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2014年3月25日火曜日

中学生のための「数学」案内 III

 

5. 数学は役に立つ

自然科学というのは、まこと宏大な分野です。


物理学   Physics
生物学   Biology
化学    Chemistry
医学    Medicine
地学    Geography  その他


これらの分野の基礎的な部分数学が担っているので、
それだけでも役にたつことがわかります。

ここでは、現実問題に直接役だっていると思われている

応用数学 と 計算機数学 

について見ていきましょう。 次のように定義しましょう。

応用数学 とは、


物理学、生物学、化学、工学、経済学、等で用いられる数学的手法の学問。

計算機数学 とは、

人間の計算能力を超えるような数学的な問題を解くための手法の学問。
例えば、数値解析、計算機代数、グラフ理論 等。

各分野を簡単に見ていきましょう。

 応用数学

(A)  数理物理

物理学そのもの といっても良いかもしれない。

ニュートン力学


サー・アイザック・ニュートン
Sir Isaac Newton, 1642年12月25日 - 1727年3月20日)

ニュートン の記事は、ここ Wikipedi-Newton をみてください。 
彼はケンブリッジ大学ルーカス教授職 を務めていました。
非常に癖のある天才です。 晩年は、錬金術  に凝ってました。

ニュートン力学とは、運動の法則を基礎として構築した、
力学の体系のことです 流率法という今の微積分法 をもとにしています。 

運動の法則 は、次の3法則からなります。

第1法則慣性の法則)
質点は、が作用しない限り、静止または等速直線運動する。

第2法則ニュートンの運動方程式
質点の加速度{\vec{a}}は、そのとき質点に作用する{\vec{F}}に比例し、
質点の質量{m}に反比例する。
{\vec{a}=\frac{\vec{F}}{m}}
第3法則(作用・反作用の法則)
二つの質点 1、2 の間に相互に力が働くとき、質点2から質点1に作用する力{\vec{F}_{21}}と、
質点1から質点2に作用する力{\vec{F}_{12}}は、大きさが等しく、逆向きである。
{\vec{F}_{21}=-\vec{F}_{12}}
重要なのは、第2法則で、 微分方程式で書くと

m\boldsymbol{a} =m\frac{d\boldsymbol{v}}{dt}
 =m\frac{d^2\boldsymbol{r}}{dt^2} =\boldsymbol{F} 

と書けます。 v は、物体質点)の速度、 r はその位置です。

力 F が 質点 に働いたとき、その位置は、上の微分方程式を
初期条件(初期位置と初期速度) のもとで解くことにより
決定されてしまうという理論です。  

この理論を使えばケプラーの惑星運動法則 を数学的に解明できます。
天体軌道楕円双曲線放物線に分かれることが示されます。




相対性理論

皆さんよくご存じのように、アルベルト・アインシュタインの創始した理論ですね。


 アルベルト・アインシュタイン
(Albert Einstein 、1879年3月14日 - 1955年4月18日)

相対性理論とは、1905年に発表された特殊相対性理論
1916年に発表された一般相対性理論の総称です。

互いに、等速運動する座標系の間では物理学の法則が不変な形を保つという
原理(相対性原理)と、光速度不変の原理を仮定したときの物体の運動を記述する。
特殊相対性理論慣性系についてのみ記述し、一般相対性理論は加速運動する系や
重力場の効果を含めて一般化した理論である。

E=mc²

という 驚異的で簡単な公式は有名ですね。 



という、アインシュタイン方程式the Einstein equations) も有名です。
これは、万有引力・重力場を記述する場の方程式 です。

一般相対性理論 は、曲がった空間の数学であるリーマン幾何を数学的土台として
構築された重力場の理論です。


重力レンズ効果
重力場中では光が曲がって進むこと。アーサー・エディントンは、
1919年5月29日の日食で、太陽の近傍を通る星の光の曲がり方が
ニュートン力学で予想されるものの2倍であることを観測で確かめ、
一般相対性理論が正しいことを示した。

この事もよく知られています。  

量子力学

量子力学 は、

素粒子原子分子などの微視的(ミクロ)な物理現象を扱う理論。
様々な科学や技術に必須な分野である。 
例えば、パソコン携帯電話レーザー光線半導体は、
量子力学の応用で開発されている。
この分野には、天才的な科学者が輩出しています。

ボーア、ハイゼンベルク、シュレーディンガー、ディラック、フォン・ノイマン、
ファインマン、ダイソン、シュウィンガー、湯川秀樹、朝永振一郎、 等々

ここでは、 数学的な側面の強い シュレーディンガー と ディラック 
を紹介します。



エルヴィーン・シュレーディンガー
Erwin Schrödinger、1887年8月12日 - 1961年1月4日)

1926年に波動形式の量子力学である「波動力学」を提唱。
次いで量子力学の基本方程式であるシュレーディンガー方程式や、
1935年にはシュレーディンガーの猫などを提唱し、
量子力学の発展を築き上げた。

シュレーディンガー方程式 は、量子の存在確率を記述する方程式と
考えられている 線形偏微分方程式です。 
色々な場合にこの方程式を解くことにより、量子の状態を知ることができる訳です。



Ψ は、波を表しています。 V は、ポテンシャル

は、プランク定数 です。 


水素原子の固有波動関数の表です。



ポール・ディラック
Paul Dirac, 1902年8月8日- 1984年10月20日)

量子力学及び量子電磁気学の分野で、多くの業績を残しています。
特に、ディラック方程式 が有名です。




 
これは、一階の偏微分方程式ですが、システムになっています。

 
これは、電子相対論的量子力学を記述する方程式として、
ディラック により与えられたものです。
この方程式から導かれる電子の負エネルギー状態を考察し、
彼は、電子の電荷と符号が逆で大きさは同じ電荷を持ち、
電子と同じ質量を持つ粒子(反粒子)の存在を予言した。 

予言通り、電子の反粒子である陽電子がアンダーソンにより1932年に
実験的に発見された。

彼は数学の分野にも大きな影響を与えています。
ディラックのデルタ関数」と呼ばれるδ関数は、数学における超関数理論へと発展した。

彼は物理学における数学的な美の重要性を強調しています。


Schrödinger Meets Dirac というキャプションがこの画像についています。
ちょっと意味不明です。 赤い玉が電子の海の陽電子かもしれません。
 

また彼は、ケンブリッジ大学のルーカス教授職を務めていました。




スティーヴン・ホーキング
(Stephen Hawking, 1942年1月8日 - )

量子宇宙論=量子力学+相対性理論 という分野の創設者。
現代宇宙論に多大な影響を与えている物理学者。

ブラックホール蒸発理論 で有名です。



ブラックホール は、全てを吸い込み、そして蒸発する。


彼の名前のついた方程式があります。

意味は、よく解りません。 
しかし、物理的に重要な定数で異質とおもわれる
光速度、プランク定数、重力定数、ボルツマンの定数などが
結びつけられています。

彼もまた、ケンブリッジ大学ルーカス教授職 を務めています。


(B)  確率論

確率論は、 何から始まったかというと バクチ です。 
賭博師でもあったイタリアのカルダーノが、 1560年代に『さいころあそびについて』を執筆して
初めて系統的に確率論を論じたのが、数学の一分野としての確率論の始まりです。
その後 パスカルフェルマー、等によって数学として研究されました。

ここでは、パスカルを取り上げます。

ブレーズ・パスカル
(Blaise Pascal、1623年6月19日 - 1662年8月19日)

人間は考える葦である」の名文句で有名ですね。

パスカルの賭け」などの神学的な思弁において「懸けの必要性」を重要視しています。

確率論とは、直接関係はありませんが、有名な パスカルの三角形 を挙げておきます。




 

18世紀から19世紀にかけて、ラプラスはそれまでの確率論を統合する研究をおこなった。
1814年2月に『確率の哲学的試論』を著し、「古典的確率論」と呼ばれる理論にまとめた。
これで、完全に確率論は、数学の一分野になりました。



ピエール=シモン・ラプラス
Pierre-Simon Laplace, 1749年3月23日 - 1827年3月5日)

フランスの自然科学者、数学者、物理学者、天文学者 です。
何でもできた天才です。 大学で教わる ラプラス変換  や
ラプラスの悪魔(Laplace's demon) で知られています。



現代的な確率論は、アンドレイ・コルモゴロフ により測度論 に基づいて
公理的に構築されました。 彼以降、この路線で研究が進められています。


アンドレイ・ニコラエヴィッチ・コルモゴロフ
Andrey Nikolaevich Kolmogorov, 1903年4月25日 - 1987年10月20日)

ロシアの著名な数学者です。 

私は、学生時代に この本を読んで 関数解析を勉強しました。




丁度手元にあるので、見てみると、赤線 や アンダーライン
書き込み なんかが沢山あり懐かしいですね。 750円でした。

画家ダリの確率現象(時間) に関するイメージ像があります。


 

確率過程 は、ランダムな運動を数学的に記述するモデルとして利用されています。
伊藤過程 という日本人数学者 伊藤清 の提案したプロセスもあります。
それは、確率遅延微分方程式 で記述されます。


伊藤 清(1915年9月7日 - 2008年11月10日)

先年亡くなりました。 日本の誇る大数学者です。

朝日賞(1977年)
恩賜賞(1978年)
日本学士院賞(1978年)
勲二等瑞宝章(1987年)
ウルフ賞数学部門(1987年)
京都賞基礎科学部門(1998年)
ガウス賞(2006年)

文化勲章も受賞しています。

To Be Continued

大幅に書き加えましたので、III回では、無理でした。
次回で終わる予定ですが、今のところ未定です。 

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