そして、人形浄瑠璃については、機会を改めて記事にしたい などと書いているが、半年以上経て何も書いていない。 淡路島西淡地区遊歩 V (気がついたのだが、この頃から黄昏写真を撮っている!)
500年の歴史を誇る淡路人形浄瑠璃である。何よりもまず、人形浄瑠璃の実演を見に行かねばならぬと思いつつ、時の過行くままに任せていた。これではいつまで経っても記事をかけないと思い立って、先々日の25日に一泊泊まりで淡路福良に出かけたのである。
福良では、現在淡路人形まつりが開催されている。
パンフ
淡路の宿舎を朝早く出発して、らん・らんバスで陸の港西淡に9時40分ころに到着した。バスの接続が悪いので、痛い出費であったがタクシーを利用して福良の淡路人形座に向かった。10時5分ほど前についたので、10時からの開演に間に合ったのである。
淡路人形座
変わった形をしているが、上空から見ると人形のかしらの形をしているそうである。一部錆びたような色合いの個所があるが、それは素材に金網を用いている故で、時間の経過とともに変色していくように設計されている。
淡路人形座の紹介
淡路島には江戸時代の初期から昭和の初めまで大小様々な人形座があり、淡路島内だけでなく全国を興行して、人形浄瑠璃の魅力を伝えた。その中の大座の一つ吉田傳次郎座の道具類を淡路人形座が継承し公演をしている。現在、活動しているのはこの淡路人形座ただ1座である。
公演時間
定時公演 | 10:00 | 11:00 | 13:00 | 14:00 | 15:00 |
---|
入場料 | 個人 | 団体割引 | 身障割引 (本人のみ) 要手帳 | |
---|---|---|---|---|
15名以上 | 100名以上 | |||
大人 | 1,500 円 | 1,350 円 | 1,200 円 | 750 円 |
中高生 | 1,300 円 | 1,170 円 | 1,040 円 | 650 円 |
小学生 | 1,000 円 | 900 円 | 800 円 | 500 円 |
幼児(3歳以上) | 300 円 | 270 円 | 240 円 | 150 円 |
(消費税込み) |
となっている。65歳以上の割引はなく正規の料金1500円を支払って入場した。
この日の出しものは、阿波十であった。
正確にいえば、傾城阿波の鳴門 順礼歌の段 である。 巡礼お鶴の「ととさんの名は十郎兵衛、かかさんはお弓ともうします・・・・」との例のセリフで有名な浄瑠璃の段である。
舞台入り口
舞台と座席は、このようになっている。この時は、ほぼ半分位の入りで、その半数以上が中国人のツアー客でした。(注:この写真は私の写したものではない。)
演目が始まる前に、演者の方が人形浄瑠璃の人形のかしらの構造やその操り方について解説をおこなう。軽妙で解り易い説明である。通訳の人がそれを聞いて、中国語に翻訳するのだ。馴れた様子だったので、定期的に中国人観光客が来ているみたいだね。
武士のかしら 眉や口が動いたりする。
女のかしらだが、鬼面に変わる。その瞬間を写し損ねた。
出しものの阿波十の母お弓。 お足はないが、あるように見せるのが技である。実際は三人一組で人形を遣う。
お鶴の人形はこれ。傾城阿波の鳴門 順礼歌の段 は、お鶴とお弓二人の舞台である。
実を申せば、傾城阿波の鳴門 の筋書は良く知らない。全く知らないと言っていい位なので、お勉強である。
あらすじ:
十郎兵衛・お弓の夫婦は、徳島の玉木家の家宝国次の刀を探すため、大阪の玉造に住み、十郎兵衛は名前も銀十郎と変え盗賊の仲間に入っていました。
お弓が留守番をしているところに手紙が届きました。十郎兵衛らの悪事が露見し、追っ手がかかったので、早く立ち退くようにとの知らせでした。
お弓は夫の無事と刀の発見を祈って神仏に願をかけているところに、順礼の娘が訪れます。
国許に残してきた自分の娘と同じ年頃なので、話を聞いてみると両親を探して徳島からはるばる旅をしてきたという身の上を語ります。
両親の名前を聞いてみると間違いなく自分の娘であることがわかりました。
今すぐに抱きしめ母と名乗りたい思いを抑え、盗賊の罪が娘に及ぶことを恐れて、国へ帰るように諭します。
そしてこのままここにおいて欲しいと頼むおつるを、お弓は泣く泣く追い返します。
おつるの歌う順礼歌が遠のくと、お弓はこらえきれずに泣き崩れるのでした。
しかし、このまま別れてはもう会えないと思い直し、急いでおつるの後を追います。
舞台は撮影禁止。上の画像は、人形座のホームページから拝借した。35分位の演目でしたが、人形の動作が細やかでやっぱり泣かせます。見事な動きです。太夫がお弓とお鶴の声色を使い分け、義太夫節で物語る。それに合わせて、べんべんと三味線が調子を合わせ語りを盛り上げる。
舞台の様子を上手く説明できないのだが、この動画を見れば人形浄瑠璃の動きがよく解かる。
順礼歌の段の演目が終わってから、大道具返しが演じられる。三味線と太鼓、拍子木の音に合せて、奥座敷の背景がドンドン変わっていく。舞台からくりです。なかなか面白い。
その動画が見つかったのでアップする。
舞台の後方には、陳列台があり淡路人形の骨格や、かしらが展示されている。
また、プロジェクト福良 というのがあって、これは神戸大学大学院建築学専攻・遠藤秀平研究室が主宰する計画で、福良の町に活気を呼び込むための様々なイベントを4年間に渡り行ってきた。
そして、その成果をふくらぼ通信の形で発表している。
2015年7月号が、正に淡路人形座の紹介であった。丁度良い機会なので、そのパンフをアップする。
様々な人形のかしらの写真が表紙を飾っている。
中ページには、淡路人形座の出しものが大きく載っている。
また淡路人形座の歴史と、舞台演目、淡路のかしらやかしらのからくりが説明されている。
お鶴の父の十郎兵衛だが、理由があるとはいえ、盗賊になり果てている。
お鶴はお弓と別れた後、十郎兵衛と出会い、家に連れて帰ってくる。我が娘とは知らず、お鶴の持っている金に目をつけ、貸してくれと頼む。怯えたお鶴が騒ぐのを止めようとして、誤って窒息死させてしまう。お鶴を見失ってしまい、家に戻ったお弓は、この事を知り、不幸な娘の身の上を思いやって涙にくれる。我が娘を殺してしまった十郎兵衛も後悔の涙にむせぶ。捕手の迫る気配に十郎兵衛は、覚悟を決めお鶴の死骸もろとも我が家に火を放ち、落ち延びるのであった。
酷い話です。碌でもない父親である。結局は、お鶴の亡骸から出てきた手紙により、刀を盗んだものが判明し、十郎兵衛は藩への帰参がかなう。ハッピーエンドかもしれんが、余りに殺されたお鶴が可哀そうです。
浄瑠璃の作り話だが、十郎兵衛には実在のモデルがいる。こちらのほうは、藩に罪を押し付けられて処刑されてしまう。その後、妻のお弓も娘のお鶴も相次いで病死する。現実も救われない話だが、我が子を殺していないだけましですね。
今回はこれでおしまい。
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