うずしおドームなないろ館 港のターミナルになっていて、うず潮観潮船がここから出港する。
福良港津波津波防災ステーション
渦潮をイメージした、一風変わった形の建築物である。館の表面は、鉄の合金による錆びで覆われており、現在は濃い小豆色になっている。錆びにより、むしろ内部の腐食は妨げられる構造になっている。そこで、ふと思い出したのが、奈良桜井の大神神社の鉄製の大鳥居である。
桜井 大神神社
素材は耐候性鋼板と呼ばれる厚さ12mmの特殊鋼で、10年以上経過すると鋼板の表面に硬い酸化皮膜が形成されて、錆による侵蝕を抑えることが出来る。
おそらく、同種の鋼板で表面が覆われているのだと思うが、色が黒色でなく鉄錆びを思わせるこげ茶色になっている。色は時と共に濃くなっていくようである。
この様な意匠が採用されたのは、本当に津波が来たとき、塩水を浴びて錆びてしまった建物を目にみえる形で示すことにより、波の被害を日常的に意識させるためだという。
建設当時(2010年)のセンターの写真 茶色が薄いですね。
福良港津波津波防災ステーションのホームページより、設立の目的を引用する。
1.津波に備える知識を広く皆様に知っていただく施設です。
入館は無料である。
詳しい情報をゲットした。外壁は厚さ9mmのコルテン鋼でできているそうだ。2階建て約370㎡の建物で、設計・工事監理は遠藤秀平建築研究所。建物の工事費は約2億6千万円である。結構な建設費がかかっている。
施設の概要であるが、2階建てプラス屋上になっている。
螺旋階段がついており、2階に上るとプロローグシアター(Bの部分)にでる。
館の平面図
この部屋では、津波の状況を可視化できるようなビデオが設置されている。
学習展示オリエンテーションルーム(Cの部分)
福良港での津波シミュ―レーション等の動画がタッチパネル式(手前のモニター)で見れるようになっている。大画面にタッチして、画面が変わらんと思い何度もやり直していた馬鹿な爺さんが私であった。床には、福良港の航空写真が貼り付けられている。
津波の押し寄せる場面
パンフを頂いたのだが、写真右下の方です。
私は、記憶力がないと言ってよい程の忘れん坊なので、お話をはっきり記憶している訳ではないが、関連資料やホームページの内容を元にして、その説明をしたい。私は、物憶えは悪いが理解力は結構あるのである。
福良の海岸は特殊な形をしており、山を削るような格好で海が入りこんでいる。港からの海の眺めは素晴らしいものの、昔から津波の被害を何度も受けてきている。大阪湾から海水が流れ込んできたとき、多くの海水は瀬戸内海に抜けてしまうが、鳴門海峡が極めて狭いため、海水が福良に流れ込んで溜ってしまう。さらに福良港の入り口は狭く、すぐ傍に山があるため、水深が急に浅くなり、入りこんだ海水がすぐに陸へ溢れだしてしまう。その結果、津波の被害が拡大しやすい。
そんな訳で、津波がきたときに海水をせき止める水門等が必要とされる。その開閉の管理や、津波の際に住民を高台に移動させるよう通知する必要もある。
即ち、津波防災のため、つぎのプロセスを必要とする。
(1)備える
- ①水門、陸閘等の自動閉鎖システム
- a.自動開閉を行う施設:37基(全体計画 水門2基、樋門7基、陸閘28基)
- b.自動開閉遠隔操作制御システム:防災ステーション2F、南あわじ市中央庁舎
- ・大津波警報・津波警報により自動閉鎖J-ALERT(総務省の全国瞬時警報システム)の衛星情報受信
(2)伝える
- ①津波情報の屋外緊急放送
ステーションの屋外放送スピーカーにより、観光客等海岸利用者に津波情報を提供 - ②監視映像の配信津波発生時に、広域監視カメラによる福良港の津波等の情報を南あわじ市、県に配信することにより、効率的な防災活動を支援
設置場所:津波防災ステーション、国民休暇村南淡路
(3)逃げる
- 大きな地震を感じたら、まず高台へ避難することが大切です。高台へ避難する時間がない場合には、防災ステーションへ緊急的に避難することもできます。
◇夜間は、緊急情報受信時に施錠解除◇収容人数分の水等を備蓄
(1)の水門、陸閘等の自動閉鎖システムが、このセンターに設置されている。この日は無人であったが、南あわじ市中央庁舎から遠隔操作できるようになっている。システム設置費用は、約3億円。建物本体よりも高値。
これが水門の1つ。かなり分厚いコンクリの壁である。
水門と入り江の様子。
BとCの部分は、津波を『感じる』『知る』『逃げる』『備える』の4つゾーン構成になっている。
さて、『逃げる』だが、どこへ逃げるか? 勿論高台へだが、そこへ避難する時間がない場合には、防災ステーションへ緊急的に避難することができる。三百人と聞いたが、そんなに多くは避難できないように思える。淡路人形館の屋上へも1000人が避難できると伺った。
広くはないのだが、屋上は避難スペースになっている。
壁には穴が開いているが、穴がなくとも見晴らしは充分に良い。芝生が植られている。土足用だね。
屋上の床には、瓦でできたチップが敷き詰められている。津井のいぶし瓦の破片であろう。流石に地元の特産品利用ですね。その用途は聞きそびれた。軽量化と水はけが良いためと思われる。 いぶし瓦の町 津井
写真手前の白いドームは、照明でなく採光のために取り付けられている。
屋上には、津波の監視カメラ、拡声器も設置されている。
ということで、うずまるの見学は大変面白かったのである。また、2階と屋上から、福良港の景色を撮ったのだが、その写真は次回に紹介する。
これで福良訪問の2回目はおしまい。
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