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2015年1月12日月曜日

風景画家 ヨアヒム・パティニール



趣味の画家シリーズです。今回は、同時代の画家デューラーが「素晴らしい風景画家」と呼んだパティニールを紹介したい。きっかけは、

石川美子著 青のパティニール 最初の風景画家 みすず書房

青のパティニール 最初の風景画家(表紙)

川本三郎による書評(毎日新聞)を読んだからである。私もこの画家を覚えていなかった。


みすず書房のホームページでの、この本の紹介。要を得て簡の良い説明文である。 青のパティニール 最初の風景画家 

16世紀初めネーデルラントの画家パティニール。残された作品の数は10点あまり、生涯についてもほとんどわからない。
しかし一度でもその絵を見た者は、驚くほど精緻な細部から目をはなせなくなり、絵のなかに流れる時間に心をうばわれる。
そして何よりも青のグラデーションの美しさに見とれてしまう。
著者もまたパティニールの作品に魅了され、各地の美術館をたずね、彼の絵を好んだ人たちの暖かな言葉を捜して、言葉を紡がずにいられなかった。

内容目次は、つぎのようになっている。

プロローグ
  映画『パティニール』
  ルーヴル美術館の絵
  フランドル旅行
  アントウェルペンの街

第一章 作品はどれか?
  美術史家の迷い
  魅せられた研究者
  ふたつの作品総目録
  共同制作者がいる
  画家たちの友情
  驚きと感嘆
  恣意的作品リスト

第二章 謎の生涯
  生まれた時と場所
  ディナンの町
  修業時代とヒエロニムス・ボス
  遍歴そしてブルッヘ
  ジェノヴァ旅行からアントウェルペンへ
  静かな工房
  デューラーとの友情
  南仏旅行と家の購入
  パティニールの死

第三章 風景画のほうへ
  純粋な風景画
  ミニアチュールの世界
  「風景」という言葉
  閉じこめられた言葉
  エラスムスやトマス・モアたち
  ラブレーからモンテーニュへ
  ペトラルカの山
  景色の断片
  最初の風景画家

第四章 青の世界
  水平線を描く
  鳥のまなざし
  ムーズ川とスヘルデ川
  そびえたつ岩山
  ロック・クライミング
  世界風景
  木々のすがた
  色の遠近法
  パティニール・ブルー

第五章 聖人たちのいる風景
  (一)聖ヒエロニムス
   孤独な聖人
   初期の聖ヒエロニムス像
   動物たちの意味
   不思議な細部
  (二)エジプトへの逃避
   奇跡の場面
   のどかな逃避旅行
   聖母子と奇妙な人たち
   麦畑さまざま
  (三)ステュクス川のカロン
   『アエネーイス』と『神曲』
   地獄と楽園
   なぜカロンか?
   川の理念
  (四)聖クリストフォロス
   ちぐはぐな絵
   素描と油彩画
   小説『ジョアキム親方の秘密』
   世界への窓

第六章 時の闇と光
  ハプスブルク家の人びと
  フェリペ二世の趣味
  オーストリアのハプスブルク家
  忘れられてゆくパティニール
  作家フロマンタンの絵画論
  ユイスマンス家にあった絵
  美術史家たちの登場
  愛の連鎖

エピローグ

あとがき

使用文献
索引

表題を見ているだけで読みたくなるような本ですね。自費で購入するのは、値段が高いので一寸無理。図書館で購読依頼をするのが良いかもしれない。

Wikipedia には、この画家を紹介する良質の記事が掲載されている。 
 ヨアヒム・パティニール 

そこから、引用する。

ヨアヒム・パティニール
Joachim Patinir

デューラーが描いたパティニールの肖像画
生誕1480年頃
ディナン?
死没1524年10月5日
アントワープ
著名な実績絵画
運動・動向初期フランドル派

ヨアヒム・パティニール(Joachim Patinir 、1480年頃 - 1524年10月5日)

初期フランドル派の画家。現在のベルギー南部(ワロニア地方)の出身で、歴史絵画、風景絵画を多く描いた。フランドルの風景画家ヘッリ・メット・デ ブレス (en:Herri met de Bles) の叔父ではないかとされており、北方ルネサンス風景絵画の先駆者とみなされている。

概略を、Wikipediaから要約する。

パティニールは現在のベルギー、ディナンかブーヴィーニュの生まれ。
1515年に、その生涯のほとんどを過ごしたアントワープ聖ルカ芸術家ギルドの一員として登録される。

1521年にパティニールの二回目の結婚式に友人アルブレヒト・デューラーが出席し、パティニールの肖像画を描いている(上の肖像画)。デューラーパティニールのことを「素晴らしい風景画家 er gute Landschaftmaler」と呼んでいた。

・パティニールの作品には広大な風景に小さな人物を描いたものが多く、なかには風景のみパティニールが描き、人物は他の画家が描き加えることもあった。

緑色と青色の色調変化を使うことによって遠近感を出し、広々とした空間を表現していることも特徴としてあげることができる。

青のパティニールと呼ばれた所以ですね。

パティニールは1524年にアントワープで死去し、友人だったクエンティン・マサイスが残された子供たちの後見人となっている。

そんなに長生きした訳でなさそうだ。現存作品数が少ないのもそのせいかもしれない。

この画家が注目されたのは、2007年にマドリッドのプラド美術館で開かれた初めてのパティニール展によってだという。私もプラド美術館に行きました。その時購入したプラド美術館ガイドブック(日本語版が売ってるのです!)2009年版



の326~329ページに

パティニールと16世紀のフランドル絵画

という節がある。分厚い本なので、スキャンは良くないがご容赦。



解説文も読み取れるが、例によって著作権の問題があるので引用できない。風景画に特化した画家であるという説明がある。後は、主として作品解説である。

この記事の目的である、彼および彼の工房の作品を見ていこう。

アントワープ王立美術館所蔵の 『エジプトへの逃避 (The Flight into Egypt)』


エル・エスコリアル修道院の 『聖クリストフォロス


ウィーン美術史美術館の 『キリストの洗礼 (The Baptism of Christ)』



  プラド美術館の 『 ステュクス川を渡るカロン 』 (ステュルス川=三途の川)


 プラド美術館の 『 聖ヒエロニムス



 プラド美術館の 『 聖アントニウスの誘惑



 プラド美術館の 『 エジプトへの逃避途上の休息



 プラド美術館の 『 聖アントニウス


パティニール派の 『三連祭壇画:エジプト逃避途上の休息



 
今回は、これでおしまい。

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