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2015年9月26日土曜日

地方空港の赤字

退職して2年半たって、世間のことに目を向けるようになって思い至ったのは、役人による税金の無駄使いである。国立競技場建設費なんて正にそう。箱もの建設や地方空港の設立、地方道路の整備と新設などである。実際には不要のものが多い。
ここで役人と言ったが、一般の公務員ではない。各省庁の次官とかの上級公務員のお偉いさんのことである。彼らは総じて、出世のことしか考えていない。偉くなれば、権限で特定企業と結びつく政治家と結託して、自己の権益拡大に勤しんでおり、国の将来とか国民の幸福というものを考えていない。税金を増やして、自分たちにとって都合の良いことにのみ国費を使おうとしている。
民主党政権に変わり、事業仕分けなどを食らって暫くは鳴りを静めていたが、自民党政権に戻り、またぞろ復活してきたようだ。今は消費税を一律10%に上げ、使える財源を更に増やそうとしている。年金生活者にとっては誠にありがたくないことだ。

何より税金は、国を良くするために使って欲しい。軍事費などを一方的に増やすのは、止めるべきである。国の最大のリソースである国民の教育を最優先させるべきだ。教育制度を手厚く充実させ、国民の知的情操的レベルを向上させれば、その集合体である国はなんとしても生きていける手段を見出すのである。それと元気な高齢者の若年層と競合しない就労支援である。決して、一部の権力者のみが得をするような国費の使い方をしてはならない。
安保法案が衆議院通過  教育の質の劣化を招く国立大改革 

と、昨今の感慨を述べてから、今回は地方空港の赤字について書きたい。

これは、雑誌で読んだことで信頼性は置けないが、地方空港に対しこんな見方があるということで紹介したい。手元に資料がないので、うろ覚えで書いている。文責は私にある。

先日安保法案が可決されてしまったが、もともと自民党の権力者には軍国化(いつでも戦争できる軍隊を所有すること)を進め、再び戦争の起こるような状況に持っていきたい意志がある。目的は、時代錯誤と思えるが、領土の拡大と軍事大国化である。北方領土のみならず南洋諸島台湾周辺までも領土としたい。(全く今の中国と殆ど同じ発想)
そのためには、強力な軍隊をつくらねばならないが、自衛隊を基に作りかえる。中国や韓国、中東の国に対する反感を煽り、国を自力で守ると言う理由で国民皆兵性に持っていけば、兵士は集められる。そのためまづ参政権を18歳まで下げ、国民の義務としての徴兵制により、より多数の若い兵士を集め訓練して強い軍隊を作る。
実際の戦闘になれば、強力な武器になるのは原子爆弾等の兵器であり、それを運ぶミサイルであり、爆撃機である。原子力発電所は全国に54基あり、使用済み材料は膨大な量になり、原爆の材料には事欠かない。戦闘になれば、出来るだけ多数の着陸路(空港)が必要となる。政治家の意向により、多数の地方空港が作られたのはそのせいだという。国民の利便性を考えたものでなく、戦時の利便性を考慮している。土建屋さんを儲けさせ、政治資金を集める為だけではない。

信じがたい上に嫌な見方だが、一面の真実を突いているのかもしれぬ。

ブログを書き始めて、幾つかの地方空港を紹介した。
石垣・西表島旅行記 I 伊丹空港、那覇空港、新石垣空港
長崎旅行記 XII 諫早から長崎空港
余部日帰りドライブ (但馬空港)
 
その他にも、神戸空港、新千歳空港、羽田空港、福岡空港、鹿児島空港を利用したことがある。
少しの空港しか知らないので一概に言えないと思うが、設備は整っているものの乗客が少ないのでないかという印象を受けた。

神戸空港赤字なのは知っていたが、全国の地方空港ではどうなっているのか気になり調べてみた。充分ではないが、その結果を報告したい。

まづ、最初に分かったのが概念の取り違え。 地方空港(全国の空港)-(国際空港) もしくは、大都市以外の地方にある空港と考えていたが双方とも間違い。

Wikipediaさんに教えて貰ったのだが、日本の空港は空港法などにより大きく4種類の空港に分類され、さらに拠点空港は3つに分類されている。面倒だが、具体名と共に引用する。


1.拠点空港

1.1 会社管理空港

4箇所

  • 関東:成田国際空港(成田空港)〔成田・成田空港〕
  • 中部:中部国際空港(セントレア、中部空港)〔名古屋〕
  • 近畿:関西国際空港(関西空港)〔関西空港〕、大阪国際空港(伊丹空港)〔大阪・新大阪〕


1.2  国管理空港

19箇所
  • 北海道:新千歳空港〔札幌・新千歳空港〕、稚内空港〔稚内〕、釧路空港(たんちょう釧路空港)〔釧路〕、函館空港〔函館〕
  • 東北:仙台空港〔仙台〕
  • 関東:東京国際空港(羽田空港)〔東京・新宿・上野・品川〕
  • 中部:新潟空港〔新潟〕
  • 中国:広島空港〔広島・福山〕
  • 四国:高松空港〔高松〕、松山空港〔松山〕、高知空港(高知龍馬空港) 〔高知〕
  • 九州:福岡空港〔博多〕、北九州空港〔小倉・門司〕、長崎空港〔長崎〕、熊本空港(阿蘇くまもと空港)〔熊本〕、大分空港〔大分〕、宮崎空港(宮崎ブーゲンビリア空港)〔宮崎・宮崎空港〕、鹿児島空港〔鹿児島中央〕
  • 沖縄:那覇空港

1.3  特定地方管理空港

5箇所
  • 北海道:旭川空港〔旭川〕、帯広空港(とかち帯広空港)〔帯広〕
  • 東北:秋田空港〔秋田〕、山形空港(おいしい山形空港)〔山形〕
  • 中国:山口宇部空港〔山口・新山口〕

2.地方管理空港
54箇所

  • 北海道:利尻空港、礼文空港、奥尻空港、中標津空港(根室中標津空港)、紋別空港(オホーツク紋別空港)、女満別空港〔網走・女満別〕
  • 東北:青森空港〔青森・新青森〕、花巻空港(いわて花巻空港)〔盛岡〕、大館能代空港(あきた北空港)〔大館〕、庄内空港(おいしい庄内空港)〔酒田・鶴岡〕、福島空港〔福島・郡山〕
  • 伊豆諸島:大島空港、新島空港、神津島空港、三宅島空港、八丈島空港
  • 中部:佐渡空港、富山空港(富山きときと空港)〔富山〕、能登空港(のと里山空港)〔和倉温泉〕、福井空港〔福井・敦賀〕、松本空港(信州まつもと空港)〔松本〕、静岡空港(富士山静岡空港)〔静岡・浜松〕
  • 近畿:神戸空港(マリンエア)〔三ノ宮・新神戸〕、南紀白浜空港〔白浜〕
  • 中国:鳥取空港(鳥取砂丘コナン空港)〔鳥取〕、隠岐空港、出雲空港(出雲縁結び空港)〔出雲市〕、石見空港(萩・石見空港)〔益田〕、岡山空港〔岡山〕
  • 九州:佐賀空港(有明佐賀空港)〔佐賀・鳥栖〕、対馬空港(対馬やまねこ空港)、小値賀空港、福江空港(五島つばき空港)、上五島空港、壱岐空港
  • 薩南諸島:種子島空港(コスモポート種子島)、屋久島空港、奄美空港、喜界空港、徳之島空港(徳之島子宝空港)、沖永良部空港、与論空港
  • 沖縄:粟国空港、久米島空港、慶良間空港、南大東空港、北大東空港、伊江島空港、宮古空港、下地島空港、多良間空港、新石垣空港(南ぬ島石垣空港) 、波照間空港、与那国空港
3.その他の空港
12箇所

  • 関東:調布飛行場〔八王子・立川〕、大利根飛行場龍ヶ崎飛行場
  • 中部:名古屋飛行場(県営名古屋空港、小牧空港)
  • 近畿:八尾空港但馬飛行場(コウノトリ但馬空港)〔豊岡・城崎温泉〕
  • 中国:岡南飛行場
  • 九州:天草飛行場大分県央飛行場薩摩硫黄島飛行場

4.共用飛行場
 
8箇所

  • 北海道:札幌飛行場(丘珠空港)※自衛隊と共用 、千歳基地(千歳飛行場)
  • 東北:三沢飛行場(三沢空港)〔八戸〕※自衛隊・アメリカ空軍と共用
  • 関東:百里飛行場(茨城空港)〔水戸・勝田〕※自衛隊と共用
  • 中部:小松飛行場(小松空港)〔金沢〕※自衛隊と共用
  • 中国:美保飛行場(米子空港、米子鬼太郎空港)〔松江・米子〕※自衛隊と共用 、岩国飛行場(岩国錦帯橋空港)〔岩国・新岩国〕※自衛隊・アメリカ海兵隊と共用
  • 四国:徳島飛行場(徳島空港、徳島阿波おどり空港)〔徳島〕※自衛隊と共用



ややこしいが定義でいうと、地方空港とは地方管理空港特定地方管理空港 のことである。

それと、国が管理する26空港とは、国管理空港一部のその他飛行場一部共用他飛行場 である。

ここで、ようやく赤字の状況をある程度正確にのべることができる。


1) 国が管理する26空港の収支


 

国土交通省は12日、国が管理する26空港の収支を発表した。

 
2010年度の営業損益表


 
2010年度に経常赤字となったのは全体の9割超に当たる24空港だった。
赤字空港は09年度から4空港増えた。航空会社が航空機や機材の小型化を進めていることから、空港が受け取る着陸料が減少。地方路線の減便も収益悪化につながった。
黒字だったのは新千歳、小松の2空港だけだった。
 
だから殆どの空港で赤字。その累計は、凄まじい額になる。

2.自治体の運営する55空港の収支


自治体の運営する空港とは、地方管理空港特定地方管理空港を合わせたものである。
国土交通省のまとめによると、2011年10月現在、自治体運営の55空港のうち51もの空港が赤字という結果が出た。

これについては、地方自治体毎に報告の様式が異なる、すぐに比較はできない。開示済の空港は以下の通りである。

 
地方自治体が管理する空港の空港別収支の開示について

 現在、国が管理する空港以外の地方自治体が管理する空港については、自治体において空港別収支を試算し、その結果についてそれぞれのホームページ等で開示を行っています。

 【開示済み空港(平成27年2月1日現在)27自治体62空港】

 ◎自治体名(空港名)   ※以下の自治体名(空港名)をクリックすると、各自治体等のホームページへ移動します。

  北海道(女満別空港、中標津空港、紋別空港、奥尻空港、利尻空港、礼文空港)  旭川市(旭川空港)  帯広市(帯広空港)  青森県(青森空港)

  秋田県(秋田空港、大館能代空港)  岩手県(花巻空港)  山形県(山形空港、庄内空港)  福島県(福島空港)  石川県(能登空港) 

  富山県(富山空港)  東京都(大島空港、新島空港、神津島空港、三宅島空港、八丈島空港、調布飛行場)  新潟県(佐渡空港)  静岡県(静岡空港)  

  長野県(松本空港)  愛知県(名古屋飛行場)  神戸市(神戸空港)  和歌山県(南紀白浜空港)  鳥取県(鳥取空港)  

  
  島根県(出雲空港、石見空港、隠岐空港)  岡山県(岡山空港、岡南飛行場)  山口県(山口宇部空港)  
  佐賀県(佐賀空港)  長崎県(対馬空港、小値賀空港、福江空港、上五島空港、壱岐空港)  大分県(大分県央飛行場)

  熊本県(天草飛行場)  鹿児島県(種子島空港、屋久島空港、奄美空港、徳之島空港、沖永良部空港、喜界空港、与論空港)
  沖縄県(粟国空港、久米島空港、慶良間空港、南大東空港、北大東空港、伊江島空港、宮古空港、多良間空港、新石垣空港、波照間空港、与那国空港) 


なぜ地方空港は赤字になりやすいのだろうか。理由としては、少ない便数による利用客数の伸び悩み、新幹線との競合などが考えられる。しかし、そもそもそのような空港が必要なのであろか?

クローズアップ現代の記事をほぼ全文引用する。


採算を度外視して続々と開港されてきた地方空港。実態を伏せたまま運営してきた自治体もいま、ようやく危機的状況下にあることを分かり始めたようだ。赤字体質が定着し、なかには廃港を覚悟せざるを得ない空港も出現しているという。

NHKの調査では、自治体運営の55空港のうち51もの空港が赤字という結果が出た。明るみになった地方空港の危機。番組でその実態を追ったところ、臭い物には蓋という隠ぺい体質に行き当たった。

年間収入5600万円に経費4億3000万円

   NHK が調査したのは、着陸料などの収入、人件費など11項目。それによると、全国98ある空港のうち、自治体が運営しているのは55空港で、黒字空港は旭川、冨山、神戸、石垣の4空港だけ。あとはみな赤字で総額は80億円にのぼるという。赤字空港のなかには、空港運営に関わる人件費すら分別できないと回答する自治体もあったという。

   赤字空港がなぜこれほどまでに膨らんだのか。覆い隠されて分からなかった経営の実態を積極的に公表した自治体がある。秋田空港大館能代空港を持つ秋田県だ。公表の理由を佐竹知事は「逆にいえば、今まで公表されなかったのがおかしい。このまま突っ走れば必ずムリが来る」からと言う。4月末に開かれた県議会で初めて収支状況を明かしたが、2つの空港合わせた年間赤字額6億9000万円という報告に、県議たちは驚きの声を上げたという。

   問題は大館能代空港で、就航しているのは東京便が2便、大阪便が1便の1日3便しかない。昨年度の利用客は過去最低の11万人。人件費など年間支出が4億3000万円に対して、収入はわずか8分の1の5600万円しかなかった。

   原因は過大な需要予測。開港前の98年に行った予測では、18便が就航し72万人が利用すると見込んでいた。しかし、開港前年に秋田新幹線が開通し、続けて大館能代空港から規模の大きい秋田空港につながる高速道路も開通。どんどん利用客が落ち込んだ。

バッシング恐れて赤字ウヤムヤ

   番組は「国や県が地域の交通機関の将来戦略を考えずに、タテ割りで整備してきた結果だ」と指摘する。問題はこれだけで済まなくなってきた。経営再建を目指す日本航空が国内30の不採算路線のリストラを発表したことから、主要収入源の定期路線を失う空港すら出てきた。

   さらに追い打ちをかけるように、国交省が「地方空港に手厚く資金を配分してきた特別会計の仕組みがムダを生んできた」として、今後は主要空港に資金を集中させる計画を打ち出した。年間50億円規模の地方空港への補助金が減額される可能性が高まってきたのだ。

(国会での予算審議のない)特別会計だからこそ、国民に知られずにこんな無駄使いができたのである。

   秋田県だけの問題ではなく赤字空港を抱える自治体は、赤字を覆い隠しながら、税金を注ぎ込むことはもはや不可能な時代になってきている。

   それにしても、自治体は地方空港の収支報告をなぜ公にしてこなかったのか。国谷キャスターの「(住民が)情報なきままに判断させられてきたことがすごく問題ですね」に、番組に出演した関西学院大学の上村敏之教授は次のように指摘した。
「公にするとほとんどの場合、赤字なのでバッシングを受ける。それが嫌で積極的に公にしなかった。今後は、赤字をどうやってコントロールするかが大事で、住民に情報公開し、緊張を持って運営する体制を整えていくことも必要だ。
   もう一つは空港を担当する職員はいろんな分野にかかわっていて、空港業務の人件費を集約するのがすごく難しい。 
国も地方空港の収支状況とか財務状況を積極的に把握しようとしてこなかったのも問題だ。 
   効率的な空港にできるかどうかはコストを意識させることにあるが、そのチェックができない。これからは他空港と比較できるように、経理のフォーマットを決め、一定の書式のもとで収支の計算ができるような制度にすることが必要だ」
その通りだと思う。収支決算を明らかにして、黒字を見込めない空港は、出来るだけ早く廃港にすべきと考える。 

   空港は1例に過ぎない。他にも情報を非公開にしたまま、税金を湯水のごとく公共的なインフラに注ぎ込んできたケースは多いという。

これらを税金の無駄使いと言わずして、何といえばいいのか。

*NHKクローズアップ現代(2010年5月26日放送「地方空港明らかになる『危機』」より。






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