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2018年2月5日月曜日

ナポリ旅行記 IX ポンペイ遺跡(6)

今回はフォロ(公共広場)の見学から始めよう。広場の入り口に槍を持ったケンタウルスの彫像がある。当時のものと思いきやそうでなく、これは博覧会か何かがあったときに造られたものだと教えて頂いた。


腕がなく頭半分も欠けているので発掘されたものかと思ったがそうではなかった。


広場は政治、経済、宗教の中心地とされた。横142m、巾38mの広場である。

奥に見えるのがジュピター神殿跡凱旋門跡(名誉アーチと呼ばれる)


神殿の遺跡 通用門やイオニア式の列柱が残っている。

二階建て列柱跡



アポロ神殿跡列柱

エウマキア館入り口

フォロ中央部東側に面して列柱が立っていて、その右側に小さな四角い門がある。


碑文によれば、エウマキア館羊毛職人組合の所有で、毛織物業で財を成した巫女(女性神官)のエウマキアが、ローマ初代皇帝アウグストゥスへの忠誠を誓うためにて献納したものだそうです。

表示板 Portico della Concordia Augusta  アウグストゥスへ献納された館というような意味らしい。

この建物は、布地の保管や陳列に使われ、また売買交渉にも使われたそうである。左右の門柱の大理石には繊細なアカンサス唐草のレリーフが施されている。保護のため現在はラスチック製の透明カバーが被せてある。

門柱の大理石レリーフ


入り口の壁面部分



エウマキア館の敷地  現在は外壁だけで殆ど何も残っていない。


 公衆トイレ跡

エウマキア館前の通り

壺を運ぶ人のレリーフ  市場のマークかもしれない。


果物や野菜などの大市場跡は大きな石の屋根で覆われている。

右側が大市場跡にある発掘物の保管庫  鉄柱を中心に置いた赤レンガ積みの柱がつけられている。



噴火の時には完成していなくて、アーケードの代わりに大きな屋根が並んでいた。
現在は発掘された壺や石像、庭園の大理石家具、噴火犠牲者の遺体の石膏像などの保管庫として使われている。

それらを各ブロックごとに見ていこう。保管庫は鉄格子が渡されていて立ち入れないようにしてある。

壺の陳列 遺体の石膏像がガラスケースに入れられている。



鉄格子の隙間から写した出土品の数々。圧倒的に壺が多くて大理石の調度品も散見される。


仰向きになった子供の遺体の石膏像が小さなガラスケースに入っている。


大理石の噴水 大型の壺 足を折り曲げた形で亡くなった人の遺体の石膏像

大理石の噴水台  ガラスケース入りの子供の石膏像 石柱

婦人の大理石像 門柱のレリーフ 石柱の一部 各種の壺

ブロンズ製の棺 ジュピターとバッカスの石像  祭壇の一部

などが所狭しと収納されている。より貴重な出土品は国立考古学博物館で保管されている。

フォロ公衆浴場  Terme del Foro


 入り口通路

通路を抜けると浴場に向かう中庭に面した通路がある。やはり壁面にはフレスコ画が描かれているが剥落していてはっきりとは見えない。


ポンペイには、3つ公共浴場3つ個人経営浴場があったそうです。

ここは公共浴場の一つであるフォロの浴場である。相当に設備の充実した浴場です。

入浴は、脱衣室 微温浴室(テピダリウム)→高温浴室(カルダリウム)→冷水浴室(フリギダリウム)という順序で入浴したそうである。


テピダリウム
(微温浴室) 

テピダリウム
(微温浴室)は、入浴前の準備をする部屋として用いられていた。適度な微温に暖められた開放空間である。ポンペイの浴場のテピダリウムは床がモザイクで、アーチ形天井は漆喰で装飾され、赤い壁絵画がかけられていた。



ドーム部分下部の装飾  ポンペイレッドを背景として乗馬のレリーフがなされている。



衣類置き場

ポンペイの浴場
では、カルダリウムに入る入浴者がこのテピダリウムを脱衣室として使うこともあった。それで壁面を小さく区切りこれを服置き場として使用した。壁から張り出したアトラス像テラモーン像がその衣服を置く空間を仕切っていた。


 



壁面の皿形レリーフ

寝台 ここに寝そべってマッサージなどを受ける。



カルダリウム
高温浴室大理石の温水浴槽

カリダリウム(高温浴室)なのだが、浴槽にお湯を張ったタイプのお風呂。浴槽は大理石で作られている。公衆浴場の浴槽としては小さいので、サウナの方の利用が多かったと推測されている。




カルダリウム高温浴室サウナ

この写真のカルダリウム高温浴室)は、床暖房システムの一種であるハイポコーストで熱された非常に高温多湿の部屋。いわゆるサウナです。サウナセントラルヒーティングも紀元前からあったのです。

(注: ハイポコースト
柱を使って床面を地面から持ち上げ、壁の中にも空間を残しておき、炉からの熱気と煙を床下や壁に送り込み屋根付近の送管で排気する方式の古代ローマのセントラルヒーティングシステム。)



カリダリウム冷噴水 豪華な大理石製である。

これは、火照った体を冷やすために冷水が出てくる噴水だった模様。この噴水の鉢の縁に彫ってあるのは、これを寄贈した人の名前と選挙の売込文だそうです。
いつの時代も売名行為は廃れません。またこの事からも当時ポンペイではすでに議会選挙が行われていたことがわかる。ローマ帝国は進んでいましたね。




このように壁に隙間を空けてそこに炉からの熱気を送り込む。


フォロの浴場見学はこれで終了。銭湯好きには楽しい見学でした。

フォロを抜け通りを奥に進んでいく。つぎに向かうはポンペイ一大きい邸宅と言われるファウノの家である。

煉瓦造りの大門 後で調べたところによるとカリグラ帝の凱旋門でした。


邸宅の見学は次回のポンペイ遺跡(7)にまわそう。今回はこれでおしまい。


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