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2014年2月1日土曜日

理系女子の活躍

嬉しいニュースが昨日、毎日新聞の1面に載っていた。

iPS 超える万能細胞

という見出しで、理化学研究所のSTAP細胞晴子(おぼかたはるこ)さんの研究チームが、iPS細胞と同じようにさまざまな細胞(臓器細胞)に変わりうる新な万能細胞の作製に成功したことが報じられている。


今のところマウスでしか成功していないが、驚異的なのはその作成手法だ。
マウスのリンパ球を弱い酸性の溶液に入れたのち、別の培養液に移すと2日以内にリンパ球が本来の性質を失い、生き残った細胞が万能細胞の性質を示したそうだ。

私は、まったくの素人でありよく理解できている訳でないが、それにしてもすごい事だと思う。
成功した実験状況(酸性液や培養液のphとか含まれる栄養成分や温度なんか)は、企業秘密でこれを導き出すまでの苦労、努力は大変なものであったろう。

驚くべきことは、きわめて特殊な細胞を選びだしたり、機械的操作(クローン技術など)を用いることなく、簡単な方法(複雑なプロセスを経ることなく)で万能細胞を作成できることだ。
natureの査読者に、”あなたは細胞生物学の歴史を愚弄している”と酷評されたのはむべないことだと思う。
私だってこの種の驚異的論文が査読に回ってきたら同様のReviewをするのは間違いがない。
査読者が再試できない以上、過去の研究成果をふまえて妥当と思われる判断を下すのが査読者の務めであるからだ。

一般に言って、簡単な手法ほど細胞に与えるダメージは少なくガン化しにくい(と言われている)。
この手法はお金(実験経費)は、あまりかからないようなので、おそらく世界中にこの手法が広がるだろう。
マウスのような哺乳類で成功したので、もっと高級な種(人間とはいわない)にも適用可能だろう。
鶏や豚のような家畜の品質改良にも使えるかもしれない。

弱冠30歳の女性研究者により、この成果が挙げられたことを心から喜びたい。
STAP細胞というネーミングも良い。
iPS細胞の山中、STAP細胞の小保方 なんて呼ばれるようになるかもしれない。


関連して思い出した、女性研究者がいる。
若くして放射線の研究で画期的な業績をあげた、リーゼ・マイトナーというオーストリア人の物理学者です。
アインシュタインが、「わたしたちのキュリー夫人」と呼んでいたほどの、屈指の研究者でした。
さまざまな経緯をへて、立派な研究者として育って(自ら教育して)いくわけだが、
時代の影響もあり、彼女のその後の人生が幸福だったとは言いがたい。
彼女は、ユダヤ人であるが故の迫害をうけつつも、終生研究をつづけたのである。
なによりも哀切きわまるのは、共同研究者のオットー・ハーンとの交渉である。
ここらへんの事情は、

E=mc^2  世界一有名な方程式の「伝記」
 
デイヴィッド・ボダニス著 伊藤、高橋、吉田訳
ハヤカワ文庫ノンフィクション

にある。 



若きリーゼ・マイトナー


リーゼ・マイトナーとオットー・ハーン

苦難に満ちた研究人生を送った理系女子です。


一躍 有名人になってしまった小保方さんですが、これからが一層大変だと思います。
Nature という世界の一流舞台に登ったのですから、その舞台で踊り続ける(研究成果を出し続ける)ことが求められます。
論文のImpact Factorはいっぺんに上がり、追従研究や関連研究が山ほど現れるでしょう。
これは、嬉しいことですが、その流れに巻き込まれてしまい自分の研究姿勢を見失ってしまうのは恐ろしいことです。
これからは、「ピンチを助けてくれる人」ばかりでなく、悪意で足を引っ張るひとも必ず出てくる。
善意で途方もない研究を持ちかける人もいたりして、それらに負けないように対処するのが難しい。
今の研究路線を守りつつ、意義ある成果を出し続けるのが一番だろうと思います。
まあ、余計な感想でした。

プライバシーを守るのも大変だろうなと思います。
久しぶりに現れた女性ヒーローですから、皆が興味をもち雑音も多いでしょうね。
「いつか、世界に貢献できるようになりたい。そのために研究をつづけたい」との固い決意を決意をもっているので、色々と苦難はあるだろうけど大丈夫だろう。

彼女には超一流の研究者として育っていってほしいと願ってます。
20年位たって日本初の女性ノーベル賞受賞者なんて事になれば、最高ですね。

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