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2016年4月18日月曜日

微分方程式講義(2016年版)II

IIは、2章から始める。必ずしも講義の回数と番号づけは一致しません。

さて、1回目の講義で 評価基準レポート提出 について説明した。ここに再録しておく。

・レポート 40点 (3回の予定) A4レポート用紙使用。手書き限る。

・定期試験 60点 (80点満点という噂もある)


レポート提出の決まり

1) A4 縦書きのレポート用紙を使用 (A4白紙も可)

2) にのみ解答を書くこと。 裏は白紙。

3) 学番、氏名、提出日 を記入する。 (表紙はつけてもつけなくともよい)

4) レポートの左上ホッチキスで止める。 (めくって見やすいように)

5) 手書き にかぎる

以上絶対に守ること。期日厳守。違反の場合は、減点。



2章  1階常微分方程式と求積法





この章では、積分を実行することにより、解を求めることのできる微分方程式を扱う。



 2.1 変数分離形


一階方程式の正規形 は、

(2.1)   y' = f(x,y)


で与えられる。  f(x,y) = f(x)g(y)  となっている場合

(2.2)   y' = f(x)g(y)


のタイプの一階方程式を 変数分離形  という。

(2.2) は、形式的につぎのようにして解ける。

 
 
この様に、

(1) 代数方程式を解く
(2) 変数変換を行う
(3) 微分や積分を行う

などの操作を有限回行い解を求めることを、 求積法 という。 

例を与えよう。 以下例は、各節ごとに改めて番号づける。



 
ここで、 C は微分方程式の初期条件に対応する定数と考えられる。
 
 



 

 2.2 変数分離形に直せる微分方程式


(2.3)   y' = f(y/x)

の形の微分方程式を考える。 このタイプの方程式は、同次形(もしくは斉次形)とよばれる。

この方程式は、簡単な変数変換で 変数分離形 に直せる。 

y/x = u   つまり y=ux  とおくと、  y' = u + xu'   なので、  

xu' = f(u) - u  となり、

 
 
2つほど、例をあげよう。




 
 
 
同次形に帰着される変形 Version を考えよう。
 
 
 
(2.4)    y' = f((ax+by+α)/(cx+dy+β)),     ad - bc ≠ 0


ad - bc ≠ 0   なので、  連立方程式

ax+by+α = 0,   cx+dy+β = 0

は、 唯一つの解  x = x₀        y = y₀ をもつ。 

今  X = x - x₀,   Y = y - y₀  と変数変換すると、  dY/dX = dy/dx   なので、 

(2.4) 式は

(2.5)   dY/dX = f((aX+bY)/(cX+dY))

の形になる。  (2.5) は 同次形 なので、 Y = uX  とおくことにより

変数分離形 に帰着できる。


 
 
(2.4) において、 ad - bc = 0  の場合も解くことができる。  実例を示そう。

 

さて、同次形の一般化を考える。

(2.6)   dy/dx = xn-1 f(y/xn ) 
  
  ここで、 n  は、自然数(実は、正の数でよい) とする。 

 このとき、 y = xn と変数変換すると、  y' = nxn-1 u + xn u'   なので、  

方程式は               nxn-1 u + xn u'  = xn-1 f(u) となり、 xn-1 でわると   

       xu'  =  f(u) - n つまり  

        du/dx  =  (1/x) [f(u) - nu]

 となり、 変数分離形 に帰着される。  

例を2つあげよう。
 


 

  

 2.3 1階線形常微分方程式


p(x) 、   q(x) を 区間 I  上の 連続関数 とする。

一階常微分方程式が、


(2.7)    y' + p(x)y = q(x) 


の形にかけるとき、線形 という。 y と y' について一次式になっていることを注意。
 

(i)   q(x) = 0  のとき、 (2.7)  は、 同次形 という。
 
(ii)   q(x) ≠  0  のとき、 (2.7)  は、 非同次形 という。


(i)  同次形 の解法

1節で示したように、解は

   
    y = C exp(- p(x)dx)    


とかける。 C は積分定数である。


(ii)  非同次形 の解法  (定数変化法) 

q(x) ≠  0  のとき、 (2.7)  の解を   u(x) =  exp(- p(x)dx)    として

y = C(x)u(x)    の形で求めよう。  

同次形の解の表示における定数 C 関数 C(x) 変化させる訳である。

y'=C'u+ Cu'   なので、 (2.7)  に代入して 整理すると、

  C'u + C(u'+p(x)u) = q(x)

であり、 u'+p(x)u=0   なので

   
  C'(x) = q(x)/u(x)   となる。 これを、積分して

     C(x) =  q(x)/u(x) dx  + C  

であるから、 (2.7) の解は

 

(2.8)    y = exp(- p(x)dx[ ∫ q(x) exp( p(x)dx) dx + C ]


で与えられる。  

この方程式は、重要なので4つほど例をあげよう。

 


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