パウル・クレー(1879-1940)
兵庫県立美術館
その玄関口に パウル・クレー だれにもないしょ。 展 の看板が掛かっている。
玄関口から吹き抜けの通路を通って入場口に入る。
通路にクレー展の看板が立てられている。
裏側
通路に展示されている作品。
セザール 作 エッフェル塔 -- 板状
会場に架かっているクレー展の大垂れ幕。
観覧料
当日券 | 前売券
(販売は9/18まで)
| 団体割引
(20名以上)
| |
---|---|---|---|
一般 | 1,400円 | 1,200円 | |
大学生 | 1,000円 | 800円 | |
高校生・65歳以上 | 700円 | - | 600円 |
中学生以下 | 無料 |
となっており、私は65歳以上に該当するので、700円でした。有難いことである。
パンフ
美術館の広報誌 HART 80号より。
パウル・クレー だれにもないしょ。 展 のコンセプト
どこまでも謎めいていること―。スイス出身のパウル・クレー(1879-1940)ほど、「秘密」を愛した近現代の画家はいないといっても過言ではないでしょう。パズルのピースを思わせる断片的な作品の姿は、それらがつながったときに現れるであろう全体や、どこかたわいない遊びを感じさせます。
近年の研究により、例えば作品の下塗りの層や裏側に、もうひとつ別のメージを意図的に“埋蔵” するなど、この画家が仕掛けた密やかな暗号の全貌が、明らかになりつつあります。
クレーは日本でも高い人気があり、これまでも充実した個展が開催されてきました。それらの成果を踏まえ、本展ではクレーが何を描き、どうスタイルを展開させ、どのような手順で作品を作ったかという紹介をするとともに、クレーの謎を正面から考えます。キーワードは「秘密」。謎解きだけではなく、常にミステリアスな気配をまとうクレーの思考と感性に分け入ることも目指します。そのため本展では、時系列ではなく、6 つのテーマで構成します。
質・量ともに、クレー作品の重要なコレクションを擁するベルンのパウル・クレー・センターおよび遺族コレクションの全面的な協力を得て、日本初公開31 点、国内のコレクションを含む110 点あまりを展示。親しげで深いクレーの世界を通じ、見る人それぞれが心に秘めた原景を呼びさまされる、得がたい機会となることでしょう。
会場では、結構な人数の方が熱心に鑑賞していた。やはり年配の方が多いのだが、女性のほうが多いように見受けられた。女性に人気が高いのだね。
私は、100作以上のクレーの作品を見るのは初めてだった。殆どが小品なのだが、見ごたえがありました。
多くの作品には、だれにもないしょ という謎が隠されている。画面には、音楽記号、ハート印、矢印や格子記号が画面にひっそりと描きこまれていて、それらが何ものかを暗示している。彼の製作方法の一つとして、一枚の大きな絵を、小さく切って張り合わせたり、一枚の絵の裏に、別の絵を描いていたりする。これらの仕掛けは、私には謎というより画家のお遊びという気がする。
館内は、勿論撮影禁止なので、展示作品をアップできない。しかし、県立美術館公開のページがあるので、そこから引用する。 この作品展は、6章から構成される。 兵庫県立美術館 パウル・クレー展
第1章
何のたとえ? Klee, allegorisch
「矢印」や「フェルマータ」など、クレーは記号的なモチーフを絵の中に繰り返し描きました。それは、クレーの作品世界を特徴づける重要な鍵となっています。記号の向きが変われば意味も変わり、用いられる場面によって異なった働きをするなど、「クレー・コード」と呼びうる、記号と比喩の世界を読み解きます。左から | 《洋梨礼讃》1939 年 個人蔵(スイス)、 パウル・クレー・センター(ベルン)寄託 ©Zentrum Paul Klee c/o DNPartcom 《上昇》1925 年 宇都宮美術館蔵 |
第2章
多声楽(ポリフォニー)―複数であること Klee, polyphon
複数のモチーフが絡み合いながら、一体化したり、枝分かれしたり、形状が揺れ動きながら変化していくさまは、クレーの絵画によく見られる特徴です。それにより、クレーはひとつの存在に重なる複数の要素の可能性を示唆しています。左から | 《赤のフーガ》1921年 個人蔵(スイス)、 パウル・クレー・センター(ベルン)寄託 ©Zentrum Paul Klee c/o DNPartcom 《双生の場所》1929年 パウル・クレー・センター(ベルン)蔵 ©Zentrum Paul Klee c/o DNPartcom |
第3章
デモーニッシュな童話劇 Klee, dämonisch
自分は「死者とまだ生まれざる者たち」のもとに住むというクレー。彼の作品は、時として、魔的でどこか童話風な世界に私たちを引き込みます。この章では、そういった作品を紹介すると同時に、クレーにとってモダンな抽象表現だった「グリッド(格子)」の誕生にも、こうしたデモーニッシュな作品が深く関わっていることを紹介します。左から | 《窓のあるコンポジション》1919年 パウル・クレー・センター(ベルン)蔵 ©Zentrum Paul Klee c/o DNPartcom 《小道具の静物》1924年 パウル・クレー・センター(ベルン)蔵 ©Zentrum Paul Klee c/o DNPartcom |
第4章
透明な迷路、解かれる格子 Klee, kristallen
基本単位の繰り返しによって画面を明晰に秩序づけながら、そこに解体や揺らぎの要素を忍び込ませることは、クレーに一貫して認められる制作の姿勢です。また、単位を繰り返しながら、そこに変則性をもたせることで、だまし絵のような迷宮的空間を生み出すことも、クレーは得意としていました。知的な作業の果てにほどけていく世界、迷宮化する空間に、クレーの「秘密」のありかを探ります。左から | 《柵の中のワラジムシ》1940年 パウル・クレー・センター(ベルン)蔵 ©Zentrum Paul Klee c/o DNPartcom 《透視―遠近法的な》1921年 個人蔵(スイス)、 パウル・クレー・センター(ベルン)寄託 ©Zentrum Paul Klee c/o DNPartcom |
第5章
中間世界の子どもたち Klee, wieder-kindlich
「来ることができ、来たいと思っているが、しかし来る必要のない者の国」―――。クレーのいう「中間の世界」に住みつく者の代表格が、子どもたちです。
あるときは世捨て人として、あるときは屈託のない使者として登場するクレーの子どもたちが集います。
左から | 《子どもの胸像》1933年 パウル・クレー・センター(ベルン)蔵 ©Zentrum Paul Klee c/o DNPartcom 《異国の寺院の少女》1939年 パウル・クレー・センター(ベルン)蔵 ©Zentrum Paul Klee c/o DNPartcom |
第6章
愚か者の助力 Klee, selbstironisch und freundlich
人に似た、しかし、おそらく人ではない戯画的な存在や、ときに種を特定しがたい奇妙な動物。そして、不完全な天使たち。それらは私たちに何を伝えようとしているのでしょう?クレー作品の「可笑しみ」を象徴するこうした存在を、風刺を画業の出発点としたクレーが、その鋭さをいかに純化していったかという観点から見つめます。
左から | 《魔が憑く》1939年 パウル・クレー・センター(ベルン)蔵 ©Zentrum Paul Klee c/o DNPartcom 《むしろ鳥》1939年 パウル・クレー・センター(ベルン)蔵 ©Zentrum Paul Klee c/o DNPartcom |
展示の全作品リスト(画像不鮮明だが、なんとか読めると思う)
これでおしまい。
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