はたまた
髑髏のお話。ハリソン・フォード主演の映画『
インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』に、あらゆる金属を引き寄せる不思議な磁力を持った
クリスタル・スカルと呼ばれる、水晶でできた謎の頭蓋骨が、重要なアイテムとして出てくる。
楽しめる面白い映画でした。しかし、評判は散々で、第29回
ゴールデンラズベリー賞「最低リメイク及び続編賞」を受賞したとある。作り話にせよ、全く頷けないシーンがある。
インディが、軍の核実験のために建設した無人の町で、突如実験のカウントダウンを告げるアナウンスが響き、辛くも
鉛が使われた冷蔵庫に閉じこもって難を逃れるというシーンである。ここで、思わずのけぞってしまった。冷蔵庫は、熱で溶けないまでも中で蒸し焼きのハズ。奇跡が起こって、生きて出られてもすぐさま強力な放射能でお陀仏です。どう考えても生還できません。原爆の恐ろしさを過小評価しすぎです。
今回は、その
水晶髑髏のお話。Wikipediaには、こう書かれている。
水晶髑髏
水晶髑髏(すいしょうどくろ)とは、水晶で作られた人間の頭蓋骨模型のことである。
説明して頂かなくとも、誰にもわかっている説明である。
現在、十数個が確認されており、そのほとんどがマヤ文明やアステカ文明、インカ帝国といった中南米の考古遺物とされている。
当時の技術水準から考えてあまりにも精巧に造られているとも思えるためにオーパーツとして取り上げられるが、本当に出土品であるかどうかについて懐疑的な説がある。
Wikiに記述がある、ヘッジスの水晶髑髏についての話をするのが今回の目的。実は、この髑髏は捏造であり、古代文明の遺物ではなかったというお話です。
これについては、ウェブサイト「超常現象の謎解き」を運営している、評論家の本城達也さんの記事が相当に面白いし詳しいので、このサイトから、引用させて頂く。 詳しくは、 水晶ドクロ を参照。
発見の経緯と伝説:
1927年、探検家のミッチェル・ヘッジスと養女のアンナはマヤ文明の遺跡を発掘していた。するとルバアンタンという町の廃墟にあった祭壇の下で、何か光り輝くものが埋まっていることを発見。
掘り起こしてみると、それは水晶で作られた人間の頭蓋骨だった。
ちなみにアメリカ先住民の伝説によれば、世界には全部で13個の水晶ドクロが存在するという。
それらが全て集まったとき、
「人類の起源、目的、運命に関する情報、そして生命と人類の謎への解答」
を知ることができ、世界は救われるのだという。 超常現象っぽいですね。
アンナは1970年代後半、この水晶ドクロをヒューレット・パッカード社へ分析を依頼。すると結果は、頭蓋骨と下アゴは一つの同じ水晶から作られており、工具を使った形跡は見当たらないというものだった。
(後述)
アンナの水晶ドクロも、この伝説の13個のドクロのうちの一つだと言われており、近い将来すべての水晶ドクロが集められ、人類が大いなる叡智を手に入れる日もそう遠くはないといわれていた。
(嘘っぱちだがね。)
このヘッジスの水晶髑髏(ヘッジス・スカル、運命の髑髏などと呼ばれる)は実物大で、解剖学的にみても精緻に造られている。
カリフォルニア州にあるヒューレット・パッカードの研究所における1970年代の分析結果によると、
- ヘッジスの水晶ドクロは、1個の水晶から造られていて「下顎骨」部分は、取り外し可能である。
- 道具による加工痕がない。また、ひびも入っていない。
- 水晶の石目を無視して彫られている。
- 復顔をした場合、マヤ人と同じモンゴロイドの顔立ちになる。しかし年齢は特定できない。
- 制作年代は不明。
とのことであった。このため、オーパーツではないかという憶測を呼んだ。
(注:オーパーツは、それらが発見された場所や時代とはまったくそぐわないと考えられる物品を指す。)
捏造の謎解き:
(根拠1) アンナは発掘の現場にいなかったし、水晶ドクロの写真も一枚もない。
(根拠2) 水晶ドクロの出どころは、遺跡ではない。Wikiでは、こう書かれている。
この髑髏はもともとセントラルロンドンの美術商シドニー・バーニーが所蔵していた物で、彼は1943年にサザビーズの競売に出品し、当時のサザビーズのカタログにも登録されている。
しかし、バーニーは競売にかけられる直前に髑髏の出品を取り下げてヘッジスに400ポンドで売却した。その数年後に発見したと公表した。
(根拠3) 分析結果。これが捏造証拠として決定的であった。
1980年、アメリカの研究者フランク・ドーランドによる検査と、2008年にスミソニアン博物館が行った顕微鏡検査の2度の調査結果がある。
70年代後半にヒューレット・パッカード社が検査をした際には、工具の跡は発見されなかったことになっている。
しかし、フランク・ドーランドによる検査では、「水晶ドクロの歯の部分の表面に機械を使って磨いた跡」が、はっきり見つかった。
さらにスミソニアン博物館の検査では、現代のダイヤモンド研磨剤の使用跡が見つかっている。
スミソニアンの検査結果を特集したアメリカ考古学会の機関誌『アーケオロジー』によれば、水晶ドクロは古代に作られたものではなく、19世紀後半の作品だと考えられるという。その生産地として有力視されているのは、ドイツのイーダー・オーバーシュタインという町である。
この町は中世以来、世界的に知られた石細工の中心地で、多くの水晶加工職人がいたことがわかっている。
ヘッジスの水晶髑髏には特殊な効果がある、と言われている。
- 下から光を射すと、眼窩に光が集中する。その光を凝視していると1分弱で大半の人が催眠状態に陥るという主張もある。
- 太陽の光を当てると全体が美しい虹色に光る。
- ロウソクの炎を当てると神秘的な紫色に光る。
これらは実際に学術的な研究や検証などが行われた訳ではなく、また水晶の髑髏による効果とされるもののうちの幾つかは生理現象や物性による説明も可能であり、まだ確認は取れていない。
まあ超常現象は起こっていないと見なせる。
その他の水晶髑髏の画像を見ていきたい。
どれも、なかなかの個性派ぞろいだ。
E T・スカル
フロリダに住む、ホカ・ヴァンディーテンが所有。
先のとがった頭蓋と大きな眼窩が異星人を連想させることから「ET」と名づけられた。伝説の13個の水晶ドクロのうちの一つと言われるが、入手先はロサンゼルスのディーラーである。
「マヤ・スカル」と「アメジスト・スカル」
「マヤ・スカル」はマヤの神官が所有していたという話からこの名で呼ばれている。一方「アメジスト・スカル」(紫水晶ドクロ)は紫色の石英をもとに作られていることからこの名が付いた。紫色の原因は不純物として鉄が含まれているため。1912年にグアテマラで発見されたという。
ローズ・スカル
「ローズ・スカル」(バラ水晶ドクロ)は、ホンジュラスとグアテマラの境界の近くで発見されたという(証拠なし)。
色がビンクなのは、不純物として鉄を含んでいるため(含有量によって紫色からピンク色まで変化する)。ヘッジス・スカルよりわずかに大きい。アゴは外れるようになっている。
マックス・スカル
「マックス・スカル」は、テキサス州ヒューストン在住のジョアン・パークスが所有している。ジョアンによれば、1973年にノルブ・チェンというヒーラーと知り合い、1980年に彼が亡くなる際にドクロを譲り受けたという。発見場所は中米にあるグアテマラの墓らしい。
シャ・ナ・ラー・スカル
所有者は、サンフランシスコ在住のニック・ノセリノ。
「クリスタル・スカル国際協会理事長」という肩書きを持っている。超能力者でもあり、1959年にメキシコ山中で「シャ・ナ・ラー」を見つけたという。
呪いのスカル
アメリカのスミソニアン博物館所蔵。
実際の人間の頭蓋骨より大きく、内部は空洞。しかし重さは14キロもある。名前の由来は、前の所有者に度重なる不幸があり、結果的に自殺してしまったことからきている。
スミソニアン博物館へは、その所有者の弁護士だった人物から寄贈された。
1996年に行われた大英博物館の分析では、19世紀以降に作られた作品という結果が出た。
パリ・スカル
パリ人類博物館所蔵。やや小ぶりで、高さは11センチ、重さは2.7キロ。下顎は外れない。
頭の天辺から底まで、垂直に穴が開いているのが特徴。1878年に、探検家のアルフォンス・ピナールという人物が博物館に寄贈した。 この骸骨も、1867~86年の間にドイツ南部の町イーダー・オーバーシュタインでつくられた作品という結論が出た。穴の用途は当時つくられた磔像の十字架部分を差し込むためのものだったと考えられている。
ブリティッシュ・スカル
イギリスの大英博物館所蔵。 伝説の13個のドクロのうちの一つと言われている。
しかし残念ながら1996年に大英博物館で行われた調査では、19世紀以降に作られた作品であるという分析結果が出ている。
つぎは、工芸品としての
水晶骸骨。画像は、
Skullis のサイトから取得。
このハート形の
水晶骸骨は、売価
US $7,990 で、見たところ一番高価である。
その他、
水晶骸骨ではないが、
アンモナイトの化石から作られた
骸骨彫像の画像をアップする。
以下の画像も、全て、
Skullis のサイトから取得。
今度は、女性とのツーショット。
地獄太夫もそうだが、
骸骨と美女とは良く似合う?
値段は、5000円から100万円くらいまである。
一番安いのが、これで49.95ドル。
またもや骸骨だらけの記事でした。 今回はこれでおしまい。