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2014年2月3日月曜日

見果てぬ夢は、やはりうまくいかない

 


小保方さんのニュースにやる気をもらって、久しぶりに研究を再開する。
定年後の見果てぬ夢の一つとして、
ボルテラ積分項をもつ双曲型偏微分方程式系の制御理論の展開というのがある。

うまい変換を考えると、この複雑な系は簡単な輸送方程式系となり、簡単であるが故にそのスペクトルの構造を詳しく調べることができる。
そしてExponential type calculus なんかを使って、一般化固有空間の完備性などを示すことができ、その結果を可制御性とか可観測性、安定化可能性などを導くのに使えるのである。

それで、必要に迫られてであるが、もともとの複雑な系に対してスペクトルの構造を調べようと思い立った。
複雑になるのはわかっていたが、小保方さん効果により、それでも遣ろうと決心し2日前からこればかりを計算していた。

まづは、この系の生成する作用素に対するレゾルベント方程式を解かねばならぬ。
そのため、一旦変数係数の1階微分方程式を解いてから、それを積分方程式に直し、さらには
その積分核のレゾルベント核を用いて方程式の解を具体的に表示する。

面倒(私にとって)な計算だったが、これはできた。
その際に、複雑な特性行列関数というのが出てくる。
これの行列式の零点が生成作用素の点スペクトルになることは証明できた。
さらには、対応する固有空間が有限次元で、特性行列関数の固有ベクトルで表現できるところまではできた。
以上はルーチンワークなので、できて当たり前。

問題は、一般化固有空間のほうで、この場合 作用素のJordan Chain が複雑すぎて、特性行列関数のほうのJordan Chainのcannonical system との対応がわからない。

とりあえずの目標としては、固有空間の代数的多重度(次元)は、特性行列関数の行列式の零点としての多重度であるという、いわゆる Folk Theorem を証明したい。
これが、どうして計算すれば良いか皆目わからない。

1対1に対応しているはずだが、local Smith form (環論なんかを使う)を用いるみたいで、代数の素養のない私には全くわからない。
トホホの状態で闇雲に計算したが、常にどこかで引っかかりダメ。

やっぱりダメかなと思い、あきらめかけるがもう一度考えてみようと思った(小保方効果)。

色々と文献を調べてみて、次の論文に行き当たる。
古い論文だが、

 Kaashoek, M. A.; Verduyn Lunel, S. M.
Characteristic matrices and spectral properties of evolutionary systems.
Trans. Amer. Math. Soc. 334 (1992), no. 2, 479–517.

です。

これは、すごく良い論文です(詳しく読みもせず言ってるが、結果は素晴らしい!)。
この論文では、local Smith form のアブストラクトバージョンを導入して、上記の特性行列関数と一般化固有空間の対応を完全につけている。
さらにその結果をさまざまな方程式に適用してる。
一般性があり、なおかつ深い結果を与えている。



Prof. Kaashoek の7年くらい前の画像ですが、実にカッコいい。


Prof. Verduyn Lunel の画像です。本人は、覚えてないでしょうが、30年くらい前に神戸で会ったことがあります。とても若かったけど、そのころの面影がありますね。

著者は、2人とも(超)一流の研究者です。
(無断でアップしてごめんなさい)

今この論文を勉強しているところで、わかんない処も多いけど、我々の一般の系に対しても適用できるように思える。
失敗してもいいからやってみようという決心の表明が、このブログの記事です。
著者の1人は知っている人だし、、、
うまくできれば良いなと思いつつ。



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