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2014年12月14日日曜日

今日、ホームレスになった


このところ寒波が押し寄せ、猛烈に寒くなっている。東北や日本海側では、連日の大雪である。神戸では、雪は降っていないが、やはりダウンに包まり防寒帽、手袋の重装備でないと外出は困難になっている。それ程ではないが、着膨れ状態で午後の散歩に出かけた。水道筋の商店街の入り口の都賀川沿いに公園がある。そこは、ベンチなどが置かれてあり市民の憩いの場になっている。

最近は見ないが、以前このベンチに一人の物凄く重ね着をしているホームレスの方を見かけたのを思い出した。寒い中、年を越して生きるのは大変だろうなと思ったのだ。

先日買ったビッグコミック連載の最強伝説新黒沢を読んだからかもしれぬ。現在続編で、黒沢君は生還し河川敷でホームレスをしている。



そんな事が頭にあったのか、以前買った文庫本を再読した。この本です。



増田 明利 著 今日、ホームレスになった 彩図社 2012年

 単行本は、2006年の7月刊で、そこでは13人の転落人生というというコピーが入っているが、文庫本では15人に増えている。ホームレスの現状をルポしている。

「BOOK」データベースによる概要。

今やホームレスの40%は元サラリーマン―日本の格差社会が生んだ悲惨な現実がこれだ!!路上で暮らすかつての企業戦士たちを追ったルポルタージュ。

内容は、4章からなっている。

第1章 エリートビジネスマンの暗転
第2章 漂流するホワイトカラー
第3章 社長失格
第4章 明日なき若者たち

各章で、個々のホームレスの方へのインタビューで構成されている。様々なケースがあるが、本人の責任とか自覚のなさとかではなく、労働環境の悪化が主たる原因であると思える。 

身につまされた方がいたので、そのW氏56歳のことを文庫本から引用して書く。2006年の時点です。

プロフィール:
身長170㎝くらい。痩せて顔色が悪い。汚れたスーツの上に登山用のヤッケ。野球帽。

現住所:
江戸川河川敷

生活状況:
雑誌拾い、アルミ缶収集で1日1500円ほどの収入。病気がちで体調不良。

経緯:
都内の有名私大を卒業し準大手クラスのゼネコンに入社、主に営業部門に勤務していたがバブル崩壊後は会社の経営状態が悪化して平成10年に倒産。倒産後再就職先を探すも、年齢が障害になり不調。警備会社に契約社員として採用されるが、平成15年1月解雇。その後無職状態がつづき江戸川河川敷の住人となる。

その経緯を彼のことばで語ってみる。


会社人間で、家庭を顧みず41歳で協議離婚。その後の会社倒産。再就職探し。

「悔しいが私程度の人間は掃いてすてるほどいますよ。

雇うほうとすれば30代までの若い人、よほど能力が高くても40代前半までしか選考の対象にしないんでしょう。」

再就職先の警備会社に契約社員として入ったころに深刻な病気になる。甲状腺機能亢進症。そのため、会社から解雇される。

「おたくはもういいです。ごくろうさまでした。

と言われておしまいだった。」

雇用保険を貰いながら、職を探したが54歳では求人はなく、貯金を取り崩して生活したが、ついには使い果たし、すんでいたアパートから夜逃げ。

 「アパートの家賃も払えなくなってしまった。
夜逃げして野宿生活に転落だ。あっけなかったね・・・・・

その方の後悔もしくは痛恨の叫び。

「あっというまに青テント生活です。
こんな無様な姿になるとはねえ・・・・・・・」

「今は雑誌拾いをしているけど1日2000円にもならないよ。2か月ぐらい前からまた身体の調子がおかしくなってきてね、座っているのに胸がドキドキして息苦しくなったり手の指が震えてきたりした。

お金はない、住む家もない、
その上体もむしばまれてもう不安だらけです。」


私は、知らなかったのだが、住所がないと生活保護等の福祉はうけられないのだそうだ。 

明日は、我が身なのである。

気になったので、現在のホームレス状況を厚生労働省のホームレスの実態に関する全国調査(概数調査)結果で調べてみた。

 

 
いささか驚いた。平成21年に比べると、半数近くに激減している。現在全国で8000人程度。
 
都道府県別では、こうなっている。当たり前だが、東京都と大阪府がダントツに多い。
平成25年度は、共に約2000名程度。兵庫県はその1割の215名。
 
 
 
 
都市別は、省略する。尼崎市が多く64名。それでも前年度より23名減。
 
どんな所に住んでいるかと言うと、順に 都市公園、河川、道路、駅舎である。
詳しい割合はこのようになっている。


現在は、河川敷で生活している人の割合が多くなっている。漫画新黒沢の設定は的を得ている。

収入月額は、殆ど1万円以下である。生活保護費のずっと下である。

ホームレスの数が減ったというのは、大体は市の援助政策や労働支援策、それらを助ける民間ボランティアの活動によるものだ。捨てたものではない。政治は大切で、それを正しい方向に持っていくのは、市民の務めである。 投票で我々の意志を表示しよう。 

衆議院選挙の投票にいかねばならぬので、中途半端ではあるが今回の記事はこれでおしまい。

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