Wiki には、これについての簡単な説明がある。 ポアンカレ・ベンディクソンの定理
時間の余裕がなく、見やすくした以外は昨年度の原稿とほぼ同じなのをお断りしておきます。
第6章 連立微分方程式の解の漸近挙動
6.1 相空間解析
つぎの連立微分方程式の初期値問題を考える。
(6.1) y1' = y2, y2' = - y1 ; y1(0) = c1, y2(0)= c2
この問題の解が、
(6.2) y1(x) = c1 cos x + c2 sin x ,
y2(x) = - c1 sin x + c2 cos x
で与えられることは、5章で証明した。 これを、行列-ベクトル記法で表現してみる。
上図の円周を (6.1) の 解軌道 または 解曲線 という。
このように、独立変数 x が動くとき、解がどのように y1-y2 平面上を動くかを
考察するする事は重要である。
このとき、考察すべき y1-y2 平面を 相空間 と言い、この問題の解析を
相空間解析 という。
通常の記法にならって、この章では、
x → t , y1 → x , y2 → y
として、 相空間 xy 平面上で考えることにする。 また微分の記法を
x˙ = dx/dt , y˙ = dy/dt
のように dot で表す。
さて、相空間解析においては、つぎの形の連立微分方程式が研究の中心になる。
(6.3) x˙ = f(x, y), y˙ = g(x, y)
右辺の関数 f(x, y), g(x, y) が定義域の各点の近傍でリプシッツ連続なるとき、
前章で証明したように初期値問題の解は一意であるから、
解軌道は交わらない ことがわかる。
前章で証明したように初期値問題の解は一意であるから、
解軌道は交わらない ことがわかる。
システム (6.3) のように、f(x, y), g(x, y) が時間変数 t を含まないとき、
自励系 という。
(6.3) において、f(a, b) = 0, g(a, b) = 0 となる点 (a, b) が存在するとき、
この点 (a, b) を (6.3) の 平衡点 または 特異点 という。
この点 (a, b) を (6.3) の 平衡点 または 特異点 という。
さて、 (a, b) が (6.3) の 平衡点 して、座標系の平行移動
x゜= x - a , y゜= y - b
を行えば、 微分方程式 (6.3) は、
(6.4) (x゜)˙ = f゜(x゜, y゜), (y゜)˙ = g゜(x゜, y゜)
と書きなおされる。 ここで、
f゜(x゜, y゜) = f(x゜+ a, y゜+ b) , g゜(x゜, y゜) = g(x゜+ a, y゜+ b)
であり、
f゜(0, 0) = f(a, b) = 0 , g゜(0, 0) = g(a, b) = 0
なので、 原点 (0,0) が、 (6.4) の平衡点になる。 従って、 原点が 自励系
(6.3) の平衡点であるとして一般性は失わない。
次節では、線形微分方程式に対する相空間解析を行う。
6.2 連立線形微分方程式の解軌道
a, b, c, d を定数として、連立線形微分方程式
(6.5) x˙ = ax + by, y˙ = cx + dy
を考えよう。 このとき、 (6.5) は 原点 (0,0) を平衡点として持つ。
(6.5) の解軌道の様子は、
行列 ( ( a, c )t , ( b, d )t ) の 固有値 と 固有ベクトル
を調べることにより、完全にきまる。
4章1節で示したように、次の結果がなりたつことを思い出そう。
を調べることにより、完全にきまる。
4章1節で示したように、次の結果がなりたつことを思い出そう。
この解の表示を用いて、t → ∞ としたときの解軌道の様子を描くことができる。
これらは、λ1, λ2 , α, β, λ, の符号や値などによって決まる。
(i) の場合を調べる。 λ1 ≧ λ2 として差し支えない。 逆符号の場合は x と y を
入れ替えて考えればよい。
(ii) の場合はつぎのようになる。
(iii) の場合は、つぎのようになる。
例を2つあげよう。 教科書と同じ方程式の例である。
ここで、 (i), (ii), (iii) の3つの場合に、軌道図を描く際の注意を述べておく。
講義はこれで終了する。線形定数系の議論しかしていなくて、中途半端な内容になったので追加の記事で6章の残りを解説する。
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