2章 1階常微分方程式と求積法
この章では、積分を実行することにより、解を求めることのできる微分方程式を扱う。
2.1 変数分離形
一階方程式の正規形 は、
(2.1) y' = f(x,y)
で与えられる。 f(x,y) = f(x)g(y) となっている場合
(2.2) y' = f(x)g(y)
のタイプの一階方程式を 変数分離形 という。
(2.2) は、形式的につぎのようにして解ける。
(1) 代数方程式を解く
(2) 変数変換を行う
(3) 微分や積分を行う
などの操作を有限回行い解を求めることを、 求積法 という。
例を与えよう。 以下例は、各節ごとに改めて番号づける。
ここで、 C は微分方程式の初期条件に対応する定数と考えられる。
2.2 変数分離形に直せる微分方程式
(2.3) y' = f(y/x)
の形の微分方程式を考える。 このタイプの方程式は、同次形(もしくは斉次形)とよばれる。
この方程式は、簡単な変数変換で 変数分離形 に直せる。
y/x = u つまり y=ux とおくと、 y' = u + xu' なので、
xu' = f(u) - u となり、
2つほど、例をあげよう。
同次形に帰着される変形 Version を考えよう。
ad - bc ≠ 0 なので、 連立方程式
ax+by+α = 0, cx+dy+β = 0
は、 唯一つの解 x = x₀ と y = y₀ をもつ。
今 X = x - x₀, Y = y - y₀ と変数変換すると、 dY/dX = dy/dx なので、
(2.4) 式は
(2.5) dY/dX = f((aX+bY)/(cX+dY))
の形になる。 (2.5) は 同次形 なので、 Y = uX とおくことにより
変数分離形 に帰着できる。
さて、同次形の一般化を考える。
(2.6) dy/dx = xn-1 f(y/xn )
ここで、 n は、自然数(実は、正の数でよい) とする。
このとき、 y = xn u と変数変換すると、 y' = nxn-1 u + xn u' なので、
方程式は nxn-1 u + xn u' = xn-1 f(u) となり、 xn-1 でわると
xu' = f(u) - nu つまり
du/dx = (1/x) [f(u) - nu]
となり、 変数分離形 に帰着される。
例を2つあげよう。
2.3 1階線形常微分方程式
p(x) 、 q(x) を 区間 I 上の 連続関数 とする。
一階常微分方程式が、
(2.7) y' + p(x)y = q(x)
の形にかけるとき、線形 という。 y と y' について一次式になっていることを注意。
(i) q(x) = 0 のとき、 (2.7) は、 同次形 という。
(ii) q(x) ≠ 0 のとき、 (2.7) は、 非同次形 という。
(i) 同次形 の解法
1節で示したように、解は
y = C exp(- ∫p(x)dx)
とかける。 C は積分定数である。
(ii) 非同次形 の解法 (定数変化法)
q(x) ≠ 0 のとき、 (2.7) の解を u(x) = exp(- ∫p(x)dx) として
y = C(x)u(x) の形で求めよう。
同次形の解の表示における定数 C を関数 C(x) に変化させる訳である。
y'=C'u+ Cu' なので、 (2.7) に代入して 整理すると、
C'u + C(u'+p(x)u) = q(x)
であり、 u'+p(x)u=0 なので
C'(x) = q(x)/u(x) となる。 これを、積分して
C(x) = ∫q(x)/u(x) dx + C
であるから、 (2.7) の解は
(2.8) y = exp(- ∫p(x)dx) [ ∫ q(x) exp( ∫p(x)dx) dx + C ]
で与えられる。
この方程式は、重要なので4つほど例をあげよう。
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