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2014年4月27日日曜日

微分方程式講義 VI 

 

3章 3節のつづき)

システムに対する記号解析 

これまでに述べてきた演算子を用いる 記号解析 は、連立微分方程式系に対しても有効である。

簡単のため、以下では 2未知変数 y, z の 定係数連立微分方程式系 を考える。

(3.18)          P1(D) y + P2(D)z = f(x),    P3(D) y + P4(D)z = g(x) 

(3.18)  の第1式に 演算子 P4(D) をほどこし、さらに 第2式に 演算子 P2(D) をほどこし、

それらの差をとると

                           {P1(D)P4(D) - P2(D)P3(D)}y = P4(D)f(x) - P2(D)g(x)   

同様にして

          {P1(D)P4(D) - P2(D)P3(D)}z = P1(D)g(x) - P3(D)f(x)

が得られる。   これより、

(3.19)  y = [1/{P1(D)P4(D) - P2(D)P3(D)}] (P4(D)f(x) - P2(D)g(x)),  

               z = [1/{P1(D)P4(D) - P2(D)P3(D)}] (P1(D)g(x) - P3(D)f(x))

を得るが、 これらは微分の階数に対応する任意積分定数をもつため、

(3.18)  の一般解を与えているわけではない。 この事は、後の例で示す。 

行列式を使ってこのことを表現しよう。  

これから、 y,   z  を求めて 実際にもとの方程式系 (3.18)  をみたすべく決めればよい。

2つの例を与える。

 

 
3.4 定係数 n 階線形微分方等式

この節では、前節までの結果を用いて 定係数 n 階線形微分方等式 の解の公式を与える。

(3.20)    y(n) + a1y(n-1) + ・・・ + any  = f(x)

とその斉次形

(3.21)    y(n) + a1y(n-1) + ・・・ + any  = 0

を考える。 ここで、 a1,  ・・・,  an     は、定数とする。  

すぐに確かめられるが、 非斉次方程式 (3.20)  の一般解は、 斉次方程式 (3.21)  の一般解と

(3.20)  の一つの解(特殊解)との和で与えられる。  したがって (3.21)  の一般解を求める

ことが重要になる。 (3.21)  の解を y = exp(λx) の形で求めよう。 代入すると、

λn exp(λx)  + a1 λn-1 exp(λx)  + ・・・ + an λ exp(λx)   = 0  なので、exp(λx) でわると

(3.22)   λ + a1 λn-1  + ・・・ + an λ   = 0

が得られる。  この n次方程式が、次のように因数分解されるとする。


 
 

非斉次方程式 (3.20) の1つの解は、 前節の定理11により計算すればよい。

最後に未定係数法についてのべよう。 簡単のため、2階方程式で説明する。

(3.1)    y'' + ay' + by  = f(x) 

の特殊解を求める簡便な方法である。 特性方程式

 (3.3)     λ² + aλ  + b = 0

の根を λ1 ,  λ2    とおく。  

(I)     f(x) = A(x)exp(mx);   A(x) は多項式、 m は実数  とする。

(i)    m が (3.3) の根でない場合、 つまり  m ≠ λ1 ,  m ≠ λ2   のとき、

                   y = C(x)exp(mx);         C(x) の次数  =  A(x) の次数  

として (3.1)  に代入して 恒等式の関係から C(x) の係数を決定する。

(ii)  m が (3.3) の単根の時、 つまり  m = λ1  λ1 ≠ λ2     のとき、

                y = xC(x)exp(mx);         C(x) の次数  =  A(x) の次数

として (3.1)  に代入して 恒等式の関係から C(x) の係数を決定する。

(iii)  m が (3.3) の重根の時、 つまり  m = λ1  λ1 = λ2     のとき、

                y = x²C(x)exp(mx);         C(x) の次数  =  A(x) の次数

として (3.1)  に代入して 恒等式の関係から C(x) の係数を決定する。


(II)     f(x) =  (A(x)cos kx + B(x)sin kx)exp(mx);   A(x),  B(x) は多項式、m は実数     とする。

(i)    m+ki が (3.3) の根でない場合、 つまり  m+ki ≠ λ1  m+ki ≠ λ2   のとき、

                   y = (C(x)cos kx + D(x)sin kx)exp(mx);    

                          C(x),  D(x) の次数  =   Max {A(x) の次数,  B(x) の次数}  

として (3.1)  に代入して 恒等式の関係から C(x),  D(x) の係数を決定する。
 

(ii)  m+ki  が (3.3) の単根の時、 つまり  m+ki = λ1  λ1 ≠ λ2     のとき、

                y = x(C(x)cos kx + D(x)sin kx)exp(mx);   

                           C(x),  D(x) の次数  =   Max {A(x) の次数,  B(x) の次数}  

として (3.1)  に代入して 恒等式の関係から C(x),  D(x) の係数を決定する。

(iii)  m+ki  が (3.3) の重根の時、 つまり  m+ki  = λ1  λ1 = λ2     のとき、

     y = x²(C(x)cos kx + D(x)sin kx)exp(mx);   

                          C(x),  D(x) の次数  =   Max {A(x) の次数,  B(x) の次数}  

               
として (3.1)  に代入して 恒等式の関係から C(x),  D(x) の係数を決定する。


f(x)  が (I) の形の関数と (II) の形の関数の和であれば、それぞれの特殊解を

未定係数法で求めそれらの和を取ればよい。 

例を与えよう。

 
 
 
ここで、述べた特殊解を求める未定係数法 は、高階の定係数方程式に対しても同様に
 
適用できる。 特性方程式の根の重複度に応じて x のべきをかけた形で求めると良い。 
 
最後に、3階の方程式の例をあげる。 
 
 


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