朝のTVで、広島安佐北、南地区の土砂災害のニュースを見るたびに、痛ましい思いになる。
新聞報道によると、現在死者72人、行方不明者2人だそうだ。 土砂の流れ込みによる、窒息死が過半数を超えているらしい。 どんなに苦しかったかと思うと、涙が出そうになる。 娘さん夫婦を亡くされた方のインタビューがあった。私とは全く関係のない方であるが、その言葉を聞くのもつらい。
亡くなった方々のご冥福を祈りたい。
ボランティアで沢山の方が、現地に入りお手伝いをしていると毎日新聞に書いてあった。私は何もできぬが、出来るだけ迅速に復旧してほしいものだと思う。 広島市からの避難勧告が遅すぎたのが、被害拡大の因になったと書いてあるが、豪雨という気象条件が主たる原因なので、致し方のない災害だったのだろう。 誰しもこのような災害を想定して家などは建てぬ。
助かった方と亡くなられた方には、災害から逃げようとする意志においても本質的な差異はない。
たまたまそこにいたから死亡したのであり、たまたまそこにいなかったから助かったのである。
大袈裟にいうと、世界は不条理に満ち満ちており、人はその中で運不運に見舞われながら生きていくしかないのだ。 だからと言って、こんな認識は何の慰めにもならぬ。残されたものは悲嘆に陥るしかない。 時間が経ち、少しづつ悲しみを忘れてゆき、苦しみを癒していく他はない。
どうも老人になると、感情過多気味になる。 ともすれば、理性よりも感情が勝ってしまうのだ。
情けないことである。
それで、災害とは全く関係ないのであるが、今回は魚の発酵食品について記事を書きたいのである。 以前琵琶湖博物館へ行ったときに、琵琶湖八珍 というのがあって、琵琶湖の魚8種(エビも含むが)についてその料理法を示している。 琵琶湖博物館見学
つぎの8種である。
ビワマス、コアユ、ニゴロブナ、ハス、ホンモロコ、イサザ、ビワヨシノボリ、スジエビ
パンフで見てみよう。
色んな料理法があるものである。 この中に、二ゴロブナのフナズシとハスのナレズシ、メズシがある。これらは、全て乳酸菌による発酵食品である。
8種以外の湖魚もこめて、料理法の人気アンケート調査というのがあって、1位から10位までは、つぎのようになった。 やはり、日本人はウナギが好きですね。フナズシは、6位に入っている。
1)うな丼 | 783 | |
2)アユの塩焼き | 770 | |
3)シジミ味噌汁 | 623 | |
4)コアユの天ぷら | 530 | |
5)シジミ御飯 | 511 | |
6)フナズシ | 500 | |
7)エビ豆 | 460 | |
8)コイの造り | 447 | |
9)うな重 | 417 | |
10)ビワマスの握り | 366 |
これらの魚の発酵食品について、ネット検索でお勉強するのが今回の目的です。 私もフナズシやムロアジのクサヤなどを食べたことがあるし、この種の食品には興味があるので、この際調べて見ようと思ったわけです。
1) 二ゴロブナのフナズシ
お腹の中が、卵で一杯ですね。 この太った奴が一番旨味がある。 良く知られているように、高価な食品です。 調べてみると、スライス 400grで5000円位です。 一匹丸ままというのもある。 まあ珍味で、値段ほど美味という訳ではない。 私は酒の当てとして、食べたが生臭魚チーズという感じであった。
二ゴロブナは、この魚です。
作り方:
ふなずしは、塩漬けした「ふな」をごはんと混ぜてじっくり漬け込み発酵させます。本漬け(めし漬け)約1年弱で食べられる。
味:
納豆やチ-ズとよく似た独特の香りがします。鮒寿司通の方にはたまらなく、お酒のつまみや鮒寿司茶漬けに使われる。
フナズシは、にぎり寿司の元になった食品だが、通常のにぎり寿司とは異なり、ごはんは魚を発行させるためだけに使う。 私は食べたが、通常ごはんは食べない。 固くて生米そのものという味。
フナズシには、大量の乳酸菌が付着しており、その数1gr当たり、数千万から1億ほど。 コレステロールを低減する乳酸菌が含まれ、健康増進効果も高いそうだ。 中高年向きの食材ですな。
2)ハスのナレズシ、メズシ
本体は、これです。
成長すると30cmは超える、コイ科の魚食魚である。やはり顔つきがいささか獰猛である。
味はフナズシ同様、塩味でチーズ臭がするようである。 しが 農村の魅力発信 によると、
恐るおそる1口食べてみると美味しい!!
塩味ですがさっぱりしていて、ハスの身がギュッと締まって、うま味を閉じ込めている感じ
私は、鮒寿司よりすごく食べやすい、いくらでも食べれるナレずしでした。お酒のおともになります!!
お茶漬けにも合いそうです
だそうです。一度食べてみたいものである。
解説によると、
塩漬けしたハスの稚魚をご飯に漬けたナレズシの仲間ですが、発酵させる期間が短いため、フナズシよりはくせが少なく、大変食べやすいスシです。ナレズシの入門編にお勧めです。
とあります。ナレズシの簡易バージョンなのですね。
3) ムロアジのクサヤ
ここからは、琵琶湖の魚から外れる。
これは、八丈島のクサヤです。 焼くとこんな風になり、実に美味そうだ。
実物はこれ。普通のアジより、丸くってかなり太っている。
また、春トビウオのクサヤというのもある。
魚を天日干しにする前に、くさや液に漬けこんで作るわけですね。 魚の身自体が発酵しているのでなく、この液が細菌により発酵しているそうだ。 かって、明治大正時代は低賃金労働者のごはんのおかずであったが、現在は高価な嗜好食品になっている。 調べてみると、ムロアジのクサヤで1枚500円くらいなので、通常のアジの干物の4~5倍の値段である。
製造過程は、
新鮮な魚 → 腹開き→ 水洗い・血抜→ くさや液漬けこみ → 取り出し
→ 水洗い → 乾燥(数十時間) → 完成
となっている。 手間暇かけているわけですね。
4) 発酵エイの刺身「ホンオフェ」
これは韓国の発酵食品で、エイをわらなどでくるんで壺のなかに詰め込み、10日くらいほど発酵させて作る。 エイは死後に自家発酵をはじめ、体内にアンモニアを生成し、それが発酵を進める。したがって、猛烈にアンモニア臭い。 強烈なアルカリ食品です。
エイの頭が、怪獣ガラモンの顔みたいである。
画像を与えるほどもないが、実物はこれ。
磯釣りでもたまに釣れますが、日本人はまづ食べない。
韓国には、何度も行っているがホンオフェは食べたことはない。 しかし、その臭いは嗅いだことがある。 ケブルと違って、とても食べる気にはならぬ。 如何物食い
この発酵させたエイを刺身のように切って食べる。 食べ方としては、
発酵して臭いが強いホンオフェは、茹でた豚と白菜キムチで巻いて食べるのが一般的です。アンモニア臭を中和するとともに、豚肉の甘みとキムチの酸味が、ホンオフェの旨みを引き立たせるという。発酵させればさせるほど身が柔らかくなり、美味とされる。
Wiki によると、臭いの強さは納豆の14倍、キビヤックの5倍であるとされる。
これがもろにオシッコの臭いなのね。
という発言があるが、これもクセになるとうまいのだろうね。 しかし、あまり食べたいとは思わぬ。
4) 発酵ニシンの缶詰「シュールストレミング」
最後は、世界一臭い食べ物である「シュールストレミング」である。
Wikipedia によると、つぎのような説明がある。
シュールストレミングの缶を開けたもの
シュールストレミング(スウェーデン語: surströmming [sʉ̌ːʂtrœmːɪŋ] スーシュトレンミング)
主にスウェーデンで生産・消費される、塩漬けのニシンの缶詰。その強烈な臭いから、「世界一臭い食べ物」と評されることもある。
スウェーデン語で「スール (sur)」は「酸っぱい」を、「ストレンミング (strömming)」は「バルト海産のニシン」を意味する。
バルト海産のニシンです。 調理されたやつだが・・・。
シュールストレミングの製造過程は、
バルト海産のニシン(3月) → 塩づけ(1日)→ 頭・内臓除去→ 塩づけ一次発酵 → 缶詰
→ 缶内で二次発酵 → 完成(8月)
となっている。 半年かけて作るわけだ。 二次発酵によるガスで、缶自体が丸く膨らみ、下手に缶を開けるととんでもないことになる。 そのため缶には、屋外でレインコートを羽織って開缶せよと書いてあるそうだ。
この動画を見てください。 漫画家の荒木飛呂
[第1話]JOJO's Kitchen「シュールストレミングを食べてみた!」
実際に開けて食べるという動画はこれです。
因みに、食品の臭気指数のベスト10をあげる。 このようになっている。
シュールストレミング | 8070 | |
ホンオフェ | 6230 | |
エピキュアーチーズ(缶詰チーズ) | 1870 | |
キビヤック | 1370 | |
くさや(焼きたて) | 1267 | |
鮒寿司 | 486 | |
納豆 | 452 | |
くさや(加熱前の干物) | 447 | |
沢庵漬け(古漬け) | 430 | |
臭豆腐 | 420 |
食べ慣れるとクセになるかね? マズイ、マズイと言っておる。 こいつもあまり食べたいとは思わぬ。
ということで、今回はこれでおしまい。
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