手塚治虫のブラックジャックは好きで、少年チャンピオンで連載されていた時はずっと読んでたし、単行本になってからも読んだので殆ど読了したと記憶している。
調べてみると全部で242話なので、実際には読んでいないのもあるかと思う。ブラックジャック
昨日、恒例の古本屋巡りで、住吉のBook-Off に行ったのだが、その棚にこの本があった。
ブラック・ジャック・ザ・カルテ 海拓社 BJ症例検討会 著 2001年7月刊
見て面白そうだと思って、買ってきた。いつもの100円本でなく、200円本である。
中身を簡単に紹介する。
第一部 症例カルテ、第二部 架空症例対談、第三部 オマージュ からなっている。第一部が中心になっているが、漫画に現れる病例のブラック・ジャックによる対処と、それについての現役の医師による評価が解説されている。作者は、ブラック・ジャックに影響を受け、医学の道に進んだ30~40代の現役の医師グループ27名である。36の症例に対し、その漫画のあらすじと、カットが挿入されており、「評価理由」と「私ならこうする」欄がある。この本の真骨頂は、この2つの欄にあるが、ある程度医学の一般知識がないとわかりにくい。
例えばこれである。
三尖弁閉鎖症
専門的すぎますね。私は、この2つの欄をすっ飛ばして読みましたが、それでも十分に面白いです。この本は良く売れて、ベストセラーになり3巻まで出版され文庫化もなされた。
2巻と3巻の表紙です。
今回何が書きたいのかと言うと、第3部のオマージュにある、「ピノコ生きてる!」のピノコの苦悩についてである。
Wikipediaで確認すると、このように書かれている。
ピノコは単行本第2巻「畸形嚢腫」で、双子の姉の体のこぶ(畸形嚢腫)の中に脳や手足、内臓等がばらばらの状態で収まった状態で登場。
それまでもあちこちの病院で摘出手術を受けようとしたのだが、念力で手術道具を破壊したり、テレパシーで医師等を狂わせるといった超能力で手術を妨害するため手がつけられず、もぐり医師であるブラックジャックの病院に運び込まれた。
ブラックジャックも当初は妨害を受けたものの、説得をして麻酔をかけ摘出。その後、一人の女児として組み立てられた。
ブラック・ジャックとともに生活するただひとりの家族であると同時に、ブラック・ジャックが全幅の信頼を寄せる忠実な助手でもある。
実際の知性や行動は見た目どおりの幼稚園児程度。
ブラック・ジャックの「おくたん(奥さん)」と自称しているが、ブラック・ジャック自身は娘のように扱っている。嫉妬深い一面も持っており、ブラック・ジャックが若い女性と関わることを嫌う。
漫画では、あふれるばかりの天真爛漫の笑顔と
アッチョンブリケ
で、ブラック・ジャックを精神的にも支えているのである。
ピノコは、こんなボロ家でブラック・ジャックと一緒に暮らしている。
それで、私はこの本を読むまでピノコの真の苦悩を知らなかったのである。
小野博正医師によると、本来ピノコは重度の視力障害者であり、それを彼女の超能力で他人の思考とか視力を利用して障害を補っていたのだ。
さらには、発声障害もあるので食道発声で話をしている。ピノコ特有の幼児語や独特の単語(アッチョンブリケ)は、食道発声によるものだったのである。
ピノコが普通に歩けているのは、すさまじい筋力トレーニングの結果である。
また、ピノコの皮膚の殆どが合成繊維でできているため、病原菌の侵入と闘わなければならない。繊維の接合部は毎日消毒を行い感染予防に努めるしかない。
日々このような苦痛(苦行と言って良い)に打ち勝って、天真爛漫な笑顔で生活しているのである。
えらい!
小野博正医師は、オマージュの最後をこのような言葉で終わっている。
本当にピノコは嚢腫から出て幸せだったのだろうかと
困惑してしまう。
しかし、どのような苦難の人生であろうとも、
妻と呼ばれてB・Jに寄り添って歩く21歳のピノコの後姿は、
間違いなく幸福に満ちていた。
漫画とは言え、実に感動的ではありませんか。 今回はこれでおしまい。
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