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2018年8月12日日曜日

応用数理C 試験問題の解答と講評

応用数理C2018年度)の試験問題とその解答を公表する。


偏微分方程式の講義については現役の時からずっと

講義は難しいかもしれぬが試験は易しい

事を原則としてきた。今回の講義でも一応その原則を通しました。レポート問題はかなり難しかったので、学生さんは随分苦労して解いていたようでした。内容を深く理解するためにはこの事は大変良い事だと思います。熱心な受講生がいて充実した講義ができたのはとても有難いことでした。

試験問題



解答




講評

各問 20点 で 80点満点 である

部分点は、原則 5点 刻みで与えた。採点方法は、減点方式とした。問題自体が全て予想された問いばかりなので、採点は厳しくした。


問題は全て基礎的な問題である。試験準備してきた学生さんにとってはかなり易しい問題のはずである。ほぼ全員がすべての問題に解答していたが部分的誤りやミスはかなり多かった。それでも半数以上が50点をとっている。

試験の満点は6名。彼らは全て秀の成績である。

 満点の6名。

09C16009
09C16087
09C16121
09C16123
09D16046
09D16049


問1 特性曲線による解法と変数変換による解法とでは解の表現が微妙に異なるが双方ともOKとした。大多数ができていた。

問2 積→和 の公式を用いての解答が殆どであった。それ以外の積分計算により解を求めた場合は大抵間違っていたが、級数解の求め方が書いてあれば部分点は与えた。これも過半数が正解していた。

問3 変数変換による解法がベストである。フーリエ変換を用いる解答もあったが、細部でミスをしていた。答だけの場合は5点のみ与えた。半数位しかできていない。

問4 意外とできていない。変数分離法による固有関数の求め方をきちんと書かないと減点した。より厄介な円板領域での固有値問題と混同している解答があった。残念だがこの答案は0点とした。


成績の集計:

良好な結果になった。100点が11名もいる。毎回講義に出席していた学生のようである。合格者のうち21名は優以上である。不合格者は未受験者を除いて3名(保留者を除く)。履修者総数64名なので、非常に良い成績であった。



以上


微分方程式講義(2018年版)試験問題の解答と講評

平成30年度 数学Aの試験問題とその解答を公表する。 

試験問題




解答





講評

60点満点で、点数配分はつぎの通り。


、問 は、各 10点
 は、15点 
問4 は、(1)10点、(2)15点 

部分点は、原則 5点 刻みで与えた。

全般の講評だが、大変良くできていた。予想されていた問題なので皆さんよく勉強して試験を受けてくれたようである。

結果的に今回も易しくなってしまったのでレポート採点を加えると満点続出になってしまった。レポート加点が51点と大きすぎたのも原因だろう。

試験は殆どが35点以上を超えている。受講した学生の皆さんはよく試験勉強したからだと思える。

 4番を除いて標準的計算問題であり大多数が正答していた。4番は、半分しかできていない答案が過半数である。

1、問2 殆どの人ができていた
任意定数を忘れていた人がちらほらいた。1ヶ所でも計算が間違えば減点対象とした。問2で完全であることを示していない場合は減点した。

問3 これも殆どの人が正解していた。特殊解を求めるのが易しすぎたようである。

4 (1)基本解行列の構成法は講義で解説した通り。その導き方の説明がなされていない場合は大きく減点した。これは半数以上できていた。
(2)計算にかなり手間取っていた。固有ベクトルと一般化固有ベクトルをきちんと求めていないと減点した。さらに数値が1ヶ所でも間違っていると減点した。


採点は厳しめにしたが、満点が7名いた。

09A17701
09D17018
09D17041
09D17047
09D17074
09D17087
09D17097

以上の学生さんには成績100点をつけた。

50点以上を取った学生さんは沢山いる。暗記でなく内容をちゃんと理解していないと40点以上はとれない。講義の出席者は良く勉強してくれたことの証と信じている。終わりまで多くの出席者がいたのは有難いことでした。その結果、秀の取得者が多数出たがそれも良い事だと思える。

成績の集計:
非常に良好な結果になった。100点が19名もいる。昨年同様レポート配点の限度を取っ払ったからと思える。合格者の大半は優以上である。不合格者は未受験者を除いて5名(保留者を除く)。履修者総数111名なので、昨年同様非常に良い成績であった。

2018年7月25日水曜日

微分方程式講義(2018年版)XVII

微分方程式講義の追加原稿の2回目


6章
の残りの部分の講義原稿とポアンカレ・ベンディクソンの定理についての注釈を最後に加えよう。



6.4 極方程式と解の挙動


 相空間が2次元で、原点  = ( 0, 0 )  が連立微分方程式の平衡点であるとしよう。

このとき、ゼロ解の安定性や、原点の近傍での解の挙動を調べるのに、

極座標変換が有効になる場合がある。 

 この節では、極微分方程式を導入することにより、解の安定性の議論が

より自然に行われる場合のあることを見ていこう。 a,b,c,d を定数として 微分方程式


(6.14)        x˙ =  ax + by + f(x,y)   
                  y˙ =  cx + dy + g(x,y)  



 を考えよう。 ここで、 f(x,y), g(x,y) は原点の近傍で与えられた関数で

f(0,0)=0,    g(0,0)=0  とする。

これに対し、極座標変換

(6.15)      x = r cos θ,    y = r sin θ        
     
を考える。 

(x,y) が時間 t の関数なので (r,θ) 時間 t の関数と考える。

このとき、合成関数の微分法則より

     x˙ = cos θ - r θ˙ sin θ                    
     y˙ = sin θ + r θ˙ cos θ   



 xcos θ + ②xsin θ より、

     x˙cos θ +  sin θ =   (cos² θ + sin² θ) =      

 xsin θ - xcos θ  より、

   -x˙sin θ +  cos θ =  rθ˙ (cos² θ + sin² θ) =  rθ˙  

つまり、

(6.16)        r˙ =  x˙cos θ +  sin θ 
                 rθ˙ x˙sin θ -  cos θ

だが、これに (6.15) を用いて (6.14) を代入すると、


 r˙ =  (ax + by + f(x,y))cos θ +  (cx + dy + g(x,y))sin θ 
     =  (ar cos θ + br sin θ + f(r cos θ, r sin θ))cos θ 
       +  (cr cos θ + dr sin θ + g(r cos θ, r sin θ))sin θ 
        =  r{a cos² θ + (b+c) cos θ sin θ + d sin² θ}
       +  f^(r, θ) cos θ  + g^(r, θ) sin θ 

 となる。 ここで、

f^(r, θ) = f(r cos θ, r sin θ),     g^(r, θ) =  g(r cos θ, r sin θ)

同様の計算により

rθ˙  x˙sin θ -  cos θ

    = r {c cos² θ + (d-a) cos θ sin θ - b sin² θ}

          -  f^(r, θ) sin θ  + g^(r, θ) cos θ 


以上を纏めて、極微分方程式

(6.17)        r˙ =  r{a cos² θ + (b+c) cos θ sin θ + d sin² θ}

                   
       +  f^(r, θ) cos θ  + g^(r, θ) sin θ ,

                 θ˙  =  (c cos² θ + (d-a) cos θ sin θ - b sin² θ)

                         + (1/r) {-f^(r, θ) sin θ  + g^(r, θ) cos θ} 


が得られる。 

このとき、ゼロ解の安定性の定義より、つぎの定理が成り立つことは明らかであろう。



定理 3 (i) t ≧ t0  で定義された (6.14) のゼロ解安定である。
 任意の正数 ε > 0 と任意時間 τ ≧ t0  に対し、  

ある δ = δ(ε, τ) > 0 を選んで  
   
    r(τ) < δ  ⇒ r(t) < ε  (t ≧ τ )
           
     とできる。


  (ii) t ≧ t0  で定義された (6.14) のゼロ解漸近安定である。
  任意時間 τ ≧ t0   に対し  ある δ = δ(τ) を選んで  
   
     r(τ) < δ  ⇒    lim t →∞ r(t) = 0
           
   とできる。



また、 lim t →∞ r(t) = ∞ ということは、解軌道が原点から遠く離れていくことを

意味する。

θ  = θ(t) については、 lim t →∞ θ(t) = ∞ または lim t →∞ θ(t) = ∞ は、

解が原点の周りを正の方向、または負の方向にくるくる周ることを意味する。

それでは、例をあげていこう。











上の (ii), (iii) の事実から、原点安定であることが分かる。

さらに、原点の任意の近傍無数安定解不安定解が存在していることが分かる。


教科書の例題4.3では、 cos が現われているが、上の 例 3 と同じように sin  の間違いである。訂正しておく。



追加記事


ポアンカレ・ベンディクソンの定理にはいくつかの表現方法があるが、

よく知られたその一つを挙げる。


ポアンカレ・ベンディクソンの定理


相空間(平面)上の次のように定義された力学系を考える。

          x˙ =  f(x,y),        y˙ =  g(x,y)  

ここで S を平衡点を含まない有界閉集合とする。  

また S を含む開集合で f, g は C1級関数とする。

もしある解軌道が S 上に留まりつづけるならば、

解軌道は、閉軌道そのものか、または閉軌道に収束する。



上の例3はそのような閉軌道無数にある場合を与えている。 



ジュール=アンリ・ポアンカレJules-Henri Poincaré、1854年4月29日 – 1912年7月17日)

ナンシー生まれのフランスの数学者。数学、数理物理学、天体力学などの重要な基本原理を確立し、功績を残した。先年解決されたポアンカレ予想でも有名。


また、電気回路に現れる非線形振動として有名なファン・デル・ポール振動子は、

唯一つの極限閉軌道リミットサイクル)を持っている。 つまり、

ファン・デル・ポールの方程式

0



の解軌道については、 平面上に唯一の安定なリミットサイクルを持つ。


解軌道の動きの図


ファン・デル・ポール  (27 January 1889 – 6 October 1959)

オランダの理論物理学者。 英語によるWiki解説は、Dr. Balthasar van der Pol 




以上で微分方程式講義2018年版は終了する。

阪大の学生さん、そしてそれ以外の読者の皆様ごきげんよう。私にとってはこの講義は退職後の生き甲斐であり学生さんに接するのは何よりの楽しみでした。皆さんありがとう。さようなら。

微分方程式講義 (2018年版) 教科書の誤植のお知らせ

すっかり忘れていましたが、教科書の誤植をお知らせする。

修正部分を  で書き直しているので注意して見てください。









以上です。