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2014年4月15日火曜日

微分方程式講義 IV

 

第3章 線形常微分方程式

3.1 定係数2階線形常微分方等式 

この節では、 a,  b を定数として2階の定係数方程式

(3.1)    y'' + ay' + by  = f(x) 

を考える。 ここで f(x) は与えられた連続関数とする。 f(x) ≡ 0  とおいた斉次微分方程式

(3.2)    y'' + ay' + by  = 0

の解を見出そう。 

いわゆる 定数変化法 により、 (3.2) の解から (3.1) の解は、求積法により 

求めることができる。 この事は、次節で述べる。

線形方程式に関する次の定理が成り立つ。 証明はほとんど明らか。


定理 1   y₁, y₂斉次微分方程式 (3.1) の解であれば、 任意の定数 C₁,  C₂ に対し

C₁y₁+ C₂y₂もまた (3.1) の解である。


V = {y;   y'' + ay' + by  = 0とおくと、これが実は 2次元のベクトル空間になっている。 

つまり、2階の方程式なので独立な2つの解(基本解)が存在するのである。 (後に示す) 

これら独立な解の一次結合を (3.2) の一般解 という。  2つの任意定数を含むことに注意。

(3.2) を解くため、y = exp(λx) の形の解を求めよう。 

y' = λ exp(λx),   y'' =  λ² exp(λx)  であるから、(3.2) に代入すると


                                      (λ² + aλ  + b) exp(λx) = 0

が得られる。 exp(λx) ≠ 0  なので、このことより λ は2次方程式

 (3.3)     λ² + aλ  + b = 0

の根となるように取ればよい。  (3.3)  を (3.1) または (3.2) の特性方程式 という。

 (3.3) は、2根 λ₁, λをもつからそれらに対応する解が 基本解 になる。 

詳しく言うと、次の定理が成り立つ。  判別式 D = a² - 4b  とする。



定理 2 (i)  D > 0 のとき、  (3.3) の相違な2実根を α , β とおくと、 

微分方程式 (3.2) の一般解は、

                            y = C₁exp(αx) + C₂exp(βx)

で与えられる。

  
 (ii)  D = 0 のとき、  (3.3) の重根を α とおくと、 

微分方程式 (3.2) の一般解は、

                            y =  (C₁+ C₂x) exp(αx)

で与えられる。

 (iii)  D < 0 のとき、  (3.3) の相違な2虚根を α ± βi  とおくと、 

微分方程式 (3.2) の一般解は、

                            y = exp(αx) (C₁cos βx +  C₂sin βx )

で与えられる。


 (証明) (i)   y₁exp(αx)  と  y₂exp(βx) が解になることは、既に確かめている。

 y₁, y₂が一次独立なることを確かめるとよい。 そのため、 



(ii)  y₁exp(αx)  が解になることは明らか。 exp(λx)  を方程式に代入して計算すると

                       (exp(λx))'' + a (exp(λx))'  + b exp(λx) = (λ - α)² exp(λx) 

が得られる。 したがってこの式を λ で微分すると

                    (x exp(λx))'' + a (x exp(λx))'  + b x exp(λx) = (λ - α) {2+x(λ - α)}exp(λx)

となり、  λ = α を代入すると、 (x exp(λx))'' + a (x exp(λx))'  + b x exp(λx) = 0. 



つまり、 x exp(λx)) も (3.2) の解。 一次独立性を示そう。 そのため、


 (iii)  複素根を持つ場合、計算により y₁ = cos βx exp(αx),  y₂=sin βx  exp(αx)  が

共に  (3.2)  の解であることを確かめられる。 

方程式を複素数係数解の範囲まで広げると、(i) と同様に 

 y₁ =  exp((α + βi) x) ,  y₂= exp((α - βi) x) が2つの一次独立な解になる。

ここで、 オイラーの公式    exp(βi x) = cos βx + i sin βx    をつかうと、

(y₁+ y₂)/2 = exp(αx) cos βx ,      (y₁- y₂)/2 i =  exp(αx) sin βx     なので、 

結論にある2つの一次独立な解が得られる。 一次独立性を確かめよう。
例をあげよう。

3.2 ロンスキアンと定数変化法 

1節で導入した 関数行列式 W[ y₁, y₂]  のことをロンスキアンという。 

一般的には、次のように定義する。 
この節では、 n=2 の簡単な場合を考えていく。

変数係数の2階方程式

(3.4)    y'' + a(x)y' + b(x)y  = f(x) 

を考える。 f(x) ≡ 0  とおいた斉次微分方程式 は、

(3.5)    y'' + a(x)y' + b(x)y   = 0

である。 ここで、 a(x),  b(x),  f(x) は実数上のある区間 I で定義されているとする。

(3.4)  の一つの特殊解を y₁とする。 このとき、次の定理がなりたつ。



定理 3   y₁を (3.4) の一つの特殊解とする。 さらに 斉次方程式 (3.5)  の一般解

 
y₀ とすると、 斉次方程式 (3.4)  の一般解 y は、 y = y₀+y₁ で与えられる。
 


証明は、 y を一般解として y - y₁を考えればよい。 この差は、 斉次方程式 (3.5) の
 
一般解になる。
 
定理 4   y₁, y₂斉次微分方程式 (3.5) の解とする。 このとき、

  W[y₁, y₂](x)  ≠ 0   または、  W[y₁, y₂](x) ≡ 0  である。


(証明) ロンスキアン W[y₁, y₂]  のみたすべき 微分方程式を導けばよい。 


この定理は、一般の場合にも拡張できることを注意しておく。


定理 4 から、次の定理が直ちにしたがう。


定理 5   a(x),  b(x)  を区間 I 上の連続関数とする。 x₀ を I 上の1点とする。

このとき、 微分方程式 

             y'' + a(x)y' + b(x)y   = 0

の解で次の条件をみたす解  y₁, y₂が存在する。

               y₁(x₀) = 1, y'₁(x₀) = 0 ;    y₂(x₀) = 0, y'₂(x₀) = 1. 
 
このとき、  W[y₁, y₂](x)  ≠ 0   (x ∈ I)  である。


ここで、 W[y₁, y₂](x₀) = (単位行列の行列式) = 1    を注意する。  

定理 6  ベクトル空間  

              V = {y ;   y'' + a(x)y' + b(x)y   = 0

の次元は2である。


(証明) y ∈ V すなわち

             y'' + a(x)y' + b(x)y   = 0

とする。 
y₁, y₂定理 5 の2つの解とする。 このとき 

W[y₁, y₂](x)  ≠ 0   (x ∈ I)  であるから、行列式論の クラーメルの公式 により

I 上の関数 c ₁(x),   c₂(x) で、
 

 c ₁(x) y₁+   c₂(x) y₂ = y        (1),         c ₁(x) y'₁+   c₂(x) y'₂ = y'     (2),    


  
 
 
となるものが存在する。  (1) を微分して (2) を使うと、

                c' ₁(x) y₁+   c'₂(x) y₂ = 0      (3)

がしたがう。 さらに、 (2) を微分して

        c' ₁(x) y'₁+   c'₂(x) y'₂+ c ₁(x) y''₁+   c₂(x) y''₂ = y''      (4)    
 


(1)×b(x),  (2)×a(x),  (4)  を  y'' + a(x)y + b(x)y   = 0 に代入して 整理すると

     c' ₁(x) y'₁+   c'₂(x) y'₂
 + c ₁(x) (y''₁+ a(x)y'₁+ b(x)y'₁) +  c ₂(x) (y''₂+ a(x)y'₂+ b(x)y'₂) = 0


 となり、結局 

                 c' ₁(x) y'₁+   c'₂(x) y'₂= 0      (5)

   がいえる。 (3) と (5) および W[y₁, y₂](x)  ≠ 0  なることから、

 c' ₁(x)  ≡ 0,    c'₂(x)  ≡ 0  となり、 

 
  c ₁(x)  = C₁  c₂(x) =  C₂  (定数) 

がいえる。  つまり、 y =  C₁y₁+ C₂ y₂となり y は y₁y₂の一次結合である。

これは、V が 2次元であることを示している。     (証明終わり)




一般に、 ロンスキアンが 0 にならない解 y₁, y₂ を (3.5) の基本解 または 基本解系
 という。


定理 7  非斉次方程式 

(3.4)    y'' + a(x)y' + b(x)y  = f(x) 

 
 の一般解は、 

(3.6)     y =  y₁(∫ - y₂f(x) / W[y₁, y₂] dx + C₁) 
              + y₂(∫ y₁f(x) / W[y₁, y₂] dx + C₂) 

 で与えられる。 ここで、 y₁, y₂ は (3.5) の基本解とする。


(証明)  定数変化法による証明を与える。

 y  = c ₁(x) y₁+   c₂(x) y₂ とおいて、 c ₁(x) ,   c₂(x)  をうまく選んで 

この y が (3.4) の解になるようにしよう。 この方法は、斉次方程式の解の1次結合における

定数を関数に変えるという意味で、定数変化法と呼ばれる。

                 y'  = c ₁(x) y'₁+   c₂(x) y'₂ +  (c' ₁(x) y₁+   c'₂(x) y₂)       (1)

なので、 

               c' ₁(x) y₁+   c'₂(x) y₂ = 0      (2)

 なるようにしよう。 さらに、(1)  を微分して (2) を使うと 

                 y'' = c' ₁(x) y'₁+   c'₂(x) y'₂+ c ₁(x) y''₁+   c₂(x) y''₂      (3)

 となるから、定理 6 の証明と同様に 

y'' + a(x)y + b(x)y   = f(x) に代入して整理すると、 

     c' ₁(x) y'₁+   c'₂(x) y'₂

+ c ₁(x) (y''₁+ a(x)y'₁+ b(x)y'₁) +  c ₂(x) (y''₂+ a(x)y'₂+ b(x)y'₂) = f(x)

となり、 

                                        c' ₁(x) y'₁+   c'₂(x) y'₂= f(x)      (4)

が導かれる。 (2), (4)  を c' ₁(x) ,  c'₂(x) について連立して解くと クラーメルの公式 により



定理 3 と 定理 7 の結論を組み合わせると 次の結果が得られる。

公式 3.1 定数係数の2階方程式

 (3.1)    y'' + ay' + by  = f(x) 

の一般解 y  は、次で与えられる。  


 例をいくつか与える。  



この節の最後に、ダランベールの階数低下法 について述べよう。

これは、斉次方程式の1つの解を用いて非斉次方程式の解を求める方法である。 

斉次方程式

  (3.5)    y'' + a(x)y' + b(x)y  = 0

の一つの解 y₁がわかったとする。 非斉次方程式

  (3.4)    y'' + a(x)y' + b(x)y  = f(x) 

 
 の一般解を y=uy₁の形で求めよう。 

         y' = uy'₁+ u' y₁,      y'' = uy''₁+ 2 u' y'₁+  u'' y₁

なので、 (3.4)  に代入すると

u'' y₁+   u' (2y'₁+ a(x)y₁) +  u(y''₁+ a(x) y'₁+  b(x) y₁) = f(x) 

となるが、y''₁+ a(x) y'₁+  b(x) y₁= 0  であったから 

      u'' y₁+   u' (2y'₁+ a(x)y₁) = f(x) 

これは、v = u'  についての1階線形方程式になる。 

      v' +  [(2y'₁+ a(x)y₁) /y₁] v = f(x)/y₁ 

したがって 

(3.7)     v(x) =  exp (-[(2y'₁+ a(x)y₁) /y₁] dx ) 
          × [∫ [f(x)/y₁] exp (∫ [(2y'₁+ a(x)y₁) /y₁] dx ) dx] 

 となる。 ところで、

   ∫ [(2y'₁+ a(x)y₁) /y₁] dx = 2y'₁/y₁ dx  + a(x) dx = 2 log y₁+ A(x)

なので

かくして次の公式を得る。
 
 







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