以前
世界でもっとも高価な素材という記事を書いた時、調べる前は「そりゃ~、
ダイアモンドだろう」と思っていたのだが、さにあらずで1位はあっとおどろく
反物質であった。反水素原子が実際に作られていたと知って驚いた訳です。2位が放射性物質の
カリホルニウム252で、3位が宝石の
ペイン石とつづき、やっと4位の
ダイアモンドであった。
世界で最も高価な素材
それで今回は、即席記事ではあるが、私には縁のない
ダイアモンドのお話である。世界で最も硬い鉱物という事は皆知っているが、それ以外は余り知らないお話ばかりです。
この記事を書いてみようと思ったきっかけは、やっぱり漫画で
アマダスです。
脚本:岡エリ、作画:
皆川亮二によるアクション漫画です。先般ハッピーエンドで完結しました。
その主人公は、宝石使い(ジュエルマスター)という特殊能力を持つ
流崎麗華であり、その守護石が
ダイヤモンドなんですね。こんなダイアの付いた鉄拳(カイザーナックル)で殴られたら誰でも気絶する。
ダイヤの生産地とかシンジケートの薀蓄話もあり、本質アクション恋愛漫画だけどとても面白い。これは、お勧めの楽しい漫画です。レンタルショップでも置いてあると思う。
前置きが長くなったけれど、ダイアモンドについては、Wikipedia に相当詳しい記事が掲載されている。
ダイヤモンド diamond |
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分類 | 元素鉱物 |
化学式 | C |
結晶系 | 等軸晶系 |
へき開 | 4方向に完全 |
モース硬度 | 10 |
光沢 | 金剛光沢 |
色 | 無色から黒色まで様々 |
条痕 | 白色 |
比重 | 3.52 (± .01) |
蛍光 | 紫外線蛍光検査において長波紫外線 (365 nm) では不活性の無色から強くやや黄色を帯びるまで様々、典型的には青色。短波紫外線 (253.6 nm) では蛍光はより弱い。 |
プロジェクト:鉱物/Portal:地球科学 |
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ダイヤモンド(英語:
diamond)
炭素 (C) の同素体の1つであり、実験で確かめられている中では天然で最も硬い物質である。日本語で金剛石(こんごうせき)ともいう。結晶構造は多くが8面体で、12面体や6面体もある。宝石や研磨材として利用されている。ダイヤモンドの結晶の原子に不対電子が存在しないため、電気を通さない。
地球内部の非常に高温高圧な環境で生成されるダイヤモンドは定まった形で産出されず、また、角ばっているわけではないが、そのカットされた宝飾品の形から、菱形、トランプの絵柄(スート)、野球の内野、記号(◇)を指してダイヤモンドとも言われている。
私の興味の趣くままに、記事を取捨選択する。
まづは、地理学的考察。
産出地と地質構造
ダイヤモンドはマントル起源の火成岩であるキンバーライトに含まれる。キンバーライトの貫入とともにマントルにおける高温・高圧状態の炭素(ダイヤモンド)が地表近くまで一気に移動することでグラファイトへの相転移を起こさなかったと考えられている。このため、ダイヤモンドの産出地はキンバーライトの認められる地域、すなわち安定陸塊に偏っている。
産出量
2004年時点の総産出量は15600万カラット(以下、USGS Minerals Yearbook 2004)であった。
国別の生産量(単位カラット)を以下に示す(1カラットは0.2グラムに等しい)。
- ロシア 3560万
- ボツワナ 3110万
- コンゴ民主共和国 2800万
- オーストラリア 2062万
- 南アフリカ共和国 1445万
- カナダ 1262万
- アンゴラ 600万
- ナミビア 200万
- 中華人民共和国 121万
- ガーナ 100万
上位6カ国、すなわちロシア (22.8%)、ボツワナ (19.9%)、コンゴ民主共和国 (18.0%)、オーストラリア (13.2%)、南アフリカ共和国 (9.3%)、カナダ (8.1%) だけで、世界シェアの90%を占める。
ロシアの産出量は世界一だが、かつてはロシアのダイアは工業ダイア程度の粗悪なものが多く宝石としての価値はないと言われていた。しかしこの20年ほど、ロシアのダイアもまた、宝石として価値のあるものが多く出始めている。そのダイアの大半を、国家がため込んでいるという情報すらあるそうで、プラチナも同様で潜在的には大金持ちの国家なのである。
1967年には独立したばかりのボツワナ共和国北部のオラパ鉱山において大鉱床が発見され、その後も次々と鉱床が発見されたことでボツワナが世界2位のダイヤモンド生産国となり、その利益によってボツワナは「アフリカの奇跡」と呼ばれる経済成長を遂げることに成功した。
オラパ鉱山の航空写真。 露天掘りだそうである。
採掘法
ダイヤモンドの採掘は、古くは鉱床の近くの河原などの二次鉱床で母岩から流れ出した鉱石を探し出す方式が主流であったが、1867年にオレンジ自由国と英領ケープ植民地との国境付近でダイヤモンドが発見され、その東隣にダイヤモンドの鉱床たる母岩があると地質学者が突き止めたことで方式が変わった。その母岩のある地域はキンバリーと名付けられ、母岩を粉砕して大量の岩石を処理し、その中からダイヤモンドの鉱石を探し出す方式が以後主流となった。
キンバリーの最初の鉱床には、現在ビッグ・ホールと呼ばれる大穴があいており、観光地となっている。
このキンバリーの鉱床の中からデ・ビアス社が産声を上げ、ダイヤモンドの世界市場を支配することとなった。
漫画
アダマスの結社
シャ二のモデルですかね。
ダイアモンドの結晶構造
硬い理由
ダイヤモンドの結晶構造 0.15 nm = 1.54 Å
ダイヤモンドの硬さは、炭素原子同士が作る共有結合に由来する。ダイヤモンドでは1つの炭素原子が正四面体の中心にあるとすると、最近接の炭素原子はその四面体の頂点上に存在する。頂点上の炭素原子それぞれがsp3混成軌道によって結合しており、幾何的に理想的な角度であるため全く歪みが無い。それ故硬い。
有名なダイヤモンド
カリナンは1905年に南アフリカで発見され、カット前の原石は3,106カラットもあり、これをカットすることで合計1,063カラットの105個の宝石が得られた。これらは当時のイギリス国王であるエドワード7世に献上されている。105個のなかで最大のカリナンIは530.20カラットで「偉大なアフリカの星 (The Great Star of Africa)」の別名を持ち、カットされたダイヤモンドとしては長らく世界最大の大きさを誇っていた。カリナンIはロンドン塔内に展示されており、見学することができる。
現在、世界最大の研磨済みダイヤモンドは、
ザ・ゴールデン・ジュビリーである。この石は545.67カラットあり、国王ラーマ9世の治世50周年を記念して1997年にタイ王室に献上された。
その他、以下に右に示した有名なダイヤモンドについて記す。
- グレート・ムガル:フランスの宝石商タヴェルニエの旅行記に記された伝説のダイヤモンド。原石の状態では787.50カラットあったとされ、事実とすればその当時世界最大だが、わざわざベニスから呼んだカット職人がカットに失敗し280カラット余りに。その後の行方は不明。卵を半分に切ったような形、といった記述からオルロフと同じではないかと考える研究家もいる。
- リージェント(上面):インド産。わずかに青みを帯びる。グレート・ムガルから切り出されたのではないかと考えられている。140.64カラット。ルーブル美術館蔵。
- フロレンティン(上面):インド産のイエロー・ダイヤモンド。137.27カラット。長年トスカーナ大公家に所蔵されていたが、その後所有権がハプスブルク家へ移る。ハプスブルク最期の皇帝が帝政崩壊時に持ち逃げしたあと、現在まで行方不明。
- 南の星:ブラジル産。128.48カラット。2002年に著名なフランスのブランド、カルティエ社が購入した。その後、さるインド人の個人所有物になったらしいが真相は不明。
- フロレンティン(側面)
- サンシー:インド産、微かに黄ばんだダイヤモンド。55.23カラット。ルーブル美術館蔵。
- ドレスデン・グリーン:おそらくインド産のグリーン・ダイヤモンド。41カラット。ドレスデン美術館蔵。
- コ・イ・ヌール(1852年以前):ムガール帝室に伝来した、歴史的に最も古い有名なダイヤモンド。186.0125カラット。
- ホープ:おそらくインド産。サファイアのような濃青のダイヤモンド。所有者が次々に不慮の事故で死亡すると云う呪いの宝石の都市伝説で有名。45.52カラット。アメリカ合衆国国立自然史博物館蔵。
- コ・イ・ヌール(ブリリアント・カット上面、1852年以後):インドのマハラジャから東インド会社を経て、イギリスのヴィクトリア女王へ献上された後、夫のアルバート公がオランダの研磨業者にブリリアント・カットに仕立て直しを命じ、重量が105.602カラットに減少。現在もイギリス王室が所蔵しており、ロンドン塔に展示されている。
- リージェント(側面)
- コ・イ・ヌール(ブリリアント・カット側面、1852年以後)
以上リアルな画像を追求しようと思ったが、面倒なので止めにした。代わりに美しいダイアモンドの画像を収集したので、ご覧になってください。
ダイアのカットの仕方。2つに切断して、各部を研磨してダイアの形に成形していく。
ダイアにも色のついたのがあるんだね。 一応記事は、ここでおしまい。
例の如く、NAVERまとめサイトに行き当たったが、ここには山ほどダイアモンド画像が集められていた。それを孫引きする。
これだけ見るといくらダイヤ好きでも、飽きるであろう。と思うのは男の私だけかもしれぬ。