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2016年6月30日木曜日

ワイフの退院後1ヶ月

ワイフが退院して1ヶ月になる。その間、息子達からの快気祝いやお見舞いの御礼品の送付、病院の検査などで思いのほか忙しい日々を過ごしていた。また同じマンションの方からもお花やお見舞いの品を頂いた。ワイフ共々大変感謝しています。本当に有難い事である。そして普段の生活に向けて、牛乳などの共同購入も7月から再開することになった。皆さま、またよろしくお願いいたします。

ワイフの容態は、食事に関しては何でも食べられるようになった。水分もゆっくり気をつけて飲めば咽なくなった。声帯のほうも徐々にだが回復しているように思える。しかし、体力は以前とは比べものにならない位落ちている。証明書の取得のため役所などに行くと、帰ってくればクタクタである。夕ご飯を作る時も休み休みでないとできない。大手術だったので当たり前のことではある。血圧の上昇が致命的なので、出来るだけ無理をしないようにしなければならない。

一昨日に神戸中央市民病院で3ヶ月目の検診を受けた。CTの検査によると大動脈乖離の部分は心臓部の破れた個所から下肢まで及んでおり、手術後と同じ状態で癒着はまだしていないそうだ。通常状態への回復には相当の期間がかかる。3ヶ月で今の状態までこぎ着けたのは幸運の部類だろう。乖離が広がらないように血圧の制御が必須で、激しい運動は無論できない。といっても、温泉に入ったり旅行したりは可能と医師から伺ったので、8月ころにワイフは家族旅行を計画している。それまでに体力が少しでも回復して欲しいと願っている。

私については、家事見習いに降格したので家事負担が軽減するかと思えば、さにあらずであった。単身生活時と同じく忙しい。朝ご飯作りは私の分担で、洗濯物や皿洗いの分量は2人分に増えたので実質は作業量の増加であった。その上、杜撰な私の作業に対して厳しいチェックが入るので、私としては内心忸怩たるものがある。ワイフのように要領良く家事はできないのである。今だに食器の収納場所をはっきり覚えてないし、収納の仕方が拙い。私一人だと、食器皿は3枚で全てを賄い、食後は洗い場に置きっぱなしだったので収納なんか不必要だったのだ。

私の作っていた朝飯はワンパターンでいつもこんなのである。野菜はキュウリにトマト。レタスが入るときもある。トーストはピーナッツバター。コーヒーはインスタント。




夕食のメニューは、例えばこんなのでした。生野菜(レタス、キュウリ、トマト)、納豆、牛肉のタマネギとピーマン炒め、それと1週間飲み続けた野菜スープ(余っただし汁を加えたので真っ黒だが味はそんなに悪くない)である。この献立はマシなほうです。



単身生活時の私の作った料理を日々記録しようと思って写真に撮ったが、途中で馬鹿らしくなって止めてしまったその名残の献立がこの写真です。見るからに不味そうだもんね。

ワイフの退院後は、私の食生活は劇的に改善した。従って(良くないことだが)私の体重も70キロに戻った。食べているにも拘わらず、逆にワイフは36キロ台に落ちた。

夕食は以前のように美味しい料理を食べさせて頂いている。買い出しは私の担当なので、献立はなかなか思い浮かばないらしい。それでも有り合わせの材料を用いて短時間で作ってくれる。こんな具合である。

水菜とトマトのサラダ(チリメンジャコがかかっている)、生サーモンのアボガド和え、厚焼き玉子、鰆の竜田揚げで4品もある。


次男が自宅に来た時の夕食は更に手の込んだ料理になる。

ベビーリーフのサラダとほうれん草のバターコーン炒め。



マッシュドポテトのグリル。ポテトを下味を付けてからクリームでのばしたのをグリルで焼いて青のりをかけてある。


鶏肉のソテーで、ナスビやシメジ、ピーマンのケチャップソースをかけて、さらにたっぷりチーズがのっている。


その後作った本人は疲れてクターとしていました。美味しかったのですが、いつもはこんなにコッテリしたものは食べていません。普段はこんな具合です。念のため。

牛肉のしゃぶしゃぶ、西洋筑前煮、ブロッコリーといった三品です。忘れたが汁物は付いていたような気がする。



時々(私が料理の手伝いや皿洗い等面倒なので)お惣菜を買って来るが、不必要なものを買ったり品目のチョイスがまずくてワイフは不機嫌である。献立のバランスが悪く、ワイフの美的感覚に反するからだろうが、これは許して欲しい。

食料の買い出しは結構大仕事で、リックを背負ってJR六甲道のスーパーへ行く。行程は往復バスで、行きはよいよい(軽いが)帰りはこわい(重い)。野菜や果物、食材+お菓子を買うと両手も一杯になり、歩いて自宅にたどり着くとホントにヤレヤレである。これが2日おきの仕事になっている。

兎に角、料理一つにしても専業主婦は本当に大変だったんだねと今更ながらに思うのであった。そんなワイフに私は長年依存していた訳だ。今はその祟りを受けている。

ワイフの体調はまだまだである。買い出しには行けないし、所用で外出して帰ってくるとすっかり草臥れてしまっている。実を言うとワイフの見守りで、私も一緒になって草臥れてしまっている。私自身の体力もかなり落ちているのを自覚する。運動を殆どしていないので仕方がないが、この状態の改善を目指していかねばならない。ワイフの付き添いも結局体力勝負なのである。

バルセロナ旅行から半年たったが、その間旅行や遊行は一切していない。病院と介護施設、阪大への行き帰りだけで日々を過ごしている。講義を除いて非生産的な毎日である。情けない限りだが、生活をする最小限のことしかできないのが実情だ。しかし焦らずに旧に復せるように頑張っていきたいと思っている。

ワイフが入院するまでは、母親に介護施設で面会した後ブログ記事を書くため、時々神戸市内の各地に取材に行っていた。布引の滝、ハーブ園、有馬温泉などなどです。写真は撮ってきたが今だ記事化はしていない。

現在は記事を書くのが時間的に無理になっている。まとまった時間が取れない。趣味のブログ書きをするという気晴らしが出来ないのは意外に辛いものだ。今までは原則 疲れたら寝る であった。お蔭で身体疲労は取れているが脳味噌が腐り始めたようなので、それを阻止するべく無理をしてでも時間を見つけて頭の体操の1つとしてブログ記事を再開したいと思ってます。と書きつつ、全く出来てませんね!

久しぶりに書いたブログ記事でした。




2016年6月28日火曜日

微分方程式講義(2016年版) レポート問題2

微分方程式講義のレポート問題2をアップする。現物は、6月29日に配布の予定です。
提出日は、7月13日。遅れる事は、原則許されない。遅れても受理はするが、減点(半分以下)の対象とする。
早目に解いておくことが望ましい。前回と同じく、採点は、全面的にTutor の学生さんに任せている。問題は昨年度と同じである。




なお、問題解答で修正事項があるので、微分方程式講義(2016年版) レポート問題1  を参照。

該当部分を念のためアップしておく。







微分方程式講義(2016年版)XII


 
第5章 連立微分方程式の初期値問題



5.1 初期値問題の解の存在と一意性

この節では、連立方程式系に対する解の存在一意性を論ずる。

考える微分方程式は、 非線形の 連立微分方等式 

(5.1)               y1' =  f1 (x, y1 , y2 ,   ・・・ , yn )

 
                        y2' =  f2 (x, y1 , y2 ,   ・・・ , yn )
                          ・・・      ・・・
           ・・・  ・・・
                        yn' =  fn (x, y1 , y2 ,   ・・・ , yn )

である。  ここで、 f (x, y1 , y2 ,   ・・・ , yn ) (j =1, ・・・ , n)    は、

n+1 変数の関数である。

連立方程式 (5.1) に対する初期条件を 

(5.2)     y1(a) = b1 ,  y2(a) = b2 ,  ・・・ , yn (a) = bn 
 

とする。 初期値問題 (5.1), (5.2)   のベクトル表示を与えよう。 

y(y1y2,  ・・・ , yn )t  とし、 ベクトル y のノルム(長さ)を 

   || y || = √ (y1² + y2²  + ・・・ +  yn² )


と定める。 b(b1b2,  ・・・ , bn )t  とし ベクトル値関数  f(x,y)

 f(x,y)  =  (f1 (x, y1 ,y2 ,   ・・・ , yn ),  f2 ((x, y1 ,y2 ,   ・・・ , yn ),

              ・・・ ・・・ , fn(x, y1 ,y2 ,   ・・・ , yn ), )t  


 とおく。 このとき、初期値問題 (5.1), (5.2)  は、

 (5.3)               y' f(x,y),    y(a) = b  


 と書くことが出来る。 ここで、 y'(y1',  y2',  ・・・ , yn ')t  である。  

 (5.3) に関して  閉領域 D 

             D = {(x, y) : |x-a| ≦ r,  ||y - b || ≦ ρ}

により定義する。 f(x,y) は、上で連続と仮定する。 

このとき、 ある定数 M>0 が存在して


(5.4)                   || f(x,y) || ≦ M ,         (x,y) ∈

がいえる。 さらに、次のリプシッツ条件を与える。

(5.5)    ∃ L>0;    || f(x,y) - f(x,z)  || ≦ L|| y - z ||,     (x,y),  (x,z) ∈ D

さて、 y が 初期値問題 (5.1), (5.2)  、解であることと、 y 積分方程式

(5.6)               y(x) =  b +  [a,x] f(t,y(t)) dt ,    |x-a| ≦ r  


の解であるとは、同値であることを注意しておく。 単に積分をすればよいからである。

リプシッツ条件  (5.5) のもとで、初期値問題  (5.3) の解の存在と一意性の定理を

証明することができる。 


ルドルフ・リプシッツ (1832年5月14日-1903年10月7日)

ドイツの数学者。偏微分方程式論および数論において多くの業績を残した。


その前に、 リプシッツ条件  (5.5) がなければ、解の一意性は保証されない事を反例に

より示そう。 同時に無数の解が存在し得ることも示す。



この節の目的は、ピカールの逐次近似法 を用いて解の存在一意性の定理を証明すること

である。


エミール・ピカール(1856年7月24日 - 1941年12月11日)

フランスの数学者。パリ出身。ピカールの定理やピカールの逐次近似法等の証明で知られる。




定理 1  リプシッツ条件  (5.5) の下で、 初期値問題 

 (5.3)               y' f(x,y),    y(a) = b  

の解は、  r' = min { r,  ρ/M } として 区間 [a - r', a + r'] 上で

唯一つ存在する。 ここで M > 0 は (5.4) で与えた定数。


証明を与える前に ピカールの逐次近似法 を説明する。 

これは、 初期値問題 (5.3)  つまり 

積分方程式 (5.6)  の近似解を文字通り逐次的に構成する方法である。 

第0近似を  y0(x) ,   (適当にとればよい)

第1近似を  y1(x) = b +  [a,x] f(t, y0(t)) dt ,

第2近似を  y2(x) = b +  [a,x] f(t, y1(t)) dt ,

 ・・・ ・・・ ,

第n近似を  yn(x) = b +  [a,x] f(t, yn-1(t)) dt , 

により 近似列  { yn(x) }  を作り  yn(x) が x=a  を中心とする適当な閉区間 I 上で 

 y(x) に一様収束すれば その  y(x) は、その作り方から

             y(x) = b +  [a,x] f(t, y(t)) dt


をみたすので、 積分方程式 (5.6)  の解になる。 このような近似の仕方を、

ピカールの逐次近似法 という。


定理1の証明)  y0(x) = b  として、 I = [a - r', a + r']   とおく。 

I 上の 初期値問題(5.3) の逐次近似解  yn(x)  

(5.7)          yn(x) = b +  [a,x] f(t, yn-1(t)) dt ,   x ∈  I = [a - r', a + r']    

とおく。 まづ、定義された区間 [a - r, a + r]  を I に制限する事により、 

yn(x)  定義 (5.7) 有効になることを確かめよう。 

数学的帰納法を使ってこの事を示そう。 yn(x)  が区間

I = [a - r', a + r'] 上で定義されているとする。 つまり、 

(5.8)       || yn(x) - b || ≦  r' = min { r,  ρ/M } ≦ r

とする。 このとき  

(5.9)     || yn+1(x) - b || ≦  ||  [a,x] f(t, yn(t)) dt || ≦ | [a,x] ||f(t, yn(t)) || dt| 

                                            ≦  | [a,x] M dt| = M |x - a | ≦ Mr' ≦ M・ρ/M =  ρ,     x ∈  I

となるから、 yn+1(x)  区間 I = [a - r', a + r'] 上で定義される。 

さて、 リプシッツ条件  (5.5) より
 

 
(5.10)     || yn+1(x) - yn(x)  ||  ≦  ||  [a,x] [f(t, yn(t)) -  f(t, yn-1(t))] dt ||  

 

                    ≦  | [a,x] || f(t, yn(t)) -  f(t, yn-1(t)) || dt |

                                          ≦  | [a,x] L|| yn(t) -  yn-1(t) || dt |  =  L | [a,x] || yn(t) -  yn-1(t) || dt | 

を得る。 n=1 のとき、  

     || y2(x) - y1(x)  || =  || [a,x] [f(t, y1(t)) -  f(t, b)] dt ||   
      
                                        ≦  L | [a,x] [|| f(t, y1(t))|| +  || f(t, b) || ] dt |   L (2M |x-a|)  = LN |x - a |

ここで、 N=2M である。 n=2  として上の不等式を使うと、

          || y3(x) - y2(x)  ||    | [a,x] || f(t, y2(t))-  f(t, y1(t)) ||  dt |   L | [a,x] || y2(t)-  y1(t) ||  dt |

                                        ≦ | [a,x] LN |t - a | dt |   L² N (|x - a |²) /  2!
  
再び不等式 (5. 10) で n=3  として上の不等式を使って積分を計算すると、


  || y4(x) - y3(x)  ||    L | [a,x] || y3(t)-  y2(t))||  dt |

                                 ≦  | [a,x] L² N (|t - a |²) /  2! dt |   L³ N (|x - a |³) /  3!

が得られる。 この事を繰り返すと 
                                     

  (5.11)     || yn+1(x) - yn(x)  ||     Lⁿ N (|x - a |ⁿ) /  n!   Lⁿ N(r')ⁿ /  n!,    x ∈  I

が示される。 これは、 絶対値関数項の級数 


初期値問題 (5.3)  の区間 I 上の2つの解 y(x),  z(x)  があったとする。 このとき、 

リプシッツ条件  (5.5) により 

(5.13)     || y(x) - z(x)  ||  ≦  ||  [a,x] [f(t, y(t)) -  f(t, z(t))] dt ||  

                    ≦  L | [a,x] || y(t) -  z(t) || dt | ,      x ∈  I

もし、 a ≦ x ≦ a + r'   ならば、 (5.13) で 

| [a,x] || y(t) -  z(t) || dt | = [a,x] || y(t) -  z(t) || dt    となるから 2章6節 定理3 の 

グロンウォールの不等式 により、 c = 0,  φ(x)  = L として

(5.14)     || y(x) - z(x)  ||  ≦  0,      x ∈  [a, a+r']  

つまり、  y(x) = z(x),      ∀x ∈  [a, a+r']   となる。

 x ∈  [a-r', a]  の場合にも (5.14) と同様の不等式を(5.13) より導くことができる(確かめよ)。


従って、 y(x) = z(x),   ∀x ∈ I  となり 解の一意性が示された。  (証明終) 
  



カール・テオドル・ヴィルヘルム・ワイエルシュトラス(1815年10月31日 – 1897年2月19日)

ドイツの数学者。解析学の基礎分野で多大の貢献を為した。



解の存在区間

必ずしも解は考えられている区間全体で存在するとは限らない。 

次のような場合が起こりうる。 



この事を具体的な微分方程式で見ていこう。



実は、定理1において、リプシッツ条件  (5.5) は、解の存在のためには不要である。 

つまり、次の コーシー・ペアノの定理 がなりたつ。



定理 2  初期値問題 

 (5.3)               y' f(x,y),    y(a) = b  

の解は、  r' = min { r,  ρ/M } として 区間 [a - r', a + r'] 上で

少なくとも一つ存在する。 


定理2 の証明は、コーシーの折れ線法 を使うが、関数族の一様有界性同程度連続性 

という概念も使うので、 議論が高度になり、本講義では省略する。





ジュゼッペ・ペアノ(1858年8月27日– 1932年4月20日)

イタリアの数学者。トリノ大学教授。自然数の公理系 (ペアノの公理)、ペアノ曲線の考案者として知られる。
  

2016年6月22日水曜日

微分方程式講義(2016年版)XI

昨年度の講義原稿とほぼ同じであるが、細かい記号の修正と見やすい工夫を行っている。時間の制約があり、大幅な書き直しは無理な状況にある。申し訳ないが仕方ないですね。

4.2 基本解とロンスキアン 



この節では、ロンスキアン  を使って、3章2節と同様の結果が1階の変数係数連立微分方等式 

に対しても成り立つことを示す。 簡単のため、2未知変数の場合を考える。 

つぎの斉次連立微分方程式を考える。


(4.21)              y1' =  a11 (x)y+  a12 (x)y
                         y2' =  a21 (x)y1   +  a22 (x)y2   

ここで、 aij (x)  (i, j =1, 2)  は 区間 I 上の連続関数とする。  


(4.21) のベクトル表示を与えよう。



この事から、 |W(x)|  は 区間 I 上で恒等的に 0 か または決して 0 にならない事

がわかる。
|W(x)| ≠ 0,   x ∈ I  のとき、 つまり W(x) が I 上で正則のとき、 

y1,   y2  は I 上 で独立になる。 このとき、 W(x) を (4.21) または (4.22) の 基本解  

もしくは、 解の基本形系   という。  

くどいが、 |W(x0)| = 0,   ∃x0 ∈ I  のとき、 y1,   y2  は I上 で一次従属になることを

確かめよう。

このとき、共に 0 でない定数 C1,    C2    をとって、  C1 y1(x0)  +  C2  y2(x0)  = 0   

とできる。 

 今  y = C1 y1  +  C2  y2   とおくと 、 y' = A(x)y   かつ  y(x0) = 0  より、

初期値問題の解の一意性(次章で説明)から y(x) = 0,   ∀x∈I となり、  

C1 y1  +  C2  y2  0  がいえるので  y1,   y2  は一次従属。 


さて、 y1,   y2 を (4.22) の基本解とする。 

(存在については、|W(x0)| ≠ 0,   ∃x0 ∈ I なるものを選べばよい) 
 

さらに y を (4.22) の勝手な解とする。  このとき |W(x)|  ≠ 0,  x ∈ I  であるから、

行列式論の クラーメルの公式 により I 上の関数 c₁(x),   c₂(x) で、
 

(4.24)         c₁(x) y₁+   c₂(x) y =  y      

  
となるものが存在する。 c₁(x),   c₂(x) が微分可能なことは、明らかだろう。

 
 (4.24)  を微分して (4.22) を使うと、

(4.25)      A(x) y = y' =   c₁(x) y' +   c₂(x) y' +  c₁'(x) y₁+   c₂'(x) y

                            =   c₁(x) A(x)y₁ +   c₂(x)A(x) y₂ +  c₁'(x) y₁+   c₂'(x) y

                            =  A(x)( c₁(x) y₁ +   c₂(x) y₂)  +  c₁'(x) y₁ +   c₂'(x) y

                            =  A(x) +  c₁'(x) y₁ +   c₂'(x) y

よって

 (4.26)       c₁'(x) y₁ +   c₂'(x) y₂= 0      

がしたがう。 ここで、 y1,   y2  は一次独立であったから、 

                  c₁'(x)  ≡ 0,   c₂'(x)  ≡ 0    

となり、 c₁(x) = C1,   c₂= C2,   (  C1,   C2 は定数) となる。 すなわち、

(4.27)         y  = C1 y₁+   C2 y     

と書ける。 すなわち、次の定理がなりたつ。



定数変化公式

 
 次にロンスキアン W(x) = W[y1,   y2 ](x)  を用いて 非斉次方程式

(4.28)      y' =  A(x) y + f (x),        f (x) = (f1(x), f2(x))t
      
    

の一般解を定数変化法を用いて 3章2節と同様にして求めよう。

(4.29)              y   =  c₁(x) y₁+   c₂(x) y     

の形で (4.28) の解を求めよう。 (4.29)  を微分して (4.28) を使うと、先と同様の計算により

      y'  =   c₁(x) y' +   c₂(x) y' +  c₁'(x) y₁ +   c₂'(x) y

        =   c₁(x) A(x)y₁ +   c₂(x) A(x)y₂ +  c₁'(x) y₁ +   c₂'(x) y

        =  A(x) +  c₁'(x) y₁ +   c₂'(x) y

         =  A(x)f (x)

 となり、最後の2式より  

(4.30)         c₁'(x) y₁ +    c₂'(x) y₂ =  f (x)

 がしたがう。 よって クラメールの公式により





 



4.3 高階の微分方程式と連立微分方程式 


ここでは、単独の n階微分方程式を連立微分方程式に直すことを考える。

(4.31)        y(n) + a1(x)y(n-1) + ・・・ + an(x)y  = f(x)

に対し

(4.32)         y1 = y,   y2 = y(1),   ・・・・ ,  yn = y(n-1)

とおくと、 y = (y1,   y2,   ・・・・ ,  yn )t     に対するベクトル微分方程式


一般に、 A(x) を n×n  行列関数として、 n未知変数の連立微分方程式

(4.34)     y' = A(x)y  + f(x)

を考えよう。 (4.34)   の斉次形 y' = A(x)y   の n個の解 

y1   y2 ,   ・・・・ ,  yn  に対し 

(4.34) の ロンスキアン W(x) = W[ y1   y2 ,   ・・・・ ,  yn](x)  を 

行列式 |(y1  y2,   ・・・・ ,  yn )|  により定義する。 

この定義の下で、 (4.32) より (4.31) に対するロンスキアン と 

(4.33) に対するロンスキアン一致することがわかる。

このように、連立一次微分方程式を考察することは、

高階の微分方程式を考察することにつながる。