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2017年5月17日水曜日

微分方程式講義 (2017年版)V

3章では、2階線形微分方程式の解法とその基本的な性質について学ぶ。


第3章 線形常微分方程式

3.1 定係数2階線形常微分方等式 

この節では、 a,  b を定数として2階の定係数方程式

(3.1)    y'' + ay' + by  = f(x) 

を考える。 ここで f(x) は与えられた連続関数とする。 f(x) ≡ 0  

とおいた 斉次微分方程式

(3.2)    y'' + ay' + by  = 0

の解を見出そう。 

いわゆる 定数変化法 により、 (3.2) の解から (3.1) の解は、求積法により 

求めることができる。 この事は、次節で述べる。

線形方程式に関する次の定理が成り立つ。 証明はほとんど明らか。


定理 1   y₁, y₂ が斉次微分方程式 (3.1) の解であれば、 任意の定数 C₁,  C₂ に対し

C₁y₁+ C₂y₂ もまた (3.1) の解である。




(3.1) の解の作る空間

V = {y;   y'' + ay' + by  = 0} 


とおくと、これは 2次元のベクトル空間になっている。 



つまり、2階の方程式なので、独立な2つの解(基本解)が存在するのである。 (理由は後に示す) 

これら独立な解の一次結合を (3.2) の一般解 という。  2つの任意定数を含むことに注意。

(3.2) を解くため、 y = exp(λx)  の形の解を求めよう。 

y' = λ exp(λx),   y'' =  λ² exp(λx)  であるから、(3.2) に代入すると


                                      (λ² + aλ  + b) exp(λx) = 0

が得られる。 exp(λx) ≠ 0  なので、このことより λ は2次方程式

 (3.3)     λ² + aλ  + b = 0

の根となるように取ればよい。  (3.3)  を (3.1) または (3.2) の特性方程式 という。

 (3.3) は、2根 λ₁, λ₂をもつからそれらに対応する解が 基本解 になる。 

詳しく言うと、次の定理が成り立つ。  判別式 D = a² - 4b  とする。



定理 2 (i)  D > 0 のとき、  (3.3) の相違な2実根を α , β とおくと、 

微分方程式 (3.2) の一般解は、

                            y = C₁exp(αx) + C₂exp(βx)

で与えられる。

  
 (ii)  D = 0 のとき、  (3.3) の重根を α とおくと、 

微分方程式 (3.2) の一般解は、

                            y =  (C₁+ C₂x) exp(αx)

で与えられる。

 (iii)  D < 0 のとき、  (3.3) の相違な2虚根を α ± βi  とおくと、 

微分方程式 (3.2) の一般解は、

                            y = exp(αx) (C₁cos βx +  C₂sin βx )

で与えられる。


 (証明) (i)   y₁=exp(αx)  と  y₂=exp(βx) が解になることは、既に確かめている。

 y₁, y₂が一次独立なることを確かめるとよい。 そのため、 




(ii)  y₁=exp(αx)  が解になることは明らか。 exp(λx)  を方程式に代入して計算すると

                       (exp(λx))'' + a (exp(λx))'  + b exp(λx) = (λ - α)² exp(λx) 

が得られる。 したがってこの式を λ で微分すると

     (x exp(λx))'' + a (x exp(λx))'  + b x exp(λx) = (λ - α) {2+x(λ - α)}exp(λx)


となり、  λ = α を代入すると、 (x exp(λx))'' + a (x exp(λx))'  + b x exp(λx) = 0. 


つまり、 x exp(λx)) も (3.2) の解。 一次独立性を示そう。 そのため、



 (iii)  複素根を持つ場合、計算により y₁ = cos βx exp(αx),  y₂=sin βx  exp(αx)  が

共に  (3.2)  の解であることを確かめられる。 

方程式を複素数係数解の範囲まで広げると、(i) と同様に 

 y₁ =  exp((α + βi) x) ,  y₂= exp((α - βi) x) が2つの一次独立な解になる。

ここで、 オイラーの公式    exp(βi x) = cos βx + i sin βx    をつかうと、

(y₁+ y₂)/2 = exp(αx) cos βx ,      (y₁- y₂)/2 i =  exp(αx) sin βx     なので、 

結論にある2つの一次独立な解が得られる。 一次独立性を確かめよう。


例をあげよう。


ここで、導入した 関数行列式 W[ y₁, y₂]  のことを y₁, y₂ ロンスキアンという。 

一般的には、次のように定義する。 






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