地元にあるのに、行かなかった美術館に横尾忠則現代美術館 がある。 退職して暇だし、いつでも行けると思うとかえって行けないものである。
横尾忠則は、デビュー当時から知っている私の好みのグラフィックデザイナーである。また、最初の頃は、映画俳優だとも思っていたのだ。 若いころに、大島渚監督の映画 新宿泥棒日記 を見たせいである。 パートカラーで、濡れ場だけがカラーになるのである。 これは、その頃の成人映画の常套手段であった。 当時、アングラ なるものが流行っており、私もそれにかぶれていたのだ。 無頼にはなれぬものの、若かったせいで、そういう存在に憧れていたのだ。 それから40年以上経ってしまうと、結局
才能のある人間だけがその混沌から生き残ったのだ。 唐 十郎、寺山修二、宇野亜喜良、四谷シモン そしてこの 横尾忠則 とかである。
大島渚 監督 『新宿泥棒日記』
当時の最先端都市新宿に、多彩なカリスマたちを被写体として置き、時代の「アングラ」な熱気を切り取ろうとした意欲作。ドキュメントとフィクションの融合は、素人とプロの俳優の拮抗とも重なり、他に類をみないワンダーランドの現出を成功させた、ポップ&アートな一作。
上映作品:『新宿泥棒日記』
1969年/94分/白黒・パートカラー 出演:横尾忠則、横山リエ、田辺茂一、高橋 鐵、佐藤 慶、渡辺文雄、戸浦六宏、唐 十郎、四谷シモン、若林美宏、状況劇場の人々(麿 赤兒、大久保 鷹、不破万作、九頭 登、藤原マキ、李 礼仙)
今や、横尾忠則は偉大な画家となり、個人名を掲げる美術館を持つまでになっている。
大したものである。現存の人物としては珍しい。それだけの膨大な仕事を為してきた故である。
私には、横尾忠則はグラフィックデザイナーもしくはイラストレーターとしての印象が強く、画家としての業績を余り知らないのであった。
それで、このたび横尾忠則現代美術館 で、阪神・淡路大震災20年展
横尾忠則展 枠と水平線と・・・グラフィック・ワークを超えて
2014年7月12日(土)~9月28日(日)
が開催されているのを知り、ブログ記事取材のために出かけたのである。
その前に、いつものように Wikipedia からの紹介。
兵庫県西脇市生まれの美術家、グラフィックデザイナー。西脇市名誉市民。
神戸新聞社にてグラフィックデザイナーとして活動後、独立。1980年7月にニューヨーク近代美術館にて開催されたピカソ展に衝撃を受け、その後、画家宣言。以来、美術家としてさまざまな作品制作に携わる。
彼自身の活動については、Wiki の 横尾忠則 が参考になるが(記述に偏りがある)、画業については、 横尾忠則現代美術館のホームページ が一番詳しいし、信頼がおける。
美術館は、阪急王子公園駅から道路ぞいに歩いて6分くらいの距離にある、原田の森内に
ある。
美術館は、阪急王子公園駅から道路ぞいに歩いて6分くらいの距離にある、原田の森内に
ある。
ここは、兵庫県立美術館の王子分館の一部である。 開館は、2012年11月3日と新しく、かっての
兵庫県立美術館王子分館 原田の森ギャラリーの西館として利用されていたものを改修、転用したものである。
昨日の写真だが、本館前は、このようになっている。 小雨が降っており、それ程暑くはない。
美術館の基本データは、このようになっている。
横尾忠則現代美術館 | |
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施設情報 | |
専門分野 | 横尾忠則 |
館長 | 蓑豊 |
事業主体 | 兵庫県 |
管理運営 | 兵庫県芸術文化協会 |
延床面積 | 2970.81m² |
開館 | 2012年11月3日 |
所在地 | 〒657-0837兵庫県神戸市灘区原田通3-8-30 |
位置 | 北緯34度42分30.5秒 東経135度12分48.2秒 |
ウェブサイト | http://www.ytmoca.jp/index.html |
[会期] 2014年7月12日(土)- 2014年9月28日(日)
[会場] 横尾忠則現代美術館
開館時間:10:00-18:00(金・土曜日は-20:00)入場は閉館の30分前まで[会場] 横尾忠則現代美術館
休館日 :月曜日〈ただし7/21・9/15は開館、7/22・9/16は休館〉
主 催 :横尾忠則現代美術館(〔公財〕兵庫県芸術文化協会)、神戸新聞社
後 援 :兵庫県、兵庫県教育委員会、神戸市、神戸市教育委員会
協 力 :ホテルオークラ神戸
観覧料:一般600円
大学生:450円
高校生・65歳以上300円
中学生以下無料
実に有難いことに、 地元民であり65歳以上なので、入場料300円であった。
ものすごく得をした気持ちになったのである。 また今度、行けるではないか。
長いが、今回の展示会のコンセプトを引用する。
横尾忠則のポスター作品を主とする展覧会を開催します。それらは、ポスターという形式をとってはいますが、彼の絵画と変わらない表現行為と見なすことができるのではないでしょうか。この点を、まさに絵画に向けるのと同様の視点を設定することで明らかにするのが本展覧会の意図です。このことは、ポスター以外に絵画、装幀本、下絵なども出品することで、異なる媒体に通底する特徴として浮かび上がってくることでしょう。展覧会は7つの章からなります。まず、タイトルにあげた「枠」や「水平線」によって横尾の特徴的な空間を紹介し、次に、「人物」や「文字」などの代表的なモチーフを取り上げ、最後に、モチーフの「繰り返し」や「集合」、作品同士の展開である「変容」といった横尾らしい手法に光を当てます。本展覧会が、横尾の、グラフィック・ワークを超えるグラフィック・ワークを理解する機会となれば幸いです。
このような、会場になっている。今回のイベントの説明会の開始時間には少し早かった。
スタジオの向かい側が売店になっており、ポスターや絵葉書、横尾忠則関連グッズが販売されている。
横尾デザインのバッグやTシャツも売られているが、こんなのもあるのだ。
キーホルダー、コースター、フィギュアである。
2階、3階がメインの展示場である。 展示室は、1章から7章まで分かれている。
写真は禁止されているため、作品の画像をアップできない。 かなり多くの作品が展示されてあり、見ごたえがあります。 コラージュ風の作品が多く、本来の横尾らしさが現れています。
まづ利用できる画像のみアップする。
展示会の図録は、売店で販売されています。2,000円です。
画像が物足りない、と、どなたも思うであろう。 私もそう思う。 従って、私がいいなと思った作品をこの展示会の作品と無関係に選んで、連続でアップする。 著作権については、ちょっと不安だが、問題はなかろうと見切り発車である。(勿論展示されていた作品も沢山ある。)
三宅一生です。
モデルの詮索は別にして、これらは珍しく単色で描かれている。構図は抜群ですね。
彼の作品では、同じモチーフが様々に変化しながら何度も現れる。
つぎは肖像画です。
私は、こんなコラージュ風の作品が好きですね。
左上が、ピカソで滝は彼が執着するアイテムだ。
つぎの2点はポスターでなく、油絵です。
このような作品を見て、充分に堪能したのである。
4階は、アーカイブルームになっている。横尾忠則の関連資料を整理・公開している。彼の著作や、画集、カバーイラストを描いた本などが一部公開されている。
最初に説明した、彼が主演した映画 新宿泥棒日記 のDVDです。
今も売ってるんだね、とむしろ驚く。
4階の窓から見た景色だ。 目の前の教会(前身は、関西学院チャペル)のような建物は、
神戸文学館 です。 ここも、そのうち地元シリーズで紹介します。
かくして、全ての見学を終わったのち、1階のオープンスタジオに下ると説明会が始まっていた。
美術館の美人キュレータの方が、彼の画業とか人となり、エピソードなどを説明してくれるのだ。
これは、実物の横尾でなく、モニターに写ったものだが、美術館の壁に展示年をマジックで書いてしまうという、思いもかけぬ彼の行動を示している。彼は、比較的常識人であるが、やはり発想は常人ではないのである。
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