を用いると、 

P1(D){Φ1(D)P2(D)y}= Φ1(D)f(x)  となり 

                                 Φ1(D)P2(D)y =  [1/P1(D)]{Φ1(D)f(x)}                 (1)

同様に 

                Φ2(D)P1(D)y =  [1/P2(D)]{Φ2(D)f(x)}                 (2)


(1) と (2) を加えて (0)  を使えば 

           y = [1/P1(D)]{Φ1(D)f(x)} +   [1/P2(D)]{Φ2(D)f(x)}

が得られる。      (証明終)




ここで演算子 [1/P(D)]  についての簡単な一般公式を述べておく。


公式 (1)   P(λ)=P1(λ)P2(λ)  のとき、 微分方程式 P(D)y = f 

の一般解は

         y = [1/P1(D)]{[1/P2(D)]f} =  [1/P2(D)]{[1/P1(D)]f}

であたえられる。


公式 (2)   f = f1+ f2  のとき、 

               [1/P(D)]{f} =  [1/P(D)]{f1} +  [1/P(D)]{f2}




証明は、明らかだろう。 この公式 (2) を使うと 微分方程式

            (D - α)(D - β)y =  f(x)      (α  ≠ β)
  
の一般解は、 

      y =   [1/(D - α)] [1/(D - β)] f(x) =exp(α x) [1/D] {exp(-α x) [1/(D - β)] f(x)}

        =  exp(α x) [1/D] exp((β-α) x) [1/D] {exp(-βx)f(x)}


として求められる。            ((3-18)は欠番)




定理 10 をつかうと、多項式の因数分解定理 から次の定理が示される。





演算子 [1/P(D)] についての基本的事項をのべる。

(1)  P(D)exp(α x) = P(α)exp(α x)

(2)   [1/(D - α)ⁿ]0 = (C1 + C2 x + ・・・ + Cn xn-1 )exp(α x)

(3)   P(λ)  が、互いに素な多項式  P1(λ) と P2(λ) を用いて 

P(λ)=P1(λ)P2(λ) となるとき、

  
               [1/P(D)]0 =  [1/P1(λ)]0 +  [1/P2(λ)]0 

(4)    [1/(D² + β²)ⁿ]0 = {C1 + C2 x + ・・・ + Cn xn-1 }cos βx

                                                   + {C'1 + C'2 x + ・・・ + C'n xn-1 }sin βx


(証明) (1) あきらか。

(2)  [1/(D - α )ⁿ] 0 = exp(αx) [1/Dⁿ]0 = exp(αx)・・ 0 dx・・dx    (積分はn重)

                                   = exp(αx)・・ c1 dx・・dx   (積分は(n-1)重)

                                  = ・・・ = (C1 + C2 x + ・・・ + Cn xn-1 )exp(α x)


(3) 定理 10 で f(x)=0 とおけばよい。

(4)   (D² + β²)ⁿ = (D + iβ)ⁿ (D - iβ)ⁿ   なので、 (2)、(3) を用いて

     [1/(D² + β²)ⁿ]0 = [1/(D + iβ)ⁿ]0 +  [1/(D - iβ)ⁿ]0

                      ={A1 + A2 x + ・・・ + An xn-1 }exp(-iβx)

                          + {A'1 + A'2 x + ・・・ + A'n xn-1 }exp(iβx)

 ここで、オイラーの公式を使い、定数を適当に置き換えれば

[1/(D² + β²)ⁿ]0 = {C1 + C2 x + ・・・ + Cn xn-1 }cos βx

                              + {C'1 + C'2 x + ・・・ + C'n xn-1 }sin β
   

が得られる。





システムに対する記号解析 

これまでに述べてきた演算子を用いる 記号解析 は、連立微分方程式系に対しても有効である。

簡単のため、以下では 2未知変数 y, z の 定係数連立微分方程式系 を考える。

(3.18)   P1(D) y + P2(D)z = f(x),    P3(D) y + P4(D)z = g(x) 

(3.18)  の第1式に 演算子 P4(D) をほどこし、さらに 第2式に 演算子 P2(D) をほどこし、

それらの差をとると

                           {P1(D)P4(D) - P2(D)P3(D)}y = P4(D)f(x) - P2(D)g(x)   

同様にして

          {P1(D)P4(D) - P2(D)P3(D)}z = P1(D)g(x) - P3(D)f(x)

が得られる。   これより、

(3.19)  y = [1/{P1(D)P4(D) - P2(D)P3(D)}] (P4(D)f(x) - P2(D)g(x)),  

               z = [1/{P1(D)P4(D) - P2(D)P3(D)}] (P1(D)g(x) - P3(D)f(x))

を得るが、 これらは微分の階数に対応する任意積分定数をもつため、

(3.18)  の一般解を与えているわけではない。 この事は、後の例で示す。 

行列式を使ってこのことを表現しよう。  



これから、 y,   z  を求めて 実際にもとの方程式系 (3.18)  をみたすべく決めればよい。

2つの例を与える。


 







2016年5月25日水曜日

妻の帰還

やっとワイフが昨日5月24日に退院した。神戸中央市民病院から六甲病院に転院してトータルで2か月と3日の入院生活であった。完全に復調した訳ではないが、何とか自宅で生活できるレベルには達している。その間ワイフの親戚や友人からは本当に沢山のお見舞いや激励をうけて、感謝感激である。ワイフの人柄が皆から愛されているからだと思う。私だったら、誰からも見捨てられ孤独の内に病院での日々を過ごしているハズである(僻みかな?)。

長かった一人暮らしもやっと終わり、声は変わってしまったがお喋りおばさんが帰還してきた。ささやかであるが、買ってきたお惣菜で退院を2人で祝った。ワイフも一口だけだがビールを飲んで祝杯をあげた。

帰宅早々掃除の行き届かぬ室内を整理し、不要物品を手際よく処理してくれている。有難いことである。無理をしない程度には掃除や炊事ができるので、今日からは主夫から家事見習いに格下げになりそうだ。嬉しい降格人事である。買い出しは私だが、ワイフのうまい手作り料理が食べられるようになる。何よりも嬉しいことである。本人は何を作っていたか忘れてしまったと言っているが、そんなのはすぐに思い出す。私の料理はワンパターンで、味付けも自己流の下手くそなのでいささかうんざりしていたが、まもなく開放される。美味く作れたのは野菜スープのみで、それも1週間つづくと飽きてしまう。よく2月つづいたものだ。

帰還してくれて、何よりも精神的に楽になった。これからは平常に近い生活が送れる。毎日の病院通いからも解放される。肉体的にも随分楽である。

ワイフについては血圧を高めるような無理は極力避けて、気長に回復を待つしかない。しかし放っておくと熱心に家事をやり始めるのでセーブするように気をつけねばならない。これは私の役目である。とにかく安静に過ごすこと、それが一番である。

ワイフの友人たちからの退院祝いの花束。



綺麗ですね。とても有難いし、嬉しい事この上ない。

次回からは、この2か月間の空白日誌をときどき書く予定です。これでおしまい。

2016年5月24日火曜日

微分方程式講義(2016年版)VI

3.2 ロンスキアンと定数変化法 


変数係数の2階方程式

(3.4)    y'' + a(x)y' + b(x)y  = f(x) 

を考える。 f(x) ≡ 0  とおいた  斉次微分方程式 は、

(3.5)    y'' + a(x)y' + b(x)y   = 0

である。 ここで、   a(x),  b(x),  f(x)   は実数上のある区間 I で定義されているとする。

(3.4)  の一つの特殊解を y₁ とする。 このとき、次の定理がなりたつ。



定理 3   y₁   (3.4) の一つの特殊解とする。 さらに 斉次方程式 (3.5) 

一般解を   y₀ とすると、 非斉次方程式 (3.4)  の一般解 y は、 

y = y₀+ y₁   で与えられる。
 


証明は、 y を一般解として y - y₁  を考えればよい。 この差は、 斉次方程式 (3.5) の
 
一般解になる。
 




定理 4   y₁, y₂   斉次微分方程式 (3.5) の解とする。 このとき、

  W[y₁, y₂](x)  ≠ 0   または、  W[y₁, y₂](x) ≡ 0  である。




(証明) ロンスキアン W[y₁, y₂]  のみたすべき 微分方程式を導けばよい。 



この定理は、一般の場合にも拡張できることを注意しておく。


定理 4 から、次の定理が直ちにしたがう。




定理 5   a(x),  b(x)  を区間 I 上の連続関数とする。 x₀ を I 上の1点とする。

このとき、 微分方程式 

             y'' + a(x)y' + b(x)y   = 0

の解で次の条件をみたす解  y₁, y₂が存在する。


       y₁(x₀) = 1, y'₁(x₀) = 0 ;    y₂(x₀) = 0, y'₂(x₀) = 1.  


 

このとき、  W[y₁, y₂](x)  ≠ 0   (x ∈ I)  である。


ここで、 W[y₁, y₂](x₀) = (単位行列の行列式) = 1    を注意する。  





定理 6  ベクトル空間  

        V = {y ;   y'' + a(x)y' + b(x)y   = 0

の次元は2である。



(証明) y ∈ V すなわち

             y'' + a(x)y' + b(x)y   = 0
とする。 


y₁, y₂  定理 5 の2つの解とする。 このとき 

W[y₁, y₂](x)  ≠ 0   (x ∈ I)  であるから、行列式論の クラーメルの公式 により

I 上の関数 c ₁(x),   c₂(x) で、
 

      c ₁(x) y₁+   c₂(x) y₂ =  y        (1)        


      c ₁(x) y'₁+   c₂(x) y'₂ =  y'      (2)   

となるものが存在する。  (1) を微分して (2) を使うと、

       c' ₁(x) y₁+   c'₂(x) y₂ = 0      (3)


がしたがう。 さらに、 (2) を微分して


c' ₁(x) y'₁+   c'₂(x) y'₂+ c ₁(x) y''₁+   c₂(x) y''₂ =  y''      (4)    
 


(1)×b(x),  (2)×a(x),  (4)  を  y'' + a(x)y' + b(x)y   = 0 に代入して 整理すると


     c' ₁(x) y'₁+   c'₂(x) y'₂

 + c ₁(x) (y''₁+ a(x)y'₁+ b(x)y₁) +  c ₂(x) (y''₂+ a(x)y'₂+ b(x)y₂) = 0


 となり、結局 

       c' ₁(x) y'₁+   c'₂(x) y'₂= 0      (5)


がいえる。 (3) と (5) および W[y₁, y₂](x)  ≠ 0  なることから、

 c' ₁(x)  ≡ 0,    c'₂(x)  ≡ 0  となり、 

 
   c₁(x) = C₁,    c₂(x) =  C₂  (定数) 


がいえる。  つまり、 y =  C₁y₁ + C₂ y₂  となり 

y は y₁と y₂の一次結合である。   これは、V が 2次元であることを示している。

 (証明終わり)




一般に、 ロンスキアンが 0 にならない解 y₁, y₂ を (3.5)  の

基本解 または 基本解系という。



定理 7  非斉次方程式 

(3.4)    y'' + a(x)y' + b(x)y  = f(x) 

 
 の一般解は、 

(3.6)     y =  y₁(-y₂f(x) / W[y₁, y₂] dx + C₁) 

                + y₂( y₁f(x) / W[y₁, y₂] dx + C₂) 

 で与えられる。 ここで、 y₁, y₂   は (3.5) の基本解とする。


(証明)  定数変化法による証明を与える。

 y  = c ₁(x) y₁+   c₂(x) y₂ とおいて、

c ₁(x) ,   c₂(x)  をうまく選んで この  y   が (3.4) の解になるようにしよう。

この方法は、斉次方程式の解の1次結合における

定数を関数に変えるという意味で、定数変化法と呼ばれる。

                 y'  = c ₁(x) y'₁+   c₂(x) y'₂ +  (c' ₁(x) y₁+   c'₂(x) y₂)       (1)

なので、 

       c' ₁(x) y₁+   c'₂(x) y₂ = 0      (2)

 なるようにしよう。 さらに、(1)  を微分して (2) を使うと 

                 y'' = c' ₁(x) y'₁+   c'₂(x) y'₂+ c ₁(x) y''₁+   c₂(x) y''₂      (3)

 となるから、定理 6 の証明と同様に 

y'' + a(x)y + b(x)y   = f(x) に代入して整理すると、 

     c' ₁(x) y'₁+   c'₂(x) y'₂

+ c ₁(x) (y''₁+ a(x)y'₁+ b(x)y'₁) +  c ₂(x) (y''₂+ a(x)y'₂+ b(x)y'₂) = f(x)

となり、 

                                        c' ₁(x) y'₁+   c'₂(x) y'₂= f(x)      (4)

が導かれる。 (2), (4)  を c' ₁(x) ,  c'₂(x) について連立して解くと

クラーメルの公式 により





定理 3 と 定理 7 の結論を組み合わせると 次の結果が得られる。



公式 3.1   定数係数の2階方程式

 (3.1)    y'' + ay' + by  = f(x) 

の一般解  は、次で与えられる。  



 例をいくつか与える。  





この節の最後に、ダランベールの階数低下法 について述べよう。


ジャン・ル・ロン・ダランベール(Jean Le Rond d'Alembert、1717年11月16日 - 1783年10月29日)

18世紀フランスの哲学者、数学者、物理学者。百科全書派知識人の中心者。


これは、斉次方程式の1つの解を用いて非斉次方程式の解を求める方法である。 

斉次方程式

  (3.5)    y'' + a(x)y' + b(x)y  = 0

の一つの解 y₁  がわかったとする。 非斉次方程式

  (3.4)    y'' + a(x)y' + b(x)y  = f(x) 

 
 の一般解を y = uy₁  の形で求めよう。 

         y' = uy'₁+ u' y₁,      y'' = uy''₁+ 2 u' y'₁+  u'' y₁

なので、 (3.4)  に代入すると

u'' y₁+   u' (2y'₁+ a(x)y₁) +  u(y''₁+ a(x) y'₁+  b(x) y₁) = f(x) 

となるが、  y''₁+ a(x) y'₁+  b(x) y₁= 0   であったから 

      u'' y₁+   u' (2y'₁+ a(x)y₁) = f(x) 

これは、  v = u'   についての1階線形方程式になる。 

      v' +  [(2y'₁+ a(x)y₁) / y₁] v = f(x)/y₁ 

したがって 

   v(x) =  exp (-∫ [(2y'₁+ a(x)y₁) /y₁] dx) 
      ×[∫ (f(x)/y₁) exp (∫ [(2y'₁+ a(x)y₁) /y₁] dx) dx]

 となる。 

ところで、

   [(2y'₁+ a(x)y₁) /y₁] dx = 2 (y'₁/y) dx  + a(x) dx = 2log y₁+ A(x)

なので




昨年度の原稿の3-12、3-13にはミスが含まれていたので修正版で直しておいた。


2016年5月17日火曜日

バルセロナ旅行記 XVII

バルセロナ旅行記を長い間中断していたので、どこまで書いたのかすっかり忘れてしまっていた。 健忘症ということもあるが、余裕のない日々を過ごしていると物事は次から次へと流れてしまい記憶に留まってくれないのである。今振り返ってみると貴重な楽しい家族旅行でした。それでこの旅行記を再開して、その楽しかった記憶を写真を見ながら再現したいと願っている。

前回のXVIでは、ガウディの家博物館を紹介していた。メインの観光であるグエル公園を見終わってから博物館に行ったのでした。博物館見学を終わってから、一旦メトロのレセップス駅に戻ってからパラレル駅まで行き、そこでフニクラに乗り換えてモンジュイック城塞に行くというのが当初の計画であった。

グエル公園バルセロナ屈指の観光地なので、その周辺には幾つものショップがあった。

これはアイスクリーム屋さんのスナップショット。黄色いクマのプーさんを撮りたかった訳で、その隣の若い女性を写したかったわけではない(ということにしておく)。


ブティックですね。お金を使い切ってしまった人のための現金支払機が設置されている。


道路奥に見えるのは、マリア像でなくトルソーである。


グエル公園からの坂道  道路脇には巨大なごみ集積箱が置いてある。


集合住宅  やはり1階部分は店舗になっている。

バルセロナの交通事情。1直線だが、狭い道路が建物を挟んで平行して並んでいる。


郊外といってもバルセロナは人口150万の大都市なので、このようにビル群が碁盤状に立ち並んでいる。

丘陵地域は現在も開発中であるらしい。 道路脇に広がっていたビルの建設現場。


バルセロナの道路事情。何かの工事中。 


レセップス駅前の公園で、老人達がペタンクをして遊んでいる。日本でじゃゲートボールだね。




ペタンク(pétanque) Wikiより引用。

フランス発祥の球技である。名称は南フランス・プロヴァンスの方言「ピエ・タンケ(両足を揃えて)」に由来する。スポールブールやプロヴァンサルゲームをベースに1907年に考案されたとされている。
テラン(コート)上に描いたサークルを基点として木製のビュット(目標球)に金属製のブール(ボール)を投げ合って、相手より近づけることで得点を競うスポーツである。

どのブールがビュットに近いか思案している暇そうな爺さんたち。



人のいない観客席。この前に小さなステージがあり、そこで催し物が行われるのであろう。
背後の近代的な建物は住居用で商業ビルはむしろ少ない様子だ。

 


公園風景。  世界中のどこにでもありそうな景色だが、今となればとても懐かしい気持ちがする。



レセップス駅にもどりメトロでパラレル駅に向かう。その自動改札。


パラレル駅から地上への出入り口


ここでフニクラに乗って、ゴンドラの駅であるパルク・モンジュイック駅に向かう予定であったが、生憎フニクラは運行休止中であった。とても残念。

当然どんな登山鉄道か気になりますよね。検索してみた。こんな真新しい車両でした。乗ってみたかったね。


我々は仕方がないので、タクシーでゴンドラ駅に向かった。幸い料金は日本に比べるとかなり割安である。

ここがパルク・モンジュイック駅





このゴンドラに乗り込み暫しの空中遊歩を楽しむ。最新の車輛である。料金は往復で12ユーロで、片道では8ユーロ。我々は往復券を購入。


ゴンドラはこのように行き交っている。


ゴンドラからバルセ眺めたロナ市街風景






ゴンドラは途中で折れ曲がってカステイ駅に向かう。その折り返し地点。


こんなデカい車輪で方向転換する。


後方の景色



前方の景色

ゴンドラから海岸線を望む。水平線と山々の稜線、そして木々や建築物の織りなす調和がある。


行き違うゴンドラ


モンジュイック城のあるカステイ駅が見えてきた。


ゴンドラに乗る事約10分程でカステイ駅に到着。



カステイ駅の高台からみたバルセロナ市内の眺望。物凄い数の建物群ですね。これらの中にそれぞれの人々の暮らしがある。


時間が殆ど取れないので、今回の記事を書くのに1週間近くも掛かってしまった。書く速度も落ちていて困ったもんですな、と嘆きつつ今回はこれでおしまい。モンジュイック城の観光記事は次回の XVIII にまわす。