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2014年6月30日月曜日

STAP細胞は、存在しない

 

今日の毎日新聞の夕刊のトップは、

ネイチャー、STAP撤回

であった。 これで、ほぼ完全に STAP細胞の息の根が止められたことになる。
おそらく、理研で検証実験をしても1年以内には再現できないだろう。 

私も当初感動して、記事を書いている。 その後の疑惑もだ。

理系女子の活躍     STAP 細胞疑惑     STAP論文の「重大な過誤」

思えば、一体あの大発見騒ぎはなんだったのだろうと思う。 
小保方晴子さんが未熟な研究者と知りつつ、理研が大々的に宣伝したのが最大に悪い。
共著者が再現を自分で確かめないと、つまり結果の正しさを確認できていない限り論文の共著者になってはいけないのである。 根本のところが間違っている。

HARUKO OBOKATA 

この日本で最大の不正事件の責任は理研がとるべきで、やはり提言どうり小保方さんの所属する「発生・再生科学総合研究センター(CDB)」を解体すべきと思う。 
どう見ても、組織がらみの不正なのだ。 

科学界で起った捏造事件は、調べてみると相当な数がある。

ウイリアム・ブロード , ニコラス・ウェイド , 牧野 賢治  背信の科学者たち


これは、非常に面白い本です。特に4章のマーク・スペクターのキナーゼ・カスケード理論崩壊は、
小保方ケースと類似の理由がありそうにおもう。 福岡伸一の本にも紹介がありました。

世界は分けてもわからない (講談社現代新書)


ことは、重大である。 今後この種の不正を減らす(なくなりはしない)ためにも、厳重な処罰を下すべきであろう。 捏造は、ある種の人にとり、「治すすべのない病」 なのだ。
その蔓延を防ぐためにも 不正が起こりにくくしなければならぬのだ。


2002年にアメリカで起こった「超電導研究不正(シェーン事件)

2005年に韓国で起った「ES細胞捏造(ファン・ウソク事件)

と並び、三大不正事件の一つであるとさえ言われている。

「3つの事件のなかでも一番がSTAP細胞論文の問題」 とは、何と情けないことか。


追記: 記事をアップした後、専門家の意見を見つけた。この方の意見が最も妥当だと思える。
だから、 STAP細胞は、存在しない ではなく、存在しそうだが再現するのは困難 なのだ。
面白くない結論である。しかし、不正に手を染めたのは間違いない。 
    STAP細胞ミステリ(2) ―STAP細胞の将来

 STAP細胞の論文の発表から、その存在の疑惑にいたるスキャンダルで、今はだいぶと情報が出てきたのだが、それでだいたい分かったことは、小保方氏はSTAP細胞と名付けられたユニークな細胞を見つけることは成功したが、それがどういう由来で、どういう可能性を持つのか、よく理解できていなかった。
 それで、上司の笹井先生があるストーリーを考えつき、「STAP細胞があるなら、こういう可能性があり、こういうことができる」というふうなアドバイスを与えたようである。(小保方氏にはストーリーを考えつく能力はなかったことは指摘されている。)
 小保方氏は明らかに現場タイプの人であり、そのストーリーに沿って、コツコツと実験を積み重ねてきたのであろうが、そのストーリーを実証するために懸命に努力しても、肝心のTCR再構成と、さらには(余計な実験である)三胚葉性分化を実証することは出来なかった。
 ここでいったんストーリーをチャラにして、新たなストーリーに基づく実験をリスタートすれば良かったのに、小保方氏は、そのストーリーを成り立たせるべく杜撰な捏造の方向に暴走してしまった。それで、STAP細胞は沈没してしまった。


 STAP細胞のストーリーの売りは、「分化された細胞が、単純な外部刺戟により初期化される」ということであるが、そんな奇想天外なストーリーでまず実験を組み立てるより、常識的な線で、STAP細胞は外部刺戟によるinduction(導入)でなく、selection(選択)によって選別されたと考えるのが、元々の実験の流れとしては自然であろう。
 そういう方向でSTAP細胞が立証されれば、「生物の身体のなかには、常にごく僅かに初期化された細胞があり、普段は何の役にも立っていないが、過酷な環境のなかでは生き残り、その結果、何らかの役割を発する可能性を持っている」という生物内モデルが確立する。
 そうなれば、今までinduction説が主流であった成人型の癌細胞の発生についても、「じつは癌細胞はirregularなものでなくregularなものであり、癌組織の形成については、その増殖の方向を間違えたものにすぎない」とかの説も成り立ち、新たな研究が行われ、種々の発明が為される可能性がある。


 STAP細胞論争、小保方氏のやったことがあまりにひどいので、STAP細胞はただの幻であった、と結論づけるのは当然とはいえるが、それにしてはNature論文の実験の結果は捨て去るには惜しいものが多量に含まれている。
 STAP細胞は、私見では再生医療の役には立たないとは思うが、初期化細胞、というか未分化細胞についてのミステリについて、多くの解明の鍵を握る存在に思えるので、リベンジの意味も兼ねて、理科研で研究を続行してもらいたいものである。



再追記: 上の論説も好意的に過ぎたようだ。理研での追実験においても、STAP細胞を再現することができなかった。STAP細胞は幻と結論してもよいようだ。

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