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2016年4月26日火曜日

微分方程式講義(2016年版)III

予定では、2回目の講義で2章の3節まで説明する積りだったが時間的に無理でした。微分方程式の例の説明が多すぎた訳だが、解き方の解説よりは例を沢山知ることのほうが大事です。
3回目の講義は、この原稿のIIの2章の3節から始める。


2.4 完全微分方程式

 

微分形の方程式

(2.9)    P(x,y)dx + Q(x,y)dy = 0

において、 


(2.10)    P(x,y) = ∂F(x,y)/∂x,       Q(x,y) = ∂F(x,y)/∂y      

となる F(x,y)  が存在するとき、(2.9)  は 完全微分方程式 という。 

このとき、 (2.9)  は 全微分 dF(x,y)  を用いて

(2.11)    dF(x,y) = [∂F(x,y)/∂x] dx + [∂F(x,y)/∂y]dy = 0

とかける。 したがって、  (2.10) をみたすとき、 (2.9) の解は、 

(2.12)    F(x,y) = C   (C は、積分定数)

とかける。  特に F が C²級 とすると 

      ∂P(x,y)/∂y = ∂²F(x,y)/∂y∂x =  ∂²F(x,y)/∂x∂y = ∂Q(x,y)/∂x

つまり


(2.13)    ∂P(x,y)/∂y  =  ∂Q(x,y)/∂x       

がなりたつ。 実は、逆がいえる。



定理 1 P(x,y),  Q(x,y)  
は、 C¹級 とする。


 (2.9)    P(x,y)dx + Q(x,y)dy = 0
 

が 完全形 であるための 必要かつ十分条件は、
   
 (2.13)    ∂P(x,y)/∂y  =  ∂Q(x,y)/∂x     


である。


(証明) (2.9)  が完全形なるとき、 (2.13) が成り立つことはすでに示した。 

逆を示そう。 今  F(x,y) =P(x,y)dx + R(y)  として、  R(y) をうまく取れば

dF(x,y) = 0  なることを示すとよい。 ∂F(x,y)/∂x = P(x)   なので 

   ∂F(x,y)/∂y =  (∂/∂y)P(x,y)dx + R'(y) = Q(x,y) 

となるように R(y)  を決めるとよい。  ところで (2.13) より

     (∂/∂x)[Q(x,y)  - (∂/∂y)P(x,y)dx ] =  ∂Q(x,y)/∂x - (∂²/∂x∂y) ∫P(x,y)dx
                                
       =    ∂Q(x,y)/∂x -  (∂/∂y)(∂/∂x) P(x,y)dx  =   ∂Q(x,y)/∂x -  ∂P(x,y)/∂y  = 0        

となり、 Q(x,y)  - (∂/∂y)P(x,y)dx は x に無関係、 つまり y だけの関数になる。 

 よって   R'(y) = Q(x,y) - (∂/∂y)P(x,y)dx  より、 この式を y で積分して

             R(y) = ∫[Q(x,y) - (∂/∂y)P(x,y)dx ]dy

とすればよい。 実際

dF(x,y) = [∂F(x,y)/∂x]dx + [∂F(x,y)/∂y]dy 
              
    = P(x,y)dx + [R'(y) + (∂/∂y)P(x,y)dx] dy  

             =  P(x,y)dx + [Q(x,y)  - (∂/∂y)P(x,y)dx + (∂/∂y)P(x,y)dx] dy  

             =  P(x,y)dx + Q(x,y) dy 

がなりたつからである。 


例をあげる。

 
 


 


 

積分因子

一般に、微分方程式 (2.9) は完全ではない。 条件 (2.13) を満たさないものは多数ある。

しかし、ある関数 M(x,y) を (2.9) の両辺にかけると、完全になる場合がある。 つまり

(2.14)    M(x,y)P(x,y)dx + M(x,y)Q(x,y)dy = 0
 

が 完全形 になるとき、 このような関数  M(x,y) のことを、積分因子  という。

従って、このとき

(2.15)   (∂/∂y)(M(x,y)P(x,y))  =   (∂/∂x)(M(x,y)Q(x,y))

がなりたつ。 すなわち M(x,y) は

(2.16)   P(∂M/∂y)- Q (∂M/∂x) = M((∂Q/∂x)- (∂P/∂y)) 

をみたすことが必要十分である。 (2.16) は M について1階偏微分方程式で、 

これを解くことは、一般に容易ではない。 

しかし特殊な場合には、M を求めることは可能である。

非常に都合のいい条件設定だが、M が x のみの関数となったとする。 

このとき、(2.16)  の左辺第1項は消えるので、さらに都合のよい仮定だが

(Qx- Py)/Q が x のみの関数であれば 変数分離形として積分因子 M  が求まる。


その他の場合も考えられる。 ここでは、この場合も含め3つの特殊な場合を考える。


(i)  (Qx- Py)/Q が x のみの関数の場合

M(x,y)=M(x)  と考えることができる。 このとき、(2.16) より

dM/dx = [1/Q](Py - Qx) M  

となり    M(x) = exp ( (Py - Qx)/Q dx)  が積分因子となる。


(ii)  (Qx- Py)/Q が y のみの関数の場合

M(x,y)=M(y)  と考えることができる。 このとき、(2.16) より

dM/dy = [1/P](Qx- Py) M  

となり    M(y) = exp ( (Qx- Py)/P dy)  が積分因子となる。



(iii)  P(x,y),   Q(x,y)   が同次式の場合、 つまり

P(λx, λy) = λn P(x, y),    Q(λx, λy) = λn Q(x, y)      の場合。

 このとき、

 M(x,y) = 1/ (xP(x,y) + yQ(x,y))   は、積分因子になる。  

これを確かめる。  
ここで、同次形の特徴づけを用いる。


 
ここで、積分因子を求めることによって解ける微分方程式の例を2つあげよう。




 
 
 
 


 


 

2016年4月18日月曜日

微分方程式講義(2016年版)II

IIは、2章から始める。必ずしも講義の回数と番号づけは一致しません。

さて、1回目の講義で 評価基準レポート提出 について説明した。ここに再録しておく。

・レポート 40点 (3回の予定) A4レポート用紙使用。手書き限る。

・定期試験 60点 (80点満点という噂もある)


レポート提出の決まり

1) A4 縦書きのレポート用紙を使用 (A4白紙も可)

2) にのみ解答を書くこと。 裏は白紙。

3) 学番、氏名、提出日 を記入する。 (表紙はつけてもつけなくともよい)

4) レポートの左上ホッチキスで止める。 (めくって見やすいように)

5) 手書き にかぎる

以上絶対に守ること。期日厳守。違反の場合は、減点。



2章  1階常微分方程式と求積法





この章では、積分を実行することにより、解を求めることのできる微分方程式を扱う。



 2.1 変数分離形


一階方程式の正規形 は、

(2.1)   y' = f(x,y)


で与えられる。  f(x,y) = f(x)g(y)  となっている場合

(2.2)   y' = f(x)g(y)


のタイプの一階方程式を 変数分離形  という。

(2.2) は、形式的につぎのようにして解ける。

 
 
この様に、

(1) 代数方程式を解く
(2) 変数変換を行う
(3) 微分や積分を行う

などの操作を有限回行い解を求めることを、 求積法 という。 

例を与えよう。 以下例は、各節ごとに改めて番号づける。



 
ここで、 C は微分方程式の初期条件に対応する定数と考えられる。
 
 



 

 2.2 変数分離形に直せる微分方程式


(2.3)   y' = f(y/x)

の形の微分方程式を考える。 このタイプの方程式は、同次形(もしくは斉次形)とよばれる。

この方程式は、簡単な変数変換で 変数分離形 に直せる。 

y/x = u   つまり y=ux  とおくと、  y' = u + xu'   なので、  

xu' = f(u) - u  となり、

 
 
2つほど、例をあげよう。




 
 
 
同次形に帰着される変形 Version を考えよう。
 
 
 
(2.4)    y' = f((ax+by+α)/(cx+dy+β)),     ad - bc ≠ 0


ad - bc ≠ 0   なので、  連立方程式

ax+by+α = 0,   cx+dy+β = 0

は、 唯一つの解  x = x₀        y = y₀ をもつ。 

今  X = x - x₀,   Y = y - y₀  と変数変換すると、  dY/dX = dy/dx   なので、 

(2.4) 式は

(2.5)   dY/dX = f((aX+bY)/(cX+dY))

の形になる。  (2.5) は 同次形 なので、 Y = uX  とおくことにより

変数分離形 に帰着できる。


 
 
(2.4) において、 ad - bc = 0  の場合も解くことができる。  実例を示そう。

 

さて、同次形の一般化を考える。

(2.6)   dy/dx = xn-1 f(y/xn ) 
  
  ここで、 n  は、自然数(実は、正の数でよい) とする。 

 このとき、 y = xn と変数変換すると、  y' = nxn-1 u + xn u'   なので、  

方程式は               nxn-1 u + xn u'  = xn-1 f(u) となり、 xn-1 でわると   

       xu'  =  f(u) - n つまり  

        du/dx  =  (1/x) [f(u) - nu]

 となり、 変数分離形 に帰着される。  

例を2つあげよう。
 


 

  

 2.3 1階線形常微分方程式


p(x) 、   q(x) を 区間 I  上の 連続関数 とする。

一階常微分方程式が、


(2.7)    y' + p(x)y = q(x) 


の形にかけるとき、線形 という。 y と y' について一次式になっていることを注意。
 

(i)   q(x) = 0  のとき、 (2.7)  は、 同次形 という。
 
(ii)   q(x) ≠  0  のとき、 (2.7)  は、 非同次形 という。


(i)  同次形 の解法

1節で示したように、解は

   
    y = C exp(- p(x)dx)    


とかける。 C は積分定数である。


(ii)  非同次形 の解法  (定数変化法) 

q(x) ≠  0  のとき、 (2.7)  の解を   u(x) =  exp(- p(x)dx)    として

y = C(x)u(x)    の形で求めよう。  

同次形の解の表示における定数 C 関数 C(x) 変化させる訳である。

y'=C'u+ Cu'   なので、 (2.7)  に代入して 整理すると、

  C'u + C(u'+p(x)u) = q(x)

であり、 u'+p(x)u=0   なので

   
  C'(x) = q(x)/u(x)   となる。 これを、積分して

     C(x) =  q(x)/u(x) dx  + C  

であるから、 (2.7) の解は

 

(2.8)    y = exp(- p(x)dx[ ∫ q(x) exp( p(x)dx) dx + C ]


で与えられる。  

この方程式は、重要なので4つほど例をあげよう。

 


2016年4月10日日曜日

微分方程式講義(2016年版)IーB

1.3 微分方程式の例

 

1.落体運動と放物運動

高校の物理で習ったように、質点の落下についての微分方程式は、

(3.1)   mx"(t) = mg

 で与えられる。ここで、 m は質点の質量、 g は重力加速度を表す。

この方程式の解は、積分により

(3.2)   x(t) = (1/2)gt² + v0 t + c 

で与えられる。ここで、v0 は、質点の初速度であり、
 
は質点が運動を始める位置を表す。



つぎに放物運動を考えよう。



図のように原点から、水平方向となす角 θ の方向に質点を

初速度 v0 で投げるときの運動方程式は

(3.3)    mx"(t) = 0,    my"(t) = - mg

で与えられる。 ここで、初期条件は

(3.4)    x(0) = 0,    y(0) = 0 ;

           x'(0) = v0 cos θ,   y'(0) = v0 sin θ

となる。従って、積分によりこの微分方程式を解く事により

(3.5)     x(t) = v0 t cos θ,     y(t) =  - (1/2)gt² + v0 t sin θ   で与えられる。



2.単振子

下図のような単振子を考える。



質量 m の質点に長さ l の糸を付けて、

一端を固定して鉛直面内で円弧を描くように振らせる。

このとき、この糸と鉛直方向とのなす角を θ とすると、運動方程式は

(3.6)    mlθ"(t) = - mg sin θ

となる。 θ が小さい時、 sin θ = θ と見なすと、微分方程式は線形となり、

解は、後の議論により

(3.7)    θ(t) = C1 sin αt + C2 cos αt

で与えられる。ここで、 α = √(l/g) である。


3.平面上の円の方程式


(x,y) 平面上の曲線 y = f(x) が十分滑らかとする。 このとき、この曲線の曲率は、

             y"/(1+y'²)³/²

で表わされる。 


この曲率が一定のとき、つまり


(3.8)     (d/dx) y"/(1+y'²)³/² = 0 なるときを考える。 

(3.8) を実際に計算して整理すると

(3.9)     y"'(1+y'²) - 3y'y''² = 0

が得られる。 (演習問題

(3.9) は、 3階の非線形微分方程式である。 この微分方程式を解くのは難しいが、

一般解は、

(3.10)     x² + y² + 2ax + 2by + c  = 0     (a² + b² > c)

で与えられることが知られている。 ここで、 a, b, c は任意定数である。

(3.10) を、 3回微分して定数 a, b, c を消去すれば微分方程式 (3.9) が得られる。

これを確かめてみよ。  (演習問題

さて、(3.10) は一般の円の方程式を表すので、

曲率一定な曲線は円

ということができる。




.熱伝導の方程式


熱伝導の方程式とは、時間と共にその物質の温度分布がどのように推移するかを、

表現した偏微分方程式である。 



3次元 (x,y,z)-空間内の物体 G の時刻 t における温度 u = u(x,y,z) は、

偏微分方程式

(3.11)     (∂/∂t) u = (∂²/∂x²) u + (∂²/∂y²) u + (∂²/∂z²) u


 をみたす。この方程式を 熱伝導の方程式(熱方程式) という。 微分作用素

       (∂²/∂x²) + (∂²/∂y²) + (∂²/∂z²) ≝ Δ

のことを(3次元)ラプラシアン という。数理物理上、最も重要な作用素の1つである。

空間次元が1のときの熱方程式は、

     (∂/∂t) u(t,x) = (∂²/∂x²) u(t,x)

空間次元が2のときは、

     (∂/∂t) u(t,x,y) = (∂²/∂x²) u(t,x,y) + (∂²/∂y²) u(t,x,y) 

である。

 このようなタイプの方程式を、放物型偏微分方程式 という。


 .振動の方程式


振動の方程式とは、物体の振動現象(変位が時間と共に、どのように推移するか)を、

記述した偏微分方程式である。

 

膜の振動のシミュレーション


3次元 (x,y,z)-空間内の振動する物体 G の時刻 t における変位 u = u(x,y,z) は、

偏微分方程式

(3.12)     (∂²/∂t²) u(t,x,y,z) = Δ u


 をみたす。 この方程式を 振動の方程式(波方程式)という。 

空間次元が1のときの波動方程式は、

      (∂²/∂t²) u(t,x) = (∂²/∂x²) u(t,x)

空間次元が2のときは、

      (∂²/∂t²) u(t,x,y) = (∂²/∂x²) u(t,x,y) + (∂²/∂y²) u(t,x,y) 

である。

このようなタイプの方程式を、双曲型偏微分方程式 という。


これで、第1章は終了。
 


微分方程式講義(2016年版)IーA

今年度も引きつづき阪大の非常勤を務めます。昨年と同じく「数学A」の講義で、水曜日の4限です。担当は、基礎工学部の物性物理科学と化学工学コースの2年生です。

今年度は、4月13日開始。 学生諸君、半年の間どうかよろしく。

微積分の初歩を知っていれば高校生でも解かるように講義するつもりである。講義の内容をこれまでと同様にこのブログの記事にします。講義で聞きもらしたりした事があれば、この記事を見てください。興味のある高校生の方も、どうぞ読んでみてください。

昨年と同じく 教科書はこれです。

微分方程式
Differential Equation






元 大阪大学教授 理博 長瀬道弘 著    裳華房

 内容は、つぎのようになっている。 

1  序論
 1.1 微分方程式
 1.2 1階微分方程式の幾何学的な意味
 1.3 微分方程式の例

2  1階常微分方程式と求積法
 2.1 変数分離形
 2.2 変数分離形に直せる微分方程式
 2.3 1階線形常微分方程式
 2.4 完全微分方程式
 2.5 その他のよく知られた1階微分方程式
 2.6 微分不等式とグロンウォールの不等式

3  線形常微分方程式
 3.1 定係数2階線形常微分方程式
 3.2 ロンスキアンと定数変化法
 3.3 定係数微分方程式と記号解法
 3.4 定係数n階線形微分方程式について

4  連立微分方程式
 4.1 定係数連立線形微分方程式
 4.2 基本解とロンスキアン
 4.3 高階の微分方程式と連立微分方程式

5  初期値問題
 5.1 初期値問題に対する解の存在と一意性
 5.2 連立微分方程式に対する初期値問題
 5.3 行列の指数e^A

6  連立微分方程式の解の漸近挙動
 6.1 相空間解析
 6.2 線形連立微分方程式の解軌道
 6.3 解の安定性について
 6.4 極方程式と解の挙動

7  べき級数解とベッセルの微分方程式
 7.1 べき級数解
 7.2 よく知られた微分方程式のべき級数解
 7.3 ベッセルの微分方程式

8  偏微分方程式の初期値問題
 8.1 放物型方程式の対する初期値問題
 8.2 双曲型方程式に対する初期値問題

9  混合問題とフーリエ級数
 9.1 放物型方程式の対する混合問題
 9.2 フーリエ級数について
 9.3 双曲型方程式に対する混合問題


教科書は、常微分方程式と偏微分方程式の基礎部分を解説している。 
その内、私の担当部分は前半の常微分方程式の部分で、1章から6章2節までです。
昨年の実績からいうと、14回の講義で終了します。しかし、試験の範囲は、1章から5章までとする。

教科書に沿ってほぼ忠実に講義する予定ですが、それ以外のトピックについて話をする場合もあります。 例題はできるだけ教科書と違うのを選ぶつもりです。 

講義原稿を、昨年度の原稿の改訂版として順次アップします。今年度は昨年度と比較して大きな変更はありません。

それでは、早速講義を始める。



常微分方程式 

1章  序論


1.1 微分方程式


工学系の数学において、微分方程式は基本的に重要である。

後に示すが、多くの物理法則は数学的には微分方程式の形に表現されるからである。

それ故、物理法則を理解しようとすれば、その微分方程式を解く必要が生じる。

また物理的もしくは数理科学における現象を微分方程式としてモデル化することも大切である。

そのためにも微分方程式の持つ意味と、その解法を学ぶことは重要である。

この講義では、求積法で解ける微分方程式の解法や線形方程式の解法や

その基礎的な性質を学ぶ。 物理現象との関連も、講義中に幾つか注意をしたい。

微分方程式は、なにか?


これを一応定義すると、こうなる。 変数 x を独立変数とする関数   y = f(x)   に対して、

y  およびその導関数  y' = y(1)dy/dx,    y'' = y(2)d2y/dx2 ,  ・・・ ,    y(n)dny/dxn     を含む関係式

(1.1)     F(x, y, y(1) , ・・・, y(n) ) = 0

微分方程式という。 この方程式をみたす関数 y = f(x)  を微分方程式 (1.1) の解 という。

具体例を与えてみよう。



微分方程式に含まれる導関数のうちで、その階数の最も高いものが n であるとき、

この微分方程式を n 階の微分方程式 という。

一般に n 個の任意定数 C1, ・・・ , Cn   を含んだ関数 y = f(x,  C1, ・・・ , C)  を n 階まで微分しよう。

(1.2)    y = f(x, C1, ・・・ , Cn ),  

    y(1)  = f(1) (x, C1, ・・・ , Cn ), 
      ・・・  
    y(n)  = f(n) (x, C1, ・・・ , Cn )

これら n 個の式から(うまくいけば)定数 C1, ・・・ , Cn   を消去して、 (1.1)の関係式が得られる。

また、逆に n 階の微分方程式 

(1.1)   F(x, y, y(1) , ・・・, y(n) ) = 0

に対し、n 個のの任意定数 C1, ・・・ , Cn   を含む 解 y = f(x,  C1, ・・・ , C)  を 

(1.1)の一般解という。 

さらにこの任意定数に具体的な値を代入して得られる解を特殊解という。 

一般解として表現できない解が存在するとき、このような解を特異解という。  

微分方程式が、未知変数 およびその導関数 について一次式であるとき、

微分方程式は線形であるという。 そうでないときは、非線形と言う。 

例1では、(4)を除き (1)、(2)、(3)全て線形である。 

(1)、 (2) は1階線形、(3)は2階線形である。

一般に n 階線形方程式は、つぎの形に書ける。

(1.3)   an(x)y(n) + an-1(x)y(n-1)  + ・・・ + a1(x)y(1) + a0(x)y  = f(x)


いままでは、未知変数 y が1つの場合であったが、未知変数を2つ以上含む

微分方程式も考えることができる。

例を示そう。


 
 
 
例2のような形の微分方程式を、連立微分方程式という。



例1や例2においては、独立変数が x のみの関数に対する微分方程式であった。

つぎの例3では、独立変数が x と y の2つである場合、

従って偏微分を含む微分方程式である。



このような2つ以上の独立変数をもつ微分方程式を偏微分方程式という。 

区別をするために、(1.1)の形の1独立変数の微分方程式を常微分方程式とよぶ。 

例3の方程式は、全て線形偏微分方程式であるが、 u = u(x,y)  についての

モンジュ・アンペールの方程式



は、非線形偏微分方程式である。


常微分方程式論においては、

(1.3)   y' = f(x,y),    y(x0) = y0

のような問題を、初期値問題またはコーシー問題という。

これは、 "初期条件  y(x0) = y0 をみたす微分方程式 y' = f(x,y)  の解を求めよ" 

という問題である。

また2階の微分方程式に対して、つぎの形の境界値問題も応用上しばしば現れる。

(1.4)    y'' = f(x,y, y'),    y(a) = 0,   y(b) = 0   (a < b)


これは、 " x =  a のとき y(a) = 0,    x =  b のとき y(b) = 0  をみたす

微分方程式 y'' = f(x,y, y')  の解を求めよ" 

という問題である。端点 a, b で値を指定するので、境界値問題とよばれる。

 
 
 

1.2 1階微分方程式の幾何学的な意味 



正規形の、一階微分方程式

(2.1)     y' = f(x,y)

を (x,y) 平面上で考えよう。  y' は、(x,y) 平面での y = y(x) の勾配、

すなわち x における接線の傾きであるから、

(2.1)はその勾配が場所 (x,y) の関数 f(x,y) となることを言っている。

微分方程式 y' =y について、各格子点上でそのような勾配をの矢印で示してみる。



このような場のことを方向場という。

格子点を無限に沢山選んでいくと、微分方程式の解の概形が浮かびあがる。

この例では、 y = C exp(x)    なることが見て取れる。

一般に f(x,y) は、(x,y) 平面上の領域 D で与えられているとする。 

"このとき D内の点 P0(x0,y0) を通る解曲線 y = y(x) があったとして、

この点のおける接線の傾き y '(x0)  が f(x0,y0) に等しい。"

このことが、"全てのD内の点に対して成り立つ" というのが、 (2.1)の意味である。

 


つぎにコーシーの折れ線について説明をしよう。

 D内の点 P0(x0,y0) を1つ固定する。 h を充分小さな正数とする。 

このとき、P1(x1,y1) を

             x1 = x0 + h,    y1 = y0 + hf(x0,y0)  

つぎに点 P2(x2,y2) を

             x2 = x1 + h = x0 + 2h,    y2 = y1 + hf(x1,y1)  

により定める。 以下帰納的に Pk(xk,yk) を

            xk = xk-1 + h = x0 + kh,    yk = yk-1 + hf(xk-1,yk-1)  

により定義する。

点 P0,  P1, ・・・・, Pn  を結んだ折れ線のことを、コーシーの折れ線 という。

作り方から、このコーシーの折れ線 は、(2.1)の初期条件 y(x0) = y

の下での近次解と考えられる。

実際、f(x,y) がD で滑らかな場合には、コーシーの折れ線は、

(2.1)の解に収束することが証明される。




2016年4月9日土曜日

日録 II

3月27日 つづき。

11時5分前に自宅を出て病院に向かう。丁度12時に到着する。次男と三男は来ていた。ワイフの容態は徐々にだが良くなっている。まだまだ息をするのが苦しそう。流動食を少し食べてから、私や息子達と話をしたりする。だいぶ話を続けられるようになっている。3時まで見守り。今は心臓のペースメーカーと点滴の管が1本だけになっている。

治療室を退出してから垂水の丸亀うどんで昼食。私は息子から聞いて天ぷら丼にする。うどん屋でも天丼が食べれるのだ。その後自宅に戻り、洗い物を片付ける。少し仮眠してから病院に向かう。

6時前に病院到着。夕食中。相変わらず食欲はなく余り食べられないが、食べる量は少し増えたようだ。昼の面会よりは元気そうで、右手足のむくみは大分引いてきた。リハビリで5分間座る訓練の2回目をする。息を吸い込む訓練はしばらくお休み。

息子達とよもやま話。斜声のほうはしばらくは治らないようだ。しかし手術で治すことが可能と伺った。これは余り心配していない。まだまだ呼吸が苦しそうだ。 6時半すぎに長男が見舞いにくる。次男が東京に帰らねばならぬので、7時半ごろ息子達は車で帰って行った。

腸の蠕動を促す漢方を飲んでおり、手術後初めてのウンチがでる。息子が帰るまで我慢していたらしい。少しだが柔らかく良好なウンチ(?)。 8時まで見守りそしてから病院を出て、ポートライナー、JR、市バスを乗り継いで帰る。自宅に着いたのは9時半過ぎ。帰りは接続が悪く日曜ということもあり1時間半かかる。

帰宅後残り物の筋肉の煮込みを当てにして缶ビール1本飲む。ワイフの事を考える。手術後は劇的に改善したが、これからは徐々にしか良くなってこない。日にちが薬だと思う。私自身は疲れが出てきている。10時半ころ就寝。


3月28日

6時半に目が覚める。寝室でワイフの携帯に入っていた友人のメールに返事をだす。新聞を読んでから今日のスケジュールを考える。共同購入の事務局への連絡をしてから、銀行でフリカエ、それと買い物を済ませてから病院に行く予定。母の見舞いにも行く予定。早めに出ないといけないので、その前に洗濯をする。

隣の家で「あさが来た」を見てから朝食の用意。残り物のキャベツ、ニンジン、カニカマを使ってコールスローを作る。インスタントコーヒーは病院で買ってきたもの。ネスカフェのレギュラー版で美味しくない。カニカマが多すぎてコールスローも美味くない。残り物処理なので仕方がない。もっと美味い朝飯を作れるよう努力せねば。

洗濯物を乾してから植木の水やり。これで朝の仕事は一応完了。9時20分になったので、共同購入の事務局へ連絡をする。来月からの購入停止が決まる。これでワイフの対外的な仕事への連絡は全て終わった。後は銀行のフリカエ業務。

今日からは息子達は来れないので見守りは私だけになる。一層健康には気をつけねばならぬ。朝シャンをする。着替えを済ませて10時前に自宅を出る予定。銀行によってから母の施設に行って、見舞いをして後、市民中央病院にいく積り。ここで記録中止。

 記録再開。バスで阪急六甲に着く。銀行のATMでフリカエをする。意外に簡単でした。市バスに乗り換えて母の施設で面会。ワイフの症状の報告とよもやま話。母は元気になってきている。11時10分になったので、市民中央病院に向かう。12時少し前に市民病院に着く。ワイフは比較的に元気そうだ。しかし相変われず呼吸は苦しそう。心臓のペースメーカーも取り外して、点滴と鼻からの酸素注入の管のみ。量も濃度も低くなっている。尿の管も取り外した。どうしても肺の底に痰が溜っていくのだが、それを自力で強く吐きだせるようになっている。徐々に良くなっている。

長兄夫婦が2度目の見舞いに来てくれた。劇的に改善しているととても喜んでくれた。確かに集中治療室初日から比べると信じられぬ程の回復には違いない。また、リハビリで立ち上がって足踏みを10回した。そのうち歩けるようになるのは確実と思った。有難い。長兄夫婦とはワイフの幼少時代の長話になり、つい面会時間が長くなる。3時15分になり、15分超過。別に文句は言われなかったが、良い事ではないね。次回からは気を付けよう。

自宅に戻りワイフの下着を用意する。国民健康保険の振り込みも頼まれたが、どこを探しても用紙が見当たらず。JR六甲道駅で弁当とお惣菜を買って帰ったので、その弁当を食べる。5時すぎになってしまったので、タクシーで阪急六甲まで行く。阪急を利用して三宮へ。市バスとJR線の定期があるので無駄な出費になってしまった。三宮からポートライナーで市民病院前に到着したのは5分前。ぎりぎり6時の面会時間に間に合う。

ワイフは血色も良くなり、手足のむくみもすっかり取れた。声帯の1つはまだ元に戻っていないので、嚥下するのはまだまだ難しい。痰は依然続いている。痰を吐くと、とても苦しいという。苦しいけど痰がでるたびに良くなると励ます。便器が据えつけられていて、大と小が出たそうだ。実に良好。よもやま話をする。私がメイルの送り方をワイフに教えて貰って、息子に母元気メールを送る。返信を見せると、なんと自分で返信を打ち始めた。手先は完全に従来通りに動かせる。うまくいけば近日中に集中治療室は出られるかもしれぬ。

国民健康保険の振り込みは再度請求が来るだろうからその時で良いとのこと。7時56分に治療室を退出。8時6分のポートライナーに間に合わすようにするため。膝が痛いので早く歩けないのだ。病院から駅までは結構な距離がある。10分弱を見ておかねばならぬ。

JR、市バスを乗り継いで9時10分ころ自宅に着く。六甲では雨が降ったので洗濯物が心配だったが大して湿っていない。室内に取り込む。それから、買ってきたお惣菜で缶ビールを1缶飲む。少し読書して、10時半に寝る。


3月29日

6時15分前に目が覚める。朝刊を読む。お腹の具合がおかしい。下痢だ。風邪を引いた兆候はない。昨晩のオクラか焼き豚かもしれぬ。神経性のものかもしれぬ。今朝の朝食はコーヒーのみにする。

今日は膝の治療で整形に行ってからそのまま病院に向かう予定。朝の為すべき仕事は特にない。ワイフの靴下は既に用意済み。洗濯物をたたむ。今朝は「あさが来た」はパス。朝シャンをすませる。体重を量ると70.4㎏で一気に3㎏減。これから整形に行く。ここで記録中断。

整形に行って治療後薬を貰ってから、そのまま病院へ行く。12時前に着。嚥下の不調はつづくもののワイフの容態は改善してきた。頼まれていた靴下をもってきたが、指定されたのと違うのも持ってきてしまった。重症患者用のG-ICU室からやや軽微なG-HCU室に移動。ワンランクアップする。しばらくして長姉親子とそのお孫さんが2度目の見舞いに来てくれた。劇的に良くなったと感激しながら喜んでくれた。本当に有難い。看護師さんも交えて話が弾む。3時になったので皆で退出。

ポートライナーの市民広場に行き、そこにあるコンビニで弁当を買って昼ご飯。南公園周辺を散策してから病院に戻る。

6時に集中治療室に戻る。顔の血色も良くなってきた。肺に炎症を起こしてないか、翌日CTの検査をすることになる。検査同意書にワイフは自分で署名。流動食も半分位は食べられるようになってきた。おかゆは糊みたいでまずいと言ってるが、見た目もそう。とろみをつけたお茶などは、むせずに飲めるようになってきている。これもリハビリの1つである。早く固形物を食べられるようになれば良いのにね。8時5分前に退出。

ポートライナーの8時6分の便に間にあう。これに乗ると9時10分ころに自宅につく。自宅には張り紙がしてあり、玄関部分に水漏れがあるので温水器の排出口の水溜めをチェックしろとのこと。毎朝見ているが缶にはほんの少ししか水は溜まっていない。会長と監査役の奥さんが来て温水器の様子を見てもらう。水漏れは無さそうで、原因がわからない。聞かれたのでワイフの容態も話す。翌朝9時に管理会社の担当者に連絡することになる。残りもののコールスローで缶ビール1本で夕食。疲れた。10時半に寝る。

3月30日

朝4時半に目が覚めるが、しんどくてベッドから起き上がれない。うつらうつらする。それでも6時には起きて、昨日の後かたずけと洗濯をする。新聞をゆっくり読んで、長姉からのお見舞いのチーズケーキとコーヒーで朝食。隣で「あさが来た」を見る。しばらく資料の整理。日録を書く元気はない。

9時になったので、管理会社に連絡する。こちらで出来る事は処理するようにということで、水理会社の人に連絡する。様子を説明して自宅に居る時間帯に検査にきて欲しい旨を言ったが、ワイフの入院中は無理っぽい。1日仕事になるので、容態が安定してからにする。電話報告をしていて受け皿が濡れていたのを話していて気が付く。応急処置の水受けの缶を調べて見たところ水漏れがしている。水が溜まっても全部下に流れてしまっていた訳だ。缶を水が入りやすいように変形させた時に底に隙間が空いたらしい。一応は一件落着。修理はワイフが一般病棟に移ってからにしてもらう。

10時23分のバスに乗って母の見舞い。妹にケータイで連絡済ませる。11時5分まで施設にいて母とよもやま話。面会後すぐにバスに乗って病院へ。12時前に病院到着。ワイフは元気。身体には点滴の針が1本だけ。これは点滴というより造影剤を注射したりするのに必要。買ってきた漫画は6冊読了。残すは1冊のみ。声はかすれているが、普段通りのお喋りなワイフに戻っている。

九死に一生を得た8時間の大手術だったのが嘘みたいだが、胸には肋骨を切り開いた長い傷跡が残っている。体内には炎症の跡がまだ幾つも残されている。肋骨がワイアで3ヵ所で結ばれているが、骨がくっつくまでにはまだ3ヶ月半ほどかかるそうだ。これからも安静な生活を当分は続けなければならない。生きていてくれて、本当に有難い。早速、温水器の水漏れ処理に対する私の愚痴を聞いてくれて助言を与えてくれたのである。私の気も楽になる。病室からメールも打てる。今日は孫の誕生日でそのお祝いメール。孫二人の写真が送られてきた。可愛い。

CTの検査が遅くなったので、終了まで病室に居る。検査の報告は翌日になるとの事。3時半ころに治療室を出て、病院周辺を散策。近くに先端医療センターや理化学研究所の建物がある。小保方さんの居た研究所だね。ケーニッヒクローネの建物もある。医療センター駅の軽食喫茶店でビーフカツ定食を食べる。850円で分量がある。痩せたのでエネルギー補給。

6時前に病院に戻る。ワイフはより元気を取り戻している。流動食も半分は食べた。嚥下のリハビリも開始。ゆっくり飲めば水分補給はバッチリである。買ってきたリンゴジュースもとろみをつけて1箱250㏄全て飲みきった。吸引の練習もしていて、250㏄吸い込むのを1日に5×5回以上した。成功率は高くなった。もうこれで安心である。自力で歩いてトイレにも行ける。漫画本も7巻全部読了。ワイフとよもやま話をしているとあっという間に8時近くになる。ポートライナー、JR、バスを乗りついで自宅に帰る。

洗濯ものを取りこんでから夜食の用意。当てのソーセージを湯がいて缶ビール1本飲む。1時間ほどベッドで読書して11時ころ就寝。心安らか。


3月31日

6時に目が覚める。良く寝た。新聞を読んでから日録を書く。前日分の記録をまだ書いてなかった。この所疲れていて記録する元気がない。

今日は息子の定休日なので、見舞いに来てくれるはず。店はまづ順調のようだ。隣に行って「あさが来た」を見る。自宅に帰って朝ごはんの用意。1枚とインスタントコーヒー2杯。昨日の残りのソーセージ1本とオリーブ数玉。まあまあの味。

食後洗濯物をたたんでから植木の水やり。病室に持っていく物のチェック。新しい靴下とマスク。双方とも発見。10時50分に自宅を出て病院に行く。ここで記録休止。

病院に12時に着いてから3時までワイフの見守り。容態にはさほど変化なし。息子と楽しそうに会話。郵便物の受け取りや新聞代の支払いなどがあるので、六甲のスシローで昼飯を取ってから息子に自宅まで送ってもらう。5時以降に郵便物の受け取りや新聞代の支払いなどを済ませる。姪のS子ちゃんから母へのフランスからのチョコレートの贈り物も受け取る。それ以降は昨日と同様の業務をこなす。缶ビールを1本飲んで11時ころに寝る。


4月1日

6時に目が覚める。洗濯や日々の雑事を処理してから10時30分ころ自宅をでて病院へ。ワイフに頼まれていた靴下、マスク等を持っていく。熱は下がらないので検査をする。3時すぎに退出。6時まで病院周辺を散歩して病室に戻る。8時までワイフの見守り。その後は昨日と同様の日常業務をこなす。この日の容態の詳細は記録できず。大きな変化はない。


4月2日

朝9時まえに温水器の水漏れの応急処置をして貰う。幸い10時半ころには終わったので、用事をすませてから病院にいく。

火災保険は掛けていなかったので、自宅部分は勿論だが(確定したとして)被害を与えた共有部分の工事費もこちらの支出になるようだ。かなり大きな出費になる。自治会の共益費で、共有部分の工事費についてはサポートして貰えるよう議題にあげげさせてもらう積りだが、見込みは少なそう。マンションの住民に不可抗力であっても、こんな事が起ることを知ってもらうのがむしろ目的。

母の見舞いをしてから病院へいく。母の状態はリハビリで改善している。S子ちゃんのチョコを喜んで食べる。

病院に着く。ワイフは元気そうだが、依然として微熱はある。症状は治まっていると判断されたのか、ようやく2時半に同じ階の一般病棟に移る。東病棟の419号室。集中治療室には、都合12日間いた訳になる。長いね。

次男が東京から帰ってきて見舞いに来る。彼は土日の2日間面会時間中ずっといてくれた。長男も翌日曜夜に研修を終えてから見舞いに来てくれた。仕事があり二人とも忙しい身なのに嬉しいことだ。ワイフの喜び方が違う。

4月3日~5日

なすべき用事が多くてつい日々の記録をメモし忘れる。しかし詳細な記録を書く必要はもうない。私の精神状態は安定している。気を紛らわせる必要は余りないのだ。

5日の朝に整形に行き、両膝にヒアルロン酸の注射。相変わらず痛みがあり長時間歩けない。その後買い物を済ませ私の薬を貰ってから自宅に帰る。それから洗濯をして、母の見舞いと病院通いという、今まで記したような日常を私は送っている。

ワイフの容態

一般病棟に移ってもワイフの様子は相変わらずである。軽い肺炎を起こしているようで、依然熱が下がらない。抗生物質を毎晩投与されている。CT検査のために絶食する。左の声帯の弁の麻痺は治ってないので、とろみ食を当分続けなければならない。相変わらず斜め声だが、比較的に元気である。食べるには一口づつ左側を向いて飲み込むので、相当時間がかかる上に疲れてしまうようだ。気管に入らぬように食べることが最大の課題になっている。歩行訓練もしており、運動機能については問題はなくリハビリで回復を促すのみ。


肋骨を切り人工心肺器を使っての大手術だったので、胸には30㎝以上の手術跡がある。腹部や下肢には長い傷跡があり見るのも痛ましい。喉にも塞がっているが手術跡がある。

肋骨の完治には半年以上かかるだそうだ。心臓は機能が落ちないように気を配り続けねばならない。体内の炎症は見られない。血管が再び破れることのないように、常に血圧を低く保つようにする必要がある。

嚥下機能を固形食を食べられるまで回復させれば何とか日常生活は送れる。機能の回復はまだまだなので一般病棟には移れたが入院は長引くようだ。

血圧のあがるような無理はできないので、これからは息子の店の手伝いはやめる。とにかく安静状態を保ち、気長にリハビリを頑張っていくしかない。生きていればこそ、色んな楽しいこともあるのだ。


4月6日~現在

日録はこれでおしまいにする。これを書いたお蔭で、どこかで冷静さを保ち取り乱すことは少なかったようだ。看護役の私も元気でないといけないと意識できたのは、ワイフの症状を細かく記したお蔭である。日記ブログの効用の1つかもしれぬ。

私の精神状態は安定しているので、これからはワイフと母親のサポート役に徹する積り。主夫としては大抵のことはこなせるようになった。昨日したのは布団カバーの洗濯と収納、春物衣服への切り換え。事務書類や郵便物の処理。2軒分の会計処理。マンションの水漏れ事故。その他etc. 書き出してみると色々ありますね。

通院と病院での付き添いや日常の主夫業務でやる事が多くなりこの日録を書く時間もなくなった。来週からは、非常勤講師の準備もしなければならない。

疲労はかなり溜っているので、休めるときには休むように心がけている。実際7日の夕方は病室で血圧が上がり過ぎて頭痛で寝込みそうになった。病院に行ったが、ストレスが原因だろうとの事。何より私自身が健康には注意しなければならぬ。

ワイフの容態は咳がずっと続いて微熱がある。8日には左肺から溜っている水を400㏄抜いた。まだまだ安定状態には達していない。ずっと見守ることが必要になる。

兎に角ワイフの看護が第一なので、このブログはしばらく更新できないと思う。朝の日録を書く時間が無くなったのだ。

次回からは普段のブログ記事に戻るつもり。時間があれば時々記事をアップする積りです。

ワイフは生きていてリハビリに励んでいます。